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リアルでの活動開始
アイダさんの話を聞くその4
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「その男性とは、どこで会ったんですか」
「分かりません。地図にない場所でした」
私の言葉に、アイダさんは顔をしかめた。
「あの後、地図を見て確かめたので間違いありません」
「地図にない場所……」
「ええ。あの場所には、勝手に転送されたものですから」
それを聞いて、私ははっとする。
「もしかして、メールを開いたら勝手に転送されたんですか!?」
「え、ええ……」
私が急に身を乗り出したから、アイダさんは驚いた顔をした。
「実は私も、同じようにメールを開いたら転送されたんです」
「え、サランさんも……?」
アイダさんには、私があの謎の男の人と会ったことがあるってことは話してあった。でも、具体的にどうやってあの人に会ったかは話していなかった。
私もアイダさんから詳しい話を聞けていなかったから。
「迷惑メールの類は、URLを開かなければ大ごとにはならないのが基本だと思っていたので、メール自体は開いても問題ないだろう、と思いまして……」
「私もです」
私の言葉に、アイダさんも頷く。
「私に送られてきたメールには、ゲーム運営側をにおわせる件名がつけられていました。アイダさんもそうでしたか」
「はい。最初に来たメールがそうでした。私に間違ってスキルを付与してしまったという内容のメールですね。それで、この送付アドレスは運営のアドレスなんだと勝手に思ってしまいました」
アイダさんがうつむく。
「私も最初はそう思いました。仕方ないですよ、だって運営のメールアドレスを詳しく調べようとしませんでしたし」
よくある詐欺のメール。大手通販サイトを装うメールのメールアドレスは、本来大文字のはずが小文字になっていたり、変なところにハイフンやドットがついたりしていて、微妙に公式のアドレスと異なっている。
「……ちなみに、そのメールは残っているだろうか」
シュウさんが口を挟む。すると、アイダさんは首を横に振った。
「消去した覚えはないので、残っているかもしれません……」
今度はシュウさんが私の方を見る。私も、首を横に振る。
「すみません。私のは、自分自身の手で完全に消去してしまいました。また変な場所に転送されたらと思うと、怖くて」
「……その方が、賢明だろう。今後も、自分の身を最優先で考えてくれ」
シュウさんは怒ったりしなかった。むしろ少し安心したような複雑な声色だった。
「……。メールを開かないようにして、そのメールが残っていないかを確認してもらえないだろうか」
シュウさんの言葉に、アイダさんは一瞬戸惑った表情を浮かべる。
「……心配ない。もしまた転送されそうになったら、このサランのメールに該当メールを転送してくれればいい。そうすれば、サランやこちらも一緒に転送されることになる」
そう。私が転送された時、咄嗟にシュウさんにメールを転送したら、一緒に転送された。今回もそうすれば、最悪転送されそうになっても一人ぼっちで転送されることはない。みんな一緒なら怖くない、だ。
「分かりません。地図にない場所でした」
私の言葉に、アイダさんは顔をしかめた。
「あの後、地図を見て確かめたので間違いありません」
「地図にない場所……」
「ええ。あの場所には、勝手に転送されたものですから」
それを聞いて、私ははっとする。
「もしかして、メールを開いたら勝手に転送されたんですか!?」
「え、ええ……」
私が急に身を乗り出したから、アイダさんは驚いた顔をした。
「実は私も、同じようにメールを開いたら転送されたんです」
「え、サランさんも……?」
アイダさんには、私があの謎の男の人と会ったことがあるってことは話してあった。でも、具体的にどうやってあの人に会ったかは話していなかった。
私もアイダさんから詳しい話を聞けていなかったから。
「迷惑メールの類は、URLを開かなければ大ごとにはならないのが基本だと思っていたので、メール自体は開いても問題ないだろう、と思いまして……」
「私もです」
私の言葉に、アイダさんも頷く。
「私に送られてきたメールには、ゲーム運営側をにおわせる件名がつけられていました。アイダさんもそうでしたか」
「はい。最初に来たメールがそうでした。私に間違ってスキルを付与してしまったという内容のメールですね。それで、この送付アドレスは運営のアドレスなんだと勝手に思ってしまいました」
アイダさんがうつむく。
「私も最初はそう思いました。仕方ないですよ、だって運営のメールアドレスを詳しく調べようとしませんでしたし」
よくある詐欺のメール。大手通販サイトを装うメールのメールアドレスは、本来大文字のはずが小文字になっていたり、変なところにハイフンやドットがついたりしていて、微妙に公式のアドレスと異なっている。
「……ちなみに、そのメールは残っているだろうか」
シュウさんが口を挟む。すると、アイダさんは首を横に振った。
「消去した覚えはないので、残っているかもしれません……」
今度はシュウさんが私の方を見る。私も、首を横に振る。
「すみません。私のは、自分自身の手で完全に消去してしまいました。また変な場所に転送されたらと思うと、怖くて」
「……その方が、賢明だろう。今後も、自分の身を最優先で考えてくれ」
シュウさんは怒ったりしなかった。むしろ少し安心したような複雑な声色だった。
「……。メールを開かないようにして、そのメールが残っていないかを確認してもらえないだろうか」
シュウさんの言葉に、アイダさんは一瞬戸惑った表情を浮かべる。
「……心配ない。もしまた転送されそうになったら、このサランのメールに該当メールを転送してくれればいい。そうすれば、サランやこちらも一緒に転送されることになる」
そう。私が転送された時、咄嗟にシュウさんにメールを転送したら、一緒に転送された。今回もそうすれば、最悪転送されそうになっても一人ぼっちで転送されることはない。みんな一緒なら怖くない、だ。
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