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野獣
第三十二話
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ギィィィィィ、、、
鉄の扉が床に引きずられながら開かれる。
嫌な音を立てながら開かれた扉の先はローズの手にある手燭の灯りのみで他は夜のごとく闇が広がっていた。
「塔の中には入ってはいけない。階段を登ってはいけない」
彼の言いつけが頭をよぎるが頭をブンブンと振り決意の眼差しで塔の最上階を見つめる。
もう、彼はローズにとってただの契約者では無くなってしまっていたから。
どんな相手にも冷血な公爵なんかでは無いことを知ってしまったから。
ローズが恐る恐る部屋に1歩踏み込むと、地よりも低い聞いたこともない声が牢屋のような部屋に響き渡る。
[誰だっ!]
それはローズに警戒を強め、まるで獣のように唸り始める。
[何故ここにいる]
ローズはリアムがいるとばかり思っていたため、知らない声に怯えていた。
「あ、、、あの、、、」
[何故ここにいると聞いているっ!]
ビクッと体を震わせローズは震える声で
「こ、公爵様が、、、ここにいるとおもっ、、て。」
そう答えるローズにそれはしばらく黙っていた。
「あの、、、貴方は?」
ローズは手燭の灯りで照らそうとするとそれは大きく唸りながらローズに威嚇をする。
[みるなっ!]
ローズは慌てて手燭を引っ込めるが月明かりが格子状の窓から盛れ始める。
それは哀願するかのように、
[頼む、、、部屋に戻ってくれ。ローズ]
その言葉と共に月明かりはゆっくりと部屋の中にいるそれを照らしていく。
そこに居たのはピンと立った耳に鋭い爪、まるで獲物を捉えるかのような瞳。
少し開かれた大きな口からは牙が覗いていた。
まるで狼の獣人のよう。
[、、、、]
その姿にローズは言葉を失う。
なぜなら、獣人族は500年前に滅びている種族であるからだ。
しかしローズはどこかこの獣人のことを知っているかのように思えた。
彼女のことを[ローズ]と呼び、、、、
彼女を怒りと悲しみが混ざりあった眼差しを向けるその瞳は血のように紅く、闇夜のように黒い毛並み。
ローズは恐る恐る近付くが獣人は激しく吠える。
[近付くなっ!]
唸る獣人にローズは悲鳴をあげ獣人はハッとし顔を背ける。
「リアム、、、様でしょう?」
その言葉に獣人は目を見開く。
「お願い、、、答えて。」
ローズの乞うような小さな声に獣人は鋭く睨みつける。
[何故ここに来た。]
「、、、」
[ここには来るなと言ったはずだ。]
獣人は唸りながらローズににじり寄る。
「り、リアム、、、」
ローズは迫る獣人に後ずさる。
その気迫に押し飲ませそうになりながら目をそらさないように前を見据える。
[何故ここに来たんだっ!]
そこに置いてあった木の椅子を叩き壊す。
「やめてっ!」
あまりの恐怖に体を背けるローズは目から一筋の涙を流していた。
[そうだ、これが俺のもうひとつの姿だ!これで満足かっ!!!!!]
ローズに吠えながら怒鳴る獣人は机さえも薙ぎ払い、壁に追いやられたローズの目と鼻の先まで距離を詰め顔のすぐ横に手を置く。
[俺が怖いか?恐ろしくなったか?逃げたくなったか?]
