言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空

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リアルでの活動開始

作戦に必要なアイテム。

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「……。作戦の内容を詳しく聞かせてもらおう。内容によっては、それを採用しよう」

 私の言葉に、シュウさんが頷いてくれる。私は、アイダさんとシュウさんに自分の思いついたアイデアを話す。

 それは、私が子どもの頃に読んだ児童ファンタジー小説に出てきたものだった。あるアイテムがあれば、実行可能なもの。

 私の特別スキルであれば、おそらく同様の効果をもたらすアイテムを作り出すことは可能だと思う。

「……その小説なら、こちらも読んだことがある。有名だからな」
「私もです」

 シュウさんとアイダさんは頷きあう。シュウさんは腕組みしながら言葉を続ける。

「……しかし、あの小説においてそのアイテムを作成する際、かなり苦労したはずだ。あちこちから材料を集める羽目になり、そのうち一つはどこかから、くすねて……」
「シュウさんシュウさん、そこは『拝借』というのです」

 拝借とはいえ、永遠に拝借しっぱなし、さらには借りた相手には許可も得てない、『拝借』ですけどね。

 その言葉を飲み込みつつ、訂正する。

「……作れそうなのか」
「やってみないと分かりません。ですが」
「……ですが?」

 シュウさんが形のいい眉をひそめる。

「さっき私、今日のスキル使用上限まで、特別スキルを使用してしまいました……」
「……そうだったな……」

 シュウさん、大きなため息。そう。アイダさんとお話していて遅くなったら、スキルを使い切れないかもと思って、ログインして割とすぐに使っちゃったんだよね。

「……メールを再度開いたことを確認できるような環境を敷いている相手だ。今回のメールも開封したかどうかは、相手側に伝わっているだろうな」
「そうでしょうね」
「だとすれば、今日はあえて放置して、日付が変わったあとに返信する方がいいかもしれませんね」

 このゲームは、オンラインゲームやソシャゲと同じように、『ログインボーナス』がある。そしてそのログインボーナスが付与されるタイミングで、私の特別スキルの使用回数もリセットされる。

 このゲームのログインボーナス付与タイミングは、午前4時。つまりは、この時間以降じゃないと、私の特別スキルは再使用できるようにはならない。

「明日の夜、ここに再度集合しましょう。アイダさんと合流するまでに、私はさっきお話したアイテムが作成できるか試してみます。そして、作成できましたら、アイダさんにメールの返事を書いてもらいましょう」
「作成できなかった場合は……」

 シュウさんの言葉に、私は悩みつつ答えた。
「その場合は、他にいい案が浮かばなかった場合には、とりあえずこの件はなかったことにしましょう。せっかく向こうから接触してくれたのに、チャンスを棒に振るのは惜しいですが、人の人生を巻き添えにする覚悟は、私にはまだありません」
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