春の風にあらわれながら

斗有かずお

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 Ⅰ

 弟・了介①

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 コンコンコンコンコンコン……コンコンコンコンコンコン……。
 玄関ドアの内側にいる住人の耳にどう響こうがおかまいなしの、
「こんだけ叩いてるんだからよ、とにかく開けろや」
 と言いたげなノック音。
 羽毛布団と毛布の下でうつ伏した日下部(くさかべ)了介は、浅い眠りから目覚めた。
(……同業者だな、この叩き方は。もう仕事に励む時間かよ)
 うつ伏したまま、オレンジ色の枕の上で顔を反転させ、パイプベッドの脇にあるカラーボックスの上に目をやった。目覚まし時計の銀色のベルが、ガラス窓越しに冬の黄色い西日を反射していて、眩い。時計の針は夕刊配達の真っ只中の時間、四時半をさそうとしていた。了介は、今度は裸の痩身長躯を反転させ、後ろ頭を枕の上に乗せた。
(記念すべき第一回東京マラソンという名の大宴会も、もうお開きだな……って、そりゃ昨日の昼間の話か)
 ベッドを置いた畳敷きの六畳間と、その先の板敷きの二畳半の台所の間には、引き戸すらない。「ワンルーム」のアパートの玄関ドアは合板製で、おまけにかなり古い。平坦なリズムで再びドアをノックする音が、また同じ回数だけ必要以上に耳に響く。叩き慣れた、ノックし慣れた音。この安アパートの住人を小馬鹿にしたような拳の動きが目に浮かぶ。拳の持ち主は、玄関ドア脇の曇りガラスに鼻先を突けんばかりに顔を寄せている。
(さて、なんと呼ぶ)
 了介は、耳をすませた。
「ヒシタベさーん」
 と低く、柄の良ろしくない声。
(こいつもヒシタベかよ。これだから拡張員は)
 この安アパートは、「しょっぱい」。勧誘ズレしているので、滅多なことでは玄関ドアは開かない。新聞拡張員を生業としている了介も、他の住人同様に同業者には門戸を閉ざす。新聞であれ、宗教であれ、勧誘を受けるのはご免だ。表札に記した「日下部」を「クサカベ」と読んでくれた拡張員には、曇りガラス越しに、うちは同業者だよ、とおしえてやる。そうでない場合は無視を決め込む。柔道やプロゴルフに同じ名字の一流選手がいたので、相手にする気にはなれない。
(柔道はともかく、ゴルフなんてほとんどの拡張員には縁がねえか。それに、自分が売ってる新聞のスポーツ欄すらろくに読んじゃいねえし)
 ふと了介は、「ヒノシタ」さんと玄関ドア越しに呼んだ拡張員がいたことを思い出し、口元だけで笑った。その拡張員が名前となる「部」をどう読んだのかと思うと、声には出せない笑いが大きくなる。
(……満たし終えたあとの昼寝を同業者に邪魔されるとは、因果なことよ)
 笑いは小さくなり、やがて苦笑いに変わった。精神の疲れは幾分取れているが、肉体は疲れ切っている。今日も早季子(さきこ)は激しかった。了介と岡村早季子は平日の真っ昼間に、かつ北千住の商店街の外れにあるこのアパートの一室でしかセックスができない。早季子は今日も歯を食いしばり、もしくは唇を噛んで声を押し殺していたが、やがてあえぎ声をもらしはじめ、しだいにその音量を大きくていった。いつものことながら、了介は冷や汗ものだった。
 木造二階建ての安アパートの壁は当然薄い。一階の角部屋なので、外にも隣と上の部屋にも早紀子の声は筒抜けだ。幸い、その二つの部屋には平日の昼間に住人がいることはまずない。いたとしても、お互い様だ。週末の夜には、隣の部屋の女の安っぽいあえぎ声や、上の部屋の女の獣のような声が聞こえてくる。まるで音量を押さえ気味にしてアダルトビデオを再生しているかのように。
「ヒーシターベさーん」
 同業者は、曇りガラスの向こうでまだ粘っている。しかし、新聞拡張員にはやはり居留守を使うに限る。それに、酷使した腰はすでに張っていて、服を着るのも、それ以前に起き上がるのも億劫だ。
(一眠りしたあとに張りが出るとは、オレもまだ若いな)
 強がってはみるが、もう若くはないことを嫌でも自覚せざるをえない。二十代のころはベッドをともにした女より先に、しかも真っ昼間から寝入ることなどまずなかった。
 部屋のエアコンは切れている。なおもノックされている玄関ドアの上方には電気メーターの円盤があるが、ゆっくりとしか回っていないはずた。「不在」の印を無視して叩き続けた勘だけは良さそうな拡張員は、ようやく諦めたらしく曇りガラスの前から去っていった。

