連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。

KZ

文字の大きさ
45 / 67
始まりのバレンタイン

バレンタインをちゃんとやろうと思いました

しおりを挟む
「うわぁ……」

 そうとしか言えない。そんなことがまさに今、目の前で起きました。何があったのかと言うとね。
 お姫様に暴言を吐き、散々馬鹿にしたアンチの人たちがね、宙を舞ったんだ。俺は、『──人間ってそんなに浮くの!?』って思った。

 もう酷い目にあってる彼らだが、あれはアンチたちが悪い。だから仕方ない。
 あれは流石に言い過ぎだ。俺も無神経な発言をするけどアレはない。そう思います。

 貧乳とか女子に直接言ってはダメだよね。
 思うだけにしておかなくちゃ。
 そしてお姫様は気にしてたんだね……。

 そして、今しがた宙を舞う思いをしたばかりなのに、アンチたちは起き上がり、お姫様に向かっていきます。今度は武器を取り出して。

 これでも兵士たちは動きません。お姫様がいらないと合図しているし、実際に全然必要ないしね。
 お姫様対アンチとの戦いが始まる! かつてないほどすぐ終わりそうですが、一応実況します。


 ──チャラララー、パパー、ドドドッ──

 アンチたちがあらわれた! しかし、アンチたちはラッカのダメージがぬけていない!
 アンチたちはゴソゴソしてブキをとりだした。ブキをかまえ、オヒメサマをいかくする。

 ──しかし、オヒメサマはわらっている!

 いかくは、まったくコウカがナイようだ。
 オドシをわらわれ、アンチはテンパった。
 テンパったアンチがブキをつかう! ナカマたちもしかけた!

 ──まだ、オヒメサマはわらっている!

 アンチたちの『いっせいこうげき!』。
 ミス、ミス、ミス、ミス、ミス、ミス。
 こうげきは、まったくあたらない!

 ──やっぱり、オヒメサマはわらっている。ちょっとこわい!

 ヤケクソなアンチは『キタナイコトバ』をつかう。それにナカマたちものっかった!
 アンチたちの『キタナイコトバ』の『いっせいこうげき!』ちょっと、おきかせできない!

「…………」

 ……オヒメサマのカオから、えみがキエル……。

 オヒメサマのこうげき! ──バギッ!
 オヒメサマのこうげき! ──ドグシャ!
 オヒメサマのこうげき! ──チュドーン!

 アンチたちは、ソラたかくテンにまう。
 アンチたちは、みんしゅうのなかにおちた。

 ──みんしゅうのこうげき!

 みんしゅうはナカマをよんだ!
 みんしゅうはナカマをよんだ!
 みんしゅうはナカマをよんだ!
 みんしゅうはナカマをよんだ!
 みんしゅうはナカマをよんだ!

 みんしゅうは『カズノチカラ』で、アンチをふくろだだきにする。
 アンチたちはゴミのようになった。

 ──トゥルトゥルトゥル、トゥルットゥ──

◇◇◇

「やめろーーっ! もうやめてやれ!」

 民衆にボッコボコにされているアンチたちを救うべく、民衆をかき分け中心に向かう。アンチが悪いがあんまりだった。これはひどい。
 彼らはアンチだし、あまりフォローはしたくない。お姫様の信者たちこと、民衆を敵に回したくはないからね。

 しかし……。

「──もうやめろ! 彼らはアンチだが、元を辿れば悪いのは俺だ! 俺が最初から、『バレンタイン最高! みんなで仲良くチョコレート食べよう!』って言わなかったのがいけなかったんだ。だから、もうやめてやってくれ……」

 これでは、バレンタインどころではなくなってしまう。アンチを地面と同じ砂にするまで、民衆は収まらなかったかもしれない。
 お姫様大好き信者たちはみんな、アンチに容赦なさそうだから。

「にいちゃん。お前……」

「こういう見るからにモテなそうな輩にこそ、バレンタインを広めなくてはいけないんだ! こいつらだって、多少なりとも興味があるからここに集まった。最初のバレンタインだからこそ、みんなに参加してほしいんだ!」

「にいちゃん。お前……」

「──うるせぇ、ちょっと黙ってろ! お前らをフォローしてんだから!」

「──えぇ!?」

 アンチ風情が俺の台詞に割り込みやがってー。この、まあまあな修羅場を乗り切るのは簡単ではないのに……。アンチ風情が邪魔しやがって。

「今年は女子からチョコは貰えない。しかし来年がある。まだ、バレンタインが始まってもいないんだ。その前から障害沙汰はちょっと……。流血沙汰もちょっと……。俺が責任者なんだからな! 俺はバレンタインに命をかけてるんだ!」

 しくじったら俺の首が飛ぶんだよ。それも物理的にね。もう、かなりの額の金が動いているんだ。
 例えば、材料調達の際の城の移動。あれは大変な額になるらしい。今日の宣言にだって金はかかっている。『できませんでした☆ テヘペロ☆』では済まないんだ……。

「だから、みんなで仲良くチョコレート食べよう? 大盛況で1人1つずつしかなくなってしまったが、チョコレートの試食だ。兵士くんたち。早く配って!」

 集まった人が思った以上の人数だったので、1人1つになってしまった。諭吉さんをはたいてチョコレートを宣伝のために急遽用意したのだ。

「お前らも食べてみろよ。チョコレート。美味いぜ?」

「あぁ、オレらが悪かったよ」

「分かればいいんだ。一件落着だ」

 この甘さは伝わるはずだ。ここにいる全員に。

「そうよね。誰かさんが最初から余計な発言をしなければ、揉めなくて済んだのよね。プロデューサーさんが悪いわよね」

 上手くまとまったふうがあったのに、お姫様が割り込んできた。かなり不機嫌なご様子だ。
 しかも、俺が悪いと言うし! 民衆にヤラレるから!

「……いや、直接口にしたこいつらが悪いだろう。俺は思ってはいても、あんなデリカシーのない発言はしないよ?」

「『思ってはいてもって』ことは……──あんたも思ってたんじゃないの!」

 しまった、墓穴を掘った! 別に胸の話をする必要がなかった! そしてそのパンチは俺には避けられな、──バキッ!

「ぐはっ──、バカな、謝った意味がないだと……」

 いくら加減されていようと、お姫様のパンチは無理だ。この服の防御力が高くても顔面では意味もない。
 それなのに……この姫……殴った。ついに殴りやがった!

「この暴力姫! ついに顔面への暴力に訴えやがったな! 俺はただの人間なんだ。脳筋でもなければ、鍛えてもなければ、ドラゴンでもない! ふつーーーーに死ぬからな!?」

「自分の貧弱さを認めるとか、笑えるわね!」

「なんだとー」「──なによ!」

 民衆が見ているし、アンチはなんだか変な顔をしているが、ここは引き下がれない! 暴力では解決しないんだと、このお姫様に教えてやらなくては!
 人間なんて簡単に死んでしまうと教えなくては! きっと俺が死ぬ!

「……白夜はくやさん。姫も。いいんですか? みんな見ていますが?」

 そのニクスの言葉に俺たちは我に帰る。

「「……あっ」」

 や、やってしまった……。
 しかし、今更気がついても遅い。大分遅い。

 お姫様なお姫様を演じてきた、お姫様の素が露呈した。して、しまった。
 これは俺のせいじゃないよね? ……やっぱり俺のせい?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...