顔を背けていたローズはゆっくりと瞼を開け獣人と目を合わせた。
その瞳を見ればいつも「俺から離れるな」と甘えるような哀願するような寂しさを映した同じ紅い瞳がローズを見つめていた。
「リアム、、、あなたが怖いのではなくて、あなたがしている事が怖いです。この部屋に入ったことは謝ります。ごめんなさい、、、ごめんなさい。」
獣人の服を握りしめながら謝るローズ。
獣人は抱きしめようとした手を止め、ローズに背を向ける。
[出ていけ。]
低くそう言われたローズは持っていたバケットを置いてぺこりとお辞儀をすると
「おやすみなさい。リアム」
そう言って階段を降りていった。
つづく
鉄の扉が床に引きずられながら開かれる。
嫌な音を立てながら開かれた扉の先はローズの手にある手燭の灯りのみで他は夜のごとく闇が広がっていた。
「塔の中には入ってはいけない。階段を登ってはいけない」
彼の言いつけが頭をよぎるが頭をブンブンと振り決意の眼差しで塔の最上階を見つめる。
もう、彼はローズにとってただの契約者では無くなってしまっていたから。
どんな相手にも冷血な公爵なんかでは無いことを知ってしまったから。
ローズが恐る恐る部屋に1歩踏み込むと、地よりも低い聞いたこともない声が牢屋のような部屋に響き渡る。
[誰だっ!]
それはローズに警戒を強め、まるで獣のように唸り始める。
[何故ここにいる]
ローズはリアムがいるとばかり思っていたため、知らない声に怯えていた。
「あ、、、あの、、、」
[何故ここにいると聞いているっ!]
ビクッと体を震わせローズは震える声で
「こ、公爵様が、、、ここにいるとおもっ、、て。」
そう答えるローズにそれはしばらく黙っていた。
「あの、、、貴方は?」
ローズは手燭の灯りで照らそうとするとそれは大きく唸りながらローズに威嚇をする。
[みるなっ!]
ローズは慌てて手燭を引っ込めるが月明かりが格子状の窓から盛れ始める。
それは哀願するかのように、
[頼む、、、部屋に戻ってくれ。ローズ]
その言葉と共に月明かりはゆっくりと部屋の中にいるそれを照らしていく。
そこに居たのはピンと立った耳に鋭い爪、まるで獲物を捉えるかのような瞳。
少し開かれた大きな口からは牙が覗いていた。
まるで狼の獣人のよう。
[、、、、]
その姿にローズは言葉を失う。
なぜなら、獣人族は500年前に滅びている種族であるからだ。
しかしローズはどこかこの獣人のことを知っているかのように思えた。
彼女のことを[ローズ]と呼び、、、、
彼女を怒りと悲しみが混ざりあった眼差しを向けるその瞳は血のように紅く、闇夜のように黒い毛並み。
ローズは恐る恐る近付くが獣人は激しく吠える。
[近付くなっ!]
唸る獣人にローズは悲鳴をあげ獣人はハッとし顔を背ける。
「リアム、、、様でしょう?」
その言葉に獣人は目を見開く。
「お願い、、、答えて。」
ローズの乞うような小さな声に獣人は鋭く睨みつける。
[何故ここに来た。]
「、、、」
[ここには来るなと言ったはずだ。]
獣人は唸りながらローズににじり寄る。
「り、リアム、、、」
ローズは迫る獣人に後ずさる。
その気迫に押し飲ませそうになりながら目をそらさないように前を見据える。
[何故ここに来たんだっ!]
そこに置いてあった木の椅子を叩き壊す。
「やめてっ!」
あまりの恐怖に体を背けるローズは目から一筋の涙を流していた。
[そうだ、これが俺のもうひとつの姿だ!これで満足かっ!!!!!]
ローズに吠えながら怒鳴る獣人は机さえも薙ぎ払い、壁に追いやられたローズの目と鼻の先まで距離を詰め顔のすぐ横に手を置く。
[俺が怖いか?恐ろしくなったか?逃げたくなったか?]
顔を背けていたローズはゆっくりと瞼を開け獣人と目を合わせた。
その瞳を見ればいつも「俺から離れるな」と甘えるような哀願するような寂しさを映した同じ紅い瞳がローズを見つめていた。
「リアム、、、あなたが怖いのではなくて、あなたがしている事が怖いです。この部屋に入ったことは謝ります。ごめんなさい、、、ごめんなさい。」
獣人の服を握りしめながら謝るローズ。
獣人は抱きしめようとした手を止め、ローズに背を向ける。
[出ていけ。]
低くそう言われたローズは持っていたバケットを置いてぺこりとお辞儀をすると
「おやすみなさい。リアム」
そう言って階段を降りていった。
つづく
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