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第一章 人族の国
エリザベートの視点:エリザベートの決意
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ノウキが退席した後、私もノウキについて行こうとしたら、お母様に止められた。
「エリザ、少し話をさせて」
私は椅子に座り直した。
「あなたね、あんなに好き好きオーラ出してはダメじゃない」
お母様はため息をついているが、私はノウキのことが気になって仕方がないのだ。
気づいたらずっとノウキを見てしまっていて、よくノウキと視線があってしまう。ノウキは微笑んでくれるが、私は慌てて目を逸らしてしまう。
本当に私はどうしてしまったのだろう。
第二王子をはじめとして、幾多の男を蹴散らして来たこの私が、ノウキの前ではドキドキしたり、嬉しかったり、不安になったりで、とにかく普通の状態ではいられないのだ。
私がアセアセしていると、お母様がまたため息をついた。
「これは重症ね。まさかエリザがこんなにメロメロになってしまうとはね」
えっ? メロメロ? この私が?
「あら、ノウキ」
お母様が私の後ろの方を見ている。私はすぐに後ろを見た。
「えっ? どこどこ?」
私はノウキの姿を探したが、どこにもいなかった。
「あははは」
お母様が声を出して笑っている。
「お母様、私をからかうなんてひどいです」
「あはは、ごめなさいね。でも、あなたがノウキを好きなことが周囲に丸分かりでは、貴族として失格よ。しっかりと感情を制御しなさい」
そうしたいのだが、ノウキの一挙手一投足に振り回されてしまう。
ノウキがお姉さまと一緒にいると、お姉さまにノウキを取られてしまうのではないかと、気が気ではない。
カトリーヌも美人で大人の色気がムンムンして危険だし、ノウキ直属のメイドは美人揃いで、彼女たちにも気が抜けない。
私はもう心が破裂しそうで、お母様に思い切って相談してみた。
「お母様、ノウキの周りには魅力的な女性がたくさんいて、とても心配なのです」
「エリザ、あなたは誰よりも魅力的よ。その点は自信を持ちなさい。ただ、一つアドバイスしましょうか。いい男はみんなのものよ。あなた一人で独占しようと思わないことが大切よ」
私が黙っているので、お母様が話を続ける。
「一人占めしようとすると、嫉妬したり、他の女と敵対したりする。ノウキのことをあなたと同じぐらい愛して、そして、ノウキもその人を大切にしたいと思っているなら、ノウキをその人と共有する覚悟を持ちなさい」
「共有ですか?」
私に我慢できるだろうか?
「そうよ。そういう寛大な気持ちでいれば、あなたはより一層魅力的になり、よほどの女でないと太刀打ち出来なくなるわ。少しぐらいの独占欲や嫉妬心は可愛いけど、それらが原因で他の女とぶつかるのは、自分の価値を下げる行為だと心得なさい」
お母様は私をじっと見つめていたが、もう少し言葉が必要だと思ったようだ。
「浮気を許せと言っているのではないの。浮気は思う存分罰していいわよ。でも、本気は大切にしてあげなさい。ノウキにどちらかを選ぶように追い詰めるのではなく、どちらも選べるようにしてあげなさい」
「お母様、正直まだしっくりこないですが、心に留めておくようにします」
「今はそれでいいわ。とにかくあなたが常にノウキの一番でいられるように、自分自身を高める努力を怠ってはダメよ。あなたは人族の英雄になる男に恋したのよ。英雄に相応しい女になりなさい。嫉妬で不安になっている暇があったら、自分自身を磨きなさい」
「お母様、ありがとうございます。頑張ります」
私は吹っ切れた気がした。ノウキが私だけを見て、私だけで満足するよう努力しよう。ノウキがそれでも本気で付き合いという女性が現れたら、ノウキの選択を尊重しよう。
ただ、そんな事態にならないよう私は自分を磨きまくるわよ。
「そうそう、エリザはその表情でないとね。メイデン家は全力を挙げてあなたをノウキの正妻にする。でも、それは形だけでしかないの。真の正妻になり、それを維持するのはあなただからね」
お母様様がこんなに私に説明しないといけないほど大変な男の人を私は好きになったんだ。
こんなに素晴らしい人を好きになり、好きになってもらうよう努力することが許されるのは、とても幸せなことだ。
ノウキにメロメロの私は卒業だ。ノウキを私にメロメロにさせてみせるわよ。
「エリザ、少し話をさせて」
私は椅子に座り直した。
「あなたね、あんなに好き好きオーラ出してはダメじゃない」
お母様はため息をついているが、私はノウキのことが気になって仕方がないのだ。
気づいたらずっとノウキを見てしまっていて、よくノウキと視線があってしまう。ノウキは微笑んでくれるが、私は慌てて目を逸らしてしまう。
本当に私はどうしてしまったのだろう。
第二王子をはじめとして、幾多の男を蹴散らして来たこの私が、ノウキの前ではドキドキしたり、嬉しかったり、不安になったりで、とにかく普通の状態ではいられないのだ。
私がアセアセしていると、お母様がまたため息をついた。
「これは重症ね。まさかエリザがこんなにメロメロになってしまうとはね」
えっ? メロメロ? この私が?
