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特別スキルレベルアップ編その1
ジョブ決定
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少女は、私の顔を見て言った。
「どうやら、ジョブが決まったようですね」
「はい」
私が答えると、ココアさんはさっきまでとは違った笑顔を見せた。さっきまでの笑顔はちょっと怖かったけど、今度の笑顔は、本当の笑顔に見えたんだ。
「では、わたくしはこれで。よいゲームライフを。あなたとは、またきっと会える気がします」
そう言って、ココアさんはまた奥へと引っ込んでいった。私は、男性の受付の人の言うがままにジョブの登録を済ませた。その間もまだ、クレーマーの男の人はジョブを決められないみたいで、長居していた。
ジョブ登録が完了してから私は、自分のステータスを確認する。うん、ジョブが『冒険者』から『エンチャンター』に変わってる。詳しい情報は、カンナさんのお店に戻ってから確認しよう。
私がジョブ申請所を出ようとした時だった。クレーマーの男の人が、私に声をかけてきた。
「おいお前」
「は、はいいいっ」
私、ついびっくりした声をあげてしまう。その声に男性の方がびっくりした顔をする。
「お前、嫌じゃないのかよ。自分がつきたいジョブがなかったら、嫌じゃないのかよ」
この人、いい大人だろうにまだそんなこと言ってるの。私は、ちょっとだけ呆れながら言葉を返す。
「いえ。だってさっき責任者さんが言ってましたから。現実の世界の自分の性質を加味したジョブが選ばれているって」
私の言葉に、クレーマーの男の人は顔をしかめた。
「現実の世界の自分って言ったって。ここは、ゲームの世界だぞ」
「ゲームの世界ですが、このゲームは現実の世界とリンクしているところがあるんです」
これは、ただのRPGじゃない、VRMMOだ。キャラメイキングも、自分の現実での見た目がだいたいそのまま引き継がれて、自由にできないゲーム。
「現実とリンクしているのが不満であれば、このゲームは向いていないんだと思うしかありません。このゲームは、現実とリンクしていることがウリでもあるんですから」
現実から逃避するためにゲームをする人もいる。でもこのゲームでもしかしたら新しい何かを見つけることができるかもしれないという期待を込めて、ゲームをする人もいる。
今の私は、後者だ。元々は前者だったんだけどね。
「あなたは、特別スキルを持っているんでしょう。だったら、きっとこのゲームに見いだされた何かがあるはずです。それを探してみてはいかがですか」
私が言うと、クレーマーの男の人は、黙ってしまった。私は、それを合図に今度こそジョブ申請所を後にする。
ジョブ申請所からカンナさんのお店まで戻ってくると、私はシュウさんにメールを送っておく。さっきのクレーマー男性のIDを送るために。
あの人は、このゲーム世界でどう生きるか知らないけれど。私はきっと、このゲーム世界で変わってみせる。改めて、そう決意した。
「どうやら、ジョブが決まったようですね」
「はい」
私が答えると、ココアさんはさっきまでとは違った笑顔を見せた。さっきまでの笑顔はちょっと怖かったけど、今度の笑顔は、本当の笑顔に見えたんだ。
「では、わたくしはこれで。よいゲームライフを。あなたとは、またきっと会える気がします」
そう言って、ココアさんはまた奥へと引っ込んでいった。私は、男性の受付の人の言うがままにジョブの登録を済ませた。その間もまだ、クレーマーの男の人はジョブを決められないみたいで、長居していた。
ジョブ登録が完了してから私は、自分のステータスを確認する。うん、ジョブが『冒険者』から『エンチャンター』に変わってる。詳しい情報は、カンナさんのお店に戻ってから確認しよう。
私がジョブ申請所を出ようとした時だった。クレーマーの男の人が、私に声をかけてきた。
「おいお前」
「は、はいいいっ」
私、ついびっくりした声をあげてしまう。その声に男性の方がびっくりした顔をする。
「お前、嫌じゃないのかよ。自分がつきたいジョブがなかったら、嫌じゃないのかよ」
この人、いい大人だろうにまだそんなこと言ってるの。私は、ちょっとだけ呆れながら言葉を返す。
「いえ。だってさっき責任者さんが言ってましたから。現実の世界の自分の性質を加味したジョブが選ばれているって」
私の言葉に、クレーマーの男の人は顔をしかめた。
「現実の世界の自分って言ったって。ここは、ゲームの世界だぞ」
「ゲームの世界ですが、このゲームは現実の世界とリンクしているところがあるんです」
これは、ただのRPGじゃない、VRMMOだ。キャラメイキングも、自分の現実での見た目がだいたいそのまま引き継がれて、自由にできないゲーム。
「現実とリンクしているのが不満であれば、このゲームは向いていないんだと思うしかありません。このゲームは、現実とリンクしていることがウリでもあるんですから」
現実から逃避するためにゲームをする人もいる。でもこのゲームでもしかしたら新しい何かを見つけることができるかもしれないという期待を込めて、ゲームをする人もいる。
今の私は、後者だ。元々は前者だったんだけどね。
「あなたは、特別スキルを持っているんでしょう。だったら、きっとこのゲームに見いだされた何かがあるはずです。それを探してみてはいかがですか」
私が言うと、クレーマーの男の人は、黙ってしまった。私は、それを合図に今度こそジョブ申請所を後にする。
ジョブ申請所からカンナさんのお店まで戻ってくると、私はシュウさんにメールを送っておく。さっきのクレーマー男性のIDを送るために。
あの人は、このゲーム世界でどう生きるか知らないけれど。私はきっと、このゲーム世界で変わってみせる。改めて、そう決意した。
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