上 下
9 / 28
第一章 人族の国

最初の上司

しおりを挟む
エリザベートが王都に向かって出立してからおよそ一ヶ月後、エロかっこいい女性騎士を連れて屋敷に戻ってきた。

厨房でいつものように料理研究をしていると、

「ノウキ、ちゃんと魔法の訓練してた?」

とエリザベートが声をかけてきた。

一ヶ月ぶりに見るエリザベートは一ヶ月前のとき以上に美しかった。

俺はエリザベート姉妹の期待に応えるため、辛くても何とか頑張っている。

「ええ、頑張ってますよ」

「紹介するね。こちらはカトリーヌ将軍よ」

ひょえ~、綺麗な人だなあ。

「カトリーヌよ。ヨロシク頼むわね」

胸も大きくて、軍服の盛り上がりがすごいことになっている。

はい、ヨロシク頼まれちゃいます。

「はじめまして、ノウキです」

「カトリーヌ将軍は第一軍を指揮するバリバリの軍人よ」

エリザベートはそういうが、俺には軍服を着たコスプレーヤーに見える。女性らしい曲線が美しく、色気がありすぎるのだ。

あっ、エリザベートが睨んでいる。いかん、鼻の下を伸ばしてしまっていたようだ。

「そうだ、少しお休みになられた後、お昼ご一緒にどうですか?」

俺はかなり完成に近づいたハンバーグを二人に食べてもらいたいと思った。

「いいわよ。何か面白いものを食べさせてくれるのね」

エリザベートは期待に目を爛々とさせている。

「ええ、期待していてください」

「期待しているわ。じゃあ、また後でね」

カトリーヌ将軍か。第一軍ということは、一番信頼されているということなのかな?

まずは胃袋を掴もう。俺はハンバーグを料理長のアンナさんに用意してもらうようお願いした。

***

エリザベートは見たこともない料理が並べられているのを見て

「これ、何?」

と思わずつぶやいた。

エリザベートとカトリーヌの前には、皿に盛りつけられたハンバーグとスパゲッティが並べられていた。

魔法で作った新鮮な冷たい水と、木のフォークと小型ナイフも置いてある。

「ハンバーグとスパゲティナポリタンです。こうやって食べるんです」

俺はナイフとフォークでハンバーグを切り、スパゲティをフォークに巻き付けて食べて見せた。

2人が慣れない手つきで、俺を真似して料理を口にした。

「ちょっと、ものすごくおいしいじゃない!」

エリザベートは驚愕の表情をしている。

「!」

カトリーヌも同様だ。

しばらく、三人は黙々と食事を進めた。エリザベートもカトリーヌも幸せそうな顔で、料理を堪能している。

「あなた、合格よ」

カトリーヌが突然、俺に語りかけて来た。

「料理ですか? ありがとうございます」

「料理もそうだけど、第一軍への入隊を認めるわ」

エリザベートが経緯を説明してくれた。

「母にあなたのことを話したら、母がカトリーヌ将軍にあなたを見て来るように、って依頼したのよ。カトリーヌ将軍が合格判定したら、第一軍に編入を認めて、そこで頭角を現すようであれば、母はあなたに会うそうよ」

優秀なセクシー女上司はカトリーヌさんなのだろうか。正直ここまでのセクシー度は期待していなかった。神様いい仕事しすぎだ。

「ありがとうございます。早速ですが、カトリーヌ将軍に見て頂きたいものがあります」

俺は午後、カトリーヌにメイドメイジたちの訓練を見てもらうようお願いした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

天使の墜とし方 - 卑屈なαとワガママΩ -

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:30

記憶の中の彼女

青春 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:0

【完結】ご懐妊から始まる溺愛〜お相手は宇宙人

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:328

悪女さま、手筈は整えております

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:266

主人公の幼馴染みの俺だが、俺自身は振られまくる

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:6

こういうゲームあればなぁ〜

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

管仲・晏嬰・孟嘗君・田単:斉(せい)国の名宰相たち

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1

処理中です...