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リアルでの活動開始

新たなメール

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「同じメールアドレスからですか!?」

 私の言葉に、アイダさんがぶんぶんと首を縦に振る。

「前に変な場所に転送されたメールと同じ、メールアドレスです」
「件名は、どうなってます?」

 私が聞くと、アイダさんが目を細める。

「『気にかけてくれてありがとう』ですって」
「気にかけてくれてありがとう……。一体どういう意味でしょう」
「……すまないが、そのメールも転送を頼む」

 アイダさんはシュウさんの言葉に頷く。それから数十秒後、新着メールを告げるポップアップが再び立ち上がる。

 件名は確かに、『気にかけてくれてありがとう』。私は慎重にメールを開封した。

『以前送ったメールをまた開いてくれたみたいだね。それはきっと、まだ僕が話した内容に興味を持ってくれているということだよね。君さえよければ、もう一度僕と会ってくれないかな。スキルを渡してくれれば、お礼はするよ』

「結局、スキルはほしいってことですよね……」

 アイダさんがため息をつく。

「ですが、どうしてメールを再開封したことが相手に伝わったんでしょうか」

 私の言葉に、シュウさんは腕組みする。

「……。おそらく、そういったプログラムを、メールに組み込んでいたのではないだろうか」
「そんなこと、可能なんですか?」
「……こちらは、プログラミングに明るくないから分からない。しかしここは仮にも非現実世界、仮想空間だ。特別スキルによって可能にした可能性もある」

 そういわれて、納得する。そう、ここはゲームの中の世界だ。なんでもありえるといえば、ありえる。

「これに返信すれば、また相手からアクションがあるかもしれませんね」

 アイダさんがポツリと言う。私は慌てて制した。

「危険です。相手が何をしてくるか分かりません」
「でも……。このまま放っておいたら、私のような被害にあう人が増えるかもしれません。私は運良く自分のスキルを奪われずに済みましたが、全員がそうなるとも限りません」

 アイダさんの言葉に、私は言い返せない。確かに、ここで手を打たなければさらに被害者は増える。運営もまだ、相手のことについて掴めていない。だから私たちに協力を要請してきた。でも……。

 シュウさんを仰ぎ見る。すると彼は、静かに言った。

「……一般の人をこれ以上巻き込むのは、気が引ける」
「そうですよね」

 その時、ふと昔読んだファンタジー小説の内容がよみがえった。これなら!

「シュウさん!この作戦なら、行けるかもしれません!ただ、うまく行く保証はありませんが……」
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