「あら、ノウキ」
お母様が私の後ろの方を見ている。私はすぐに後ろを見た。
「えっ? どこどこ?」
私はノウキの姿を探したが、どこにもいなかった。
「あははは」
お母様が声を出して笑っている。
「お母様、私をからかうなんてひどいです」
「あはは、ごめなさいね。でも、あなたがノウキを好きなことが周囲に丸分かりでは、貴族として失格よ。しっかりと感情を制御しなさい」
そうしたいのだが、ノウキの一挙手一投足に振り回されてしまう。
ノウキがお姉さまと一緒にいると、お姉さまにノウキを取られてしまうのではないかと、気が気ではない。
カトリーヌも美人で大人の色気がムンムンして危険だし、ノウキ直属のメイドは美人揃いで、彼女たちにも気が抜けない。
私はもう心が破裂しそうで、お母様に思い切って相談してみた。
「お母様、ノウキの周りには魅力的な女性がたくさんいて、とても心配なのです」
「エリザ、あなたは誰よりも魅力的よ。その点は自信を持ちなさい。ただ、一つアドバイスしましょうか。いい男はみんなのものよ。あなた一人で独占しようと思わないことが大切よ」
私が黙っているので、お母様が話を続ける。
「一人占めしようとすると、嫉妬したり、他の女と敵対したりする。ノウキのことをあなたと同じぐらい愛して、そして、ノウキもその人を大切にしたいと思っているなら、ノウキをその人と共有する覚悟を持ちなさい」
「共有ですか?」
私に我慢できるだろうか?
「そうよ。そういう寛大な気持ちでいれば、あなたはより一層魅力的になり、よほどの女でないと太刀打ち出来なくなるわ。少しぐらいの独占欲や嫉妬心は可愛いけど、それらが原因で他の女とぶつかるのは、自分の価値を下げる行為だと心得なさい」
お母様は私をじっと見つめていたが、もう少し言葉が必要だと思ったようだ。
「浮気を許せと言っているのではないの。浮気は思う存分罰していいわよ。でも、本気は大切にしてあげなさい。ノウキにどちらかを選ぶように追い詰めるのではなく、どちらも選べるようにしてあげなさい」
「お母様、正直まだしっくりこないですが、心に留めておくようにします」
「今はそれでいいわ。とにかくあなたが常にノウキの一番でいられるように、自分自身を高める努力を怠ってはダメよ。あなたは人族の英雄になる男に恋したのよ。英雄に相応しい女になりなさい。嫉妬で不安になっている暇があったら、自分自身を磨きなさい」
「お母様、ありがとうございます。頑張ります」
私は吹っ切れた気がした。ノウキが私だけを見て、私だけで満足するよう努力しよう。ノウキがそれでも本気で付き合いという女性が現れたら、ノウキの選択を尊重しよう。
ただ、そんな事態にならないよう私は自分を磨きまくるわよ。
「そうそう、エリザはその表情でないとね。メイデン家は全力を挙げてあなたをノウキの正妻にする。でも、それは形だけでしかないの。真の正妻になり、それを維持するのはあなただからね」
お母様様がこんなに私に説明しないといけないほど大変な男の人を私は好きになったんだ。
こんなに素晴らしい人を好きになり、好きになってもらうよう努力することが許されるのは、とても幸せなことだ。
ノウキにメロメロの私は卒業だ。ノウキを私にメロメロにさせてみせるわよ。
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