 数十秒ののち、どっこらしょ、と了介は意を決し上体を起こした。部屋の寒さに背中が震える。カラーボックスの上のリモコンに手を伸ばしてエアコンを入れ、ベッドから下りた。早季子が畳んでくれていた服をすべて着たところで、コタツの上に置手紙が残されていることに気づいた。

 炊飯器はいつも通り七時にセットしました。ハンバーグはチンして、おみそ汁はコンロで温めてね。あと、冷蔵庫にサラダが入ってます。 サキコ   

 食器棚の上の三合炊きの炊飯器には予約ランプが点いている。その脇の電子レンジには白い皿が入っていて、コンロには小さな片手鍋が載っかっている。
(この部屋も、物が増えたな……)
 了介は、脱力感を覚えて畳に腰を下ろし、胡坐をかいて大きな背中を丸めた。いつの間にか合鍵を作っていた早季子が、時にはわざわざタクシーを使ってまで、この部屋に物を少しずつ持ち込んでいる。磨き込まれたタイル壁のフックに掛かけられた、フライパンと大中二つの片手鍋。シンクの脇の皿立て水切りには、まな板とボールと二本の包丁。コーヒーメーカーの脇のオレンジ色のプラスチック製コップには、ライトグレーとオレンジ色の歯ブラシが差されている。
 食器棚には、マグカップと大小のグラス、瀬戸物と木製の碗に、大小の鉢、そして大中小の皿が、まるで二人暮しであるかのように二組ずつ並んでいる。広めのシンク下の消耗品の在庫も男の一人暮らしとは思えないくらい充実している。ラップにアルミホイルにキッチンタオル、スポンジに洗剤類。毎週減った分だけ米が補充されているライザーの脇には、了介の好きなジョージアコーヒーのロング缶が一ダース、二列縦隊を組んでいる。
 スカスカだったクローゼットの中身も増えた。トレーニングスーツとジャージの上下が四組ずつ。ハーフコートとジャケットが三枚ずつに、滅多に着ない一張羅のスーツの上下。ジーンズが三枚に、チノパンとスラックスが二枚ずつ。そして、着けもしないネクタイが五本。Tシャツにポロシャツにドレスシャツ、トランクスや靴下の類は、数えることすら面倒だ。それらの多くはタンスには納まりきれず、押入れの下段でティッシュペーパーとトイレットペーパーの在庫とともに、二段重ねのコロ付き収納ケースに納まって新古品と化している。
 コタツ布団とベッドのカバー類、そしてカーテンは、ある夜に部屋に帰って電気を点けると、早季子の好きなオレンジ色で統一されていた。了介は、物に執着しない。早季子の行為をありがたいとも、ありがた迷惑だとも思わない。しかし、引越し慣れしたチョンガーは、やはり元のスカスカの部屋のほうが落ち着く。午前中に早季子が掃除した部屋は古いが小ぎれいで、一見若い女の住処のようだ。
(誰の部屋に近いかな)
 了介は、昔付き合った女の顔とその一人暮らしの部屋を対にして脳裏に浮かべてみる。真紀じゃねえな。由里子か。それとも奈央……。人妻の早季子が押しかけ女房さながらに、この部屋にやってくるようになってから、間もなく三年になろうとしている。月収は徐々に増えているが、出費は早季子のおかげで徐々に減っていて、銀行口座の残高は月を重ねるごとに増えている。
「むなしいねえ」
 と了介は呟いていた。あまり胸を張っては言えないが、新聞拡張員の仕事は順調だ。収入も貯金も独身の三十男には充分すぎるくらいある。女は三つ年上の早季子の他に、一つ年上の加藤葵もいる。しかし、声に出して、あるいは心の中で、むなしいねえ、と呟く回数は月を重ねるごとに増えていた。
「いけねえ。高山さんと約束してたんだった」
 了介は、卓上ホルダに載っかった携帯電話を手に取り、高山良男に今から家を出る旨のメールを送信して、服を着替えはじめた。仕事着でもあるトレーニングスーツの色は、冬場の新聞拡張員にもっとも相応しく思える白を選んだ。

