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アツアツの執務室
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ヒューイとカトリーヌは執務室で大臣たちの上奏文に目を通していた。カトリーヌの手腕を評価したダンブル王は、政務のほとんどを皇太子夫妻に任せていた。
二人で一通り上奏文に目を通した後、ヒューイが思い切り伸びをしてから、カトリーヌに声をかけた。
「カトリーヌ、お父上から私に面会の申し入れがあったぞ。君の父親として私に挨拶したいそうだ」
カトリーヌはメモを取る手を止めて、ヒューイに向き合った。
「そう。予想通りだけど、どうするの?」
「君に辛い思いをさせた罪はきっちりと贖ってもらう。俺は許せないんだ」
「ヒューイの好きにしてね。私はどちらでも構わないのよ。それより、ラムダン川下流の治水工事について、少し相談したいの」
「分かった、分かった。でも、カトリーヌ、少し働き過ぎじゃないか?」
カトリーヌは首を振った。
「ヒューイがそばにいて手伝ってくれるから、働いているときもとても幸せなの。私はこんなに幸せでいいのかしら?」
「カトリーヌの幸せは民の幸せだよ。だから、もっともっと幸せになって欲しい」
ヒューイは立ち上がって、カトリーヌの後ろに周り、彼女を優しくハグした。
「うふふ、いつもそう言うのね。お父様の件は早めに済ませてね。ヒューイにはいつも私のそばにいて欲しいの」
ヒューイがカトリーヌの耳元で囁いた。
「ってことは、私の最愛の妻は、お父上には会わないのか?」
「ええ、時間を無駄にしたくはないのよ。アードレー家については、シャルロットがお勤めをしっかりしてさえいれば、私は気にしないわ」
「王妃は公務を真面目にこなすようになったようだ。使用人は執事とメイド長以外は逮捕されたようだ。残るはご両親と母上の実家だ」
「まあ、ヒューイはお母様のご実家まで潰すつもりなの?」
「カトリーヌを虐めた奴らは容赦しない。徹底的にやらせてもらう。あと新王ジョージにも報いを受けてもらう。こちらの方はさすがにもう少し時間が必要だが」
「もう、容赦ないのね。ヒューイの思うままにどうぞ。でね、ラムダン川のことなんだけれど、ちょっと地図を出すわね。リリア、報告書と地図をお願い」
部屋の外で待機していたリリアが、両手いっぱいに抱えた報告書をもって、部屋に入ってきた。リリアはアツアツの二人を見て、またかといった顔をして、報告書をヒューイの机の上にドサリと置いた。
ヒューイが報告書の量にうっと唸って、苦笑いしながら、自分の席に戻った。
カトリーヌが机の上の報告書を分類しながら、ヒューイに説明を始めた。
「ねえ、ヒューイ、これが治水工事の責任者の報告書ね。それから、これが専門技師の報告書。ちょっと、ヒューイ、私ばかり見ていないで、この報告書のサマリを見て。リリアの部下たちって本当に優秀なのよ。ねえ、ヒューイ、聞いているの?」
「ああ、聞いているよ。俺の方こそ、君といつも一緒で幸せだよ。お父上の件はさっさと終わらせよう」
「そうしてね。それで、乾期の間にすべき事をまとめたのよ。ねえ、私ばかり見てないで、こっちのリストを見てよ」
「はい、はい、どれどれ?」
ヒューイは報告書を手に取るついでに、カトリーヌの頬に優しくキスをした。
「ちょっと、ヒューイ、真面目にやってね、もう」
この二人はいつもずっとこんな調子で、部屋の室温を上げまくっている。リリアは手でパタパタと顔をあおいだ。
(暑い、暑すぎるわ。もうやってられないわ。私も早くいい人を見つけたい)
二人で一通り上奏文に目を通した後、ヒューイが思い切り伸びをしてから、カトリーヌに声をかけた。
「カトリーヌ、お父上から私に面会の申し入れがあったぞ。君の父親として私に挨拶したいそうだ」
カトリーヌはメモを取る手を止めて、ヒューイに向き合った。
「そう。予想通りだけど、どうするの?」
「君に辛い思いをさせた罪はきっちりと贖ってもらう。俺は許せないんだ」
「ヒューイの好きにしてね。私はどちらでも構わないのよ。それより、ラムダン川下流の治水工事について、少し相談したいの」
「分かった、分かった。でも、カトリーヌ、少し働き過ぎじゃないか?」
カトリーヌは首を振った。
「ヒューイがそばにいて手伝ってくれるから、働いているときもとても幸せなの。私はこんなに幸せでいいのかしら?」
「カトリーヌの幸せは民の幸せだよ。だから、もっともっと幸せになって欲しい」
ヒューイは立ち上がって、カトリーヌの後ろに周り、彼女を優しくハグした。
「うふふ、いつもそう言うのね。お父様の件は早めに済ませてね。ヒューイにはいつも私のそばにいて欲しいの」
ヒューイがカトリーヌの耳元で囁いた。
「ってことは、私の最愛の妻は、お父上には会わないのか?」
「ええ、時間を無駄にしたくはないのよ。アードレー家については、シャルロットがお勤めをしっかりしてさえいれば、私は気にしないわ」
「王妃は公務を真面目にこなすようになったようだ。使用人は執事とメイド長以外は逮捕されたようだ。残るはご両親と母上の実家だ」
「まあ、ヒューイはお母様のご実家まで潰すつもりなの?」
「カトリーヌを虐めた奴らは容赦しない。徹底的にやらせてもらう。あと新王ジョージにも報いを受けてもらう。こちらの方はさすがにもう少し時間が必要だが」
「もう、容赦ないのね。ヒューイの思うままにどうぞ。でね、ラムダン川のことなんだけれど、ちょっと地図を出すわね。リリア、報告書と地図をお願い」
部屋の外で待機していたリリアが、両手いっぱいに抱えた報告書をもって、部屋に入ってきた。リリアはアツアツの二人を見て、またかといった顔をして、報告書をヒューイの机の上にドサリと置いた。
ヒューイが報告書の量にうっと唸って、苦笑いしながら、自分の席に戻った。
カトリーヌが机の上の報告書を分類しながら、ヒューイに説明を始めた。
「ねえ、ヒューイ、これが治水工事の責任者の報告書ね。それから、これが専門技師の報告書。ちょっと、ヒューイ、私ばかり見ていないで、この報告書のサマリを見て。リリアの部下たちって本当に優秀なのよ。ねえ、ヒューイ、聞いているの?」
「ああ、聞いているよ。俺の方こそ、君といつも一緒で幸せだよ。お父上の件はさっさと終わらせよう」
「そうしてね。それで、乾期の間にすべき事をまとめたのよ。ねえ、私ばかり見てないで、こっちのリストを見てよ」
「はい、はい、どれどれ?」
ヒューイは報告書を手に取るついでに、カトリーヌの頬に優しくキスをした。
「ちょっと、ヒューイ、真面目にやってね、もう」
この二人はいつもずっとこんな調子で、部屋の室温を上げまくっている。リリアは手でパタパタと顔をあおいだ。
(暑い、暑すぎるわ。もうやってられないわ。私も早くいい人を見つけたい)
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