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再会
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リリアは毎朝晩、海の神リヴァイアサンと陸の神ベヒモスに祈りを捧げ、人類の安寧をお願いする聖女の役割を果たしている。
以前はこの2神の気まぐれで、大きな天災が何度も発生し、そのたびに人類は種の存続の危機に面してきた。
300年前に初代聖女となる人間の女性が、リヴァイアサンに気に入られ、ベヒモスにも紹介され、以後、リヴァイアサンとベヒモスの2神に、歴代の聖女が朝晩、念話する機会を与えられるようになって、2神は人類に害をなさないようになったのだ。
前任から聖女を引き継いでから数カ月、2神からの受けはよく、無事務めを果たしてきたとリリアは自負していた。
ところが、昨夜、リヴァイアサンが、しばらく聖女との念話は中止したいと言って来たのだ。もともとベヒモスはリヴァイアサンに付き合っている感じだったので、特に異論はないとのことだった。
リリアは慌てた。聖女の役割を果たすことができなくなり、人類に災いが起きてしまったら、どうしたらよいのか。
リヴァイアサンに自分が至らないせいで不愉快にさせてしまったのであれば、お詫びをしたいと申し入れたところ、そんなことはまったくないと笑ってくれた。むしろ、気に入っているぞ、と言ってくれた。
話を聞いたところ、少し気になる人間がいて、その人間の小屋にしばらく滞在することになったらしい。そんなに気になるのなら、リリアもその小屋にくればいいという。
聞けば、イスラマ島という大陸の東海岸から渡ったところにいるという。リリアは島に行く決意をした。
リリアはさっそく教会幹部に事情を話した。教会幹部も慌てた。天災が再発するようになったら大変だからだ。聖女の付き添いとなる護衛団を組成し、東の島まで送るように命じた。
***
数日後、島に到着した。神との会話の邪魔になるため、護衛団にはそのままいったん帰ってもらい、大陸の港町で待機してもらうこととした。
少し先に見えるあの小屋だろう。リリアは小屋に向かって歩き出した。
小屋に近づいて行くと、庭先に机と椅子を並べて、にぎやかに昼食を食べている最中だった。
リヴァイアサンが少女化して何やらガツガツ食べている。隣には美しい女性が座っている。そして、芝生には狼のような動物が伏せて、これまた何をがっついている。こちらに背を向けて座っている2人がいる。ポニーテールの女性と栗毛色の髪をした多分男の子だろう。なんとなくランスロットに似ているな、とリリアは思った。
さらに近づいて行くと、リヴァイアサンがリリアに気づいて手を振り出した。リリアも手を振り返した。神に対して不遜だが、そうしてもいいような雰囲気だったのだ。
背を向けていた女性の方が振り返ってリリアを見た。その女性の美しさにリリアは目を奪われた。と、続けて男の子の方が振り返った。
「ランスロット!?」
「あれ? リリア王女様?」
リリアとランスロットの数カ月ぶりの再会だった。
以前はこの2神の気まぐれで、大きな天災が何度も発生し、そのたびに人類は種の存続の危機に面してきた。
300年前に初代聖女となる人間の女性が、リヴァイアサンに気に入られ、ベヒモスにも紹介され、以後、リヴァイアサンとベヒモスの2神に、歴代の聖女が朝晩、念話する機会を与えられるようになって、2神は人類に害をなさないようになったのだ。
前任から聖女を引き継いでから数カ月、2神からの受けはよく、無事務めを果たしてきたとリリアは自負していた。
ところが、昨夜、リヴァイアサンが、しばらく聖女との念話は中止したいと言って来たのだ。もともとベヒモスはリヴァイアサンに付き合っている感じだったので、特に異論はないとのことだった。
リリアは慌てた。聖女の役割を果たすことができなくなり、人類に災いが起きてしまったら、どうしたらよいのか。
リヴァイアサンに自分が至らないせいで不愉快にさせてしまったのであれば、お詫びをしたいと申し入れたところ、そんなことはまったくないと笑ってくれた。むしろ、気に入っているぞ、と言ってくれた。
話を聞いたところ、少し気になる人間がいて、その人間の小屋にしばらく滞在することになったらしい。そんなに気になるのなら、リリアもその小屋にくればいいという。
聞けば、イスラマ島という大陸の東海岸から渡ったところにいるという。リリアは島に行く決意をした。
リリアはさっそく教会幹部に事情を話した。教会幹部も慌てた。天災が再発するようになったら大変だからだ。聖女の付き添いとなる護衛団を組成し、東の島まで送るように命じた。
***
数日後、島に到着した。神との会話の邪魔になるため、護衛団にはそのままいったん帰ってもらい、大陸の港町で待機してもらうこととした。
少し先に見えるあの小屋だろう。リリアは小屋に向かって歩き出した。
小屋に近づいて行くと、庭先に机と椅子を並べて、にぎやかに昼食を食べている最中だった。
リヴァイアサンが少女化して何やらガツガツ食べている。隣には美しい女性が座っている。そして、芝生には狼のような動物が伏せて、これまた何をがっついている。こちらに背を向けて座っている2人がいる。ポニーテールの女性と栗毛色の髪をした多分男の子だろう。なんとなくランスロットに似ているな、とリリアは思った。
さらに近づいて行くと、リヴァイアサンがリリアに気づいて手を振り出した。リリアも手を振り返した。神に対して不遜だが、そうしてもいいような雰囲気だったのだ。
背を向けていた女性の方が振り返ってリリアを見た。その女性の美しさにリリアは目を奪われた。と、続けて男の子の方が振り返った。
「ランスロット!?」
「あれ? リリア王女様?」
リリアとランスロットの数カ月ぶりの再会だった。
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