 高山良男と落ち合う場所は、練馬の下石神井と決まっている。高山が今も勤務している新聞販売店の最寄りのファミリーレストランだ。学生店員である新聞奨学生だったころに担当した区域のすぐ近くにあるので、新聞拡張員になって以来、了介は正直なところあまりいきたくはない。新聞販売店員の業務の一つに「案内」がある。文字通り学生店員や専業店員が拡張員を連れ、多くは午後七時から九時のゴールデンアワーに、区域内の見込み客を案内して回る。建前として、店員は自分でも購読契約が取れそうな「おいしい客」の所へ連れていってはならない。しかし、了介もついそんな客を案内してしまったことが少なくなかった。
 小金と小知恵を持った拡張員は、ちょっと一服してから回りましょうよ、と言って店員をファミレスや喫茶店に誘う。大学予備校生だったころの了介も、拡張員を最初にその下石神井のファミレスに案内したことは一度や二度ではない。店内で席に着くと、奢りますからなんでも好きな物を飲んで食ってくださいよ、とお決まりの台詞が拡張員の歪んだ口から発せられる。販売店が賄う夕食ですっかり腹が膨れている店員は、コーヒー等は飲んでも、デザート類を除けば食べることはまれだ。たとえコーヒー一杯であろうが注文した時点で、最低でも一本はおいしい客を案内して、拡張員に「契約カード」をあげさせねばならなくなる。拡張員は自分の分を含めた飲食費の数倍の、「カード料」という名の販売店からの報酬を手にすることになる。
 ファミレスや喫茶店では取引が行われることもある。拡張員は基本的に一本幾らの歩合制だ。店員は一本契約を取ったからといって、それが必ずしも「拡張手当」に反映されるとは限らない。一本につき幾らの拡張手当をつける販売店でも、その額は拡張員のカード料より桁違いに低い。ゆえに、おいしい客ばかりを案内して数千円の、あるいは万円を超えるカード料を拡張員と折半する店員もいる。
 他の拡張員とは違い、了介は店員の懐柔策をいっさい取らない。そもそも案内自体を拒否することが多かった。玄関ドアを開けもしない、トラブルの有った過去読者を案内されても時間の無駄だ。新聞代の口座引き落としが定着して以来、ますます怠け癖のついた店員たちを目にするのは耐え難くもある。

