冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

ナナスケ

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野獣

第三十一話

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アベル領から戻ってきた日からというもの、リアムの様子がおかしい事にローズは気が付いていた。

具合悪そうにしているかと思えば、自室ではなく必ず城の離れの塔に閉じこもる。

しかし、塔に閉じこもってから一週間、食事と取らずに出てこようとしない。

いつも塔の前に食事を置いているが半分以上を残している。

しかし、リアムに塔の中には入らないように言いつけられているため様子を伺うことも出来ずにいた。

部屋で1人ため息をつくとローズの髪をブラシにかけながらシエルが問いかける。

「如何なさいましたか?奥様。」

「、、、リアム様がもう何日も出てこられない、、、お医者様もお呼びになるなと仰るし。」

庭で摘んできた白い薔薇を花瓶にさしながら再び深いため息を着く。

「具合が悪いのならお医者様に見てもらうべきなのに、、、」

シエルはブラシを置くと部屋の明かりを少し暗くしながらメイドが持ってきたポッドで紅茶をいれる。

「奥様まで体調を崩されては元も子もありません、明日また様子を見に行きましょう。」

そう言うとローズをベッドに寝かせ、部屋の灯りを消した。


翌日、ノエルがレオから勉学を習っていた。ローズが家やヴェルグラ家直属の商店の支出内訳や使用人への給料内訳書類の生理をする際に補佐として動けるようにレオから学んでいた。

「休憩にしましょう」

レオがノエルに紅茶を出すとそれを一口飲む。

「奥様は本当に優しいお方です。僕たちの命も救われました。」

ノエルは本をなぞりながら庭の花に視線を向ける。

「本来なら僕達は悪い人たちの一味だった。罰を受けるべきだったのに。」

切なそうに語るノエルにレオは目を伏せた。

「おふたりに出会う前、奥様はあまり人と関わろうとはしなかった。ご自分から誰かに関わろうとしたのはこれで2度目です。」

「2度目?」

レオの言葉にノエルは疑問の言葉を返した。

「1度目はリアム様です。」

「旦那様、、、」

「自分以外の世界に目を向けたということです。それを素直に受け入れることが出来るのが奥様です。」

レオは小さくため息をつくと

「ただ、リアム様はまだ戸惑っておられる。初めて奥様に咎められ、自分の知らない顔を見せたことに焦っておられる。」

その時、庭の花が一斉に風に揺られ花びらを散らせた。




そして、ローズはシエルに言われた通りバケットにパンや、ぶどうを入れ塔へと向かっていた。

いつ見ても感じる萎縮してしまうほどの威圧感にローズは思わず立ち尽くす。

拳を握りしめると塔の入口のドアに手をかけシエルにここで待つように告げる。
一段、一段登る度に張り詰めたような空気が増していく。

登ってはいけないような。

知ってはいけないものがあるような。

何故公爵様があんなにも私に固執するのか。

見た目で判断する人間を毛嫌いする理由も。

子供さえも亡き者にしようとした理由も。



ローズはリアムのいる部屋とは思えない、、、、まるで牢獄のような重々しい部屋の扉に手を置く。


この扉を開けば、、、


わかってしまうのかもしれない。



次回に続く



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