 了介は、ファミレスのガラスドアの取っ手を押した。チリンチリン、という鈴の音をくぐって程なく、
「おっ、きたかあ」
 と東北訛りの声が喫煙席の最前から聞こえてきた。秋田と青森の県境の山間部出身の高山良男を、了介はひそかに蝦夷の末裔ではないかと思っている。高山は濃い眉の奥のつぶらな瞳を輝かせながら、タバコを銀色の薄っぺらい灰皿で揉み消した。
「おうおうおう。いつまで拡張員やってんだよお。はよう、うちに帰ってこいよお」
 高山の口から発せられるお決まりの台詞は、この五年間変わっていない。了介は、この先輩にだけは頭があがらない。一つ年上の高山を目の前にすると、年子の兄の了治と同じくらい親しみを感じ、かつ少々緊張してしまう。おまけに、了介は熊襲の末裔と言っていい。高山には同じ異端民族の末裔としての親近感まで覚えてしまう。
 三浪したのちに四流大学を出ている高山は、七年間新聞奨学生として、そのあとに八年間専業店員として新聞販売店に籍を置いているベテラン店員だ。新聞奨学生だったころの了介の働きっぷりを誰よりよく知っているがゆえに、本心から帰ってきて欲しいと願っている。了介の一年目の意気込みと二年目の失望を、誰より共感していたからでもある。高山は、自分が主任に昇格した年に了介が新聞拡張員になったことを知って以来、その思いをより強くしている。
「肉でもなんでも好きなもん食え。今月な、もう回収率百パーセント達成したんだわ。拡張手当四万三千円、満額ゲッド」
 高山はそう言って、座席に腰を落ち着かせた了介に微笑み掛けてきた。
「やったっすね。でも、また区域を持たされてるんすか?」
 了介は微笑み返しながら、わかり切ったことを尋ねた。
「先月からな。まただあ」
 高山は、苦笑しながら言葉を続ける。
「先月止めの客がたったの四本だったんだわ。分母が四なら、過去読者に集金と挨拶回りしながらよ、たった三本ハンコもらって回収率七十五パー、夕刊配達中に引越し客一本つかまえて百パー達成。楽勝だあ。前任者が二人続けて三ヶ月持たんかったんだわ。二人とも、拡張どころか、集金も真面目にやんなかったから」
 高山が勤務している販売店では区域ごとに、前月で契約が終了した本数を分母に、当月に担当者が契約を取った本数を分子して、「回収率」なるもの出す。その回収率百パーセント達成でえられる満額の拡張手当は、了介が昨日十本あげてえた契約カード料とほぼ同じだ。了介は、月によっては高山の倍以上の収入がある。奢ってもらうのは少々気が引けるが、お冷やを持ってきた学生風のウエイトレスに、いつも通りサーロインステーキセットを注文した。
 主任に昇格して以来、年輪を重ねるようにビール腹を膨らましている高山は、恩着せがましさを微塵も見せずに、ただ満足そうにつぶらな瞳と厚い唇で微笑んでいる。
「そうそう、忘れんうちに」
 高山は、販売店が新聞社から買わされたブルーのジャンバーの内ポケットから茶封筒を取り出し、了介のお冷やの脇にそっと置いた。自身で管理している無料招待券が余ると、いつもそれを取りにこいと了介に携帯メールを送ってくれる。
「いつもすんません。助かります」
 了介は軽く頭をさげ、茶封筒をトレーニングスーツの上着の内ポケットに納めた。
「最近は学生や専業が、券くれ、って言わなくなったわ。昔は、みんなで取り合いしてたのになあ」
 と高山はガラス窓に視線を向けながら言った。
「『チケットプレゼント』って銘打った券のリストを折込みのアタマに入れて、欲しい客は取りにこい、って販売 店が、オレの入る地域では結構あるんすよね。オレが石神井にいたころを考えたら、信じらんねえっすよ」
 話を合わせると、学生風のウエイトレスが早くもテーブルに肉の焼ける音と匂いのする鉄板を置き、ごゆっくりどうぞ、と電子音のような声を残して去っていった。
「リョウスケ」
 高山にそう呼ばれると、了介はいつもドキッとする。名前を呼び捨てにしてくれるのは、今や高山と電話越しの兄だけだ。
「うちの販売店も全区域原付に替えて、自転車は予備で一台だけしか残してないんだわ。八号車だけ。お前が乗ってたやつだけだあ」
 新聞勧誘の仕事中に原付バイクは極力使わないことを、高山に話したことがある。スピードが出る分だけ視界が狭くなり、目に入ってくる情報が少なくなるのを嫌ってのことだった。確実に契約カードの本数をあげる了介のために、わざわざ業務用自転車を系列店から取り寄せてくれる販売店もある。
「まあ、気長に待ってっから、その気になったらいつでも帰ってこいや。拡張専門の営業員でもいいからさ」
 了介は、白いコーヒーカップを手にした高山から目をそらし、切った肉片を頬張って、頷くように咀嚼した。
(東京にきて楽しいことがあったのは、この辺で新聞屋をやってた一年目だけだったな……)
 高山に礼をするように、了介の頭がゆっくりとさがっていった。

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