選ばれた者 おっさんの気ままな冒険

盾乃あに

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第5章 届かない手 黒い心

爺ちゃん

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「おぅ!起きとるか?馬鹿孫が!」
拳骨が俺の頭に落ちる
「いっ・・・てえぇぇぇ‼︎‼︎なにすんだ爺ちゃん!ん?」
なんで爺ちゃん?
「ここはお前の心の中じゃてよ!ようやく入れたわ」
「心?ん?俺はなんでそんなとこで爺ちゃんに拳骨食らったんだ?」
胡座をかいて爺ちゃんの前に座る
「お前と話がしたくてのー、チーっとばかし力を使ったんじゃ」
親指と人差し指の間がとんでもなくて狭いんだけど
「力?スキルとかステータスの事か?」
「数人で言うとこの固有スキルじゃな!今はまだ黒明までしかなっとらんがのー」
「へー、最初は黒で黒明に変わったけど」
「儂のは夢幻泡影、人とは儚い夢、幻、泡や影のように実体の無い空のようなものの例えじゃ」
「今の爺ちゃんは?」
笑いながら爺ちゃんは
「さて、夢かのー?幻か?まぁどーでもいい事よ。お前は黒明に侵されておるの。」
顎に手を当てて擦るように手を動かし言うが
「儂の孫の癖して負けよったか?」
俺はムッときて
「知らねーよ!黒明は封印されてたし戦ってすらいないだろ!」
また拳骨が落ちる
「この馬鹿たれが!戦っておったじゃろ?自分とな!」
自分とか、じゃー負けるかも知れないな
「ええわい、負けても、最後に勝てば!」
「んな事言われてもなー、これでも頑張ってたんだぜ?あれから!」
火事のあったあの日から
「知っとるよ、賢人もよくあんないい子に育ったもんじゃ!」
「だろ!あいつは俺の自慢の弟だからな!」
爺ちゃんは大笑いをしてから
「そんな弟を泣かすようなことはしちゃいかんじゃろ!」
泣かしたのか俺は・・・
「少しだけ見せちゃるわい、今のお前の姿をな!」
と爺ちゃんは後ろを指差して言うから振り向くと黒い肌をした俺がいた
「な、なんで?これが、俺か?」
爺ちゃんを振り返ると頷き
「黒明、まだ文字が揃っとらん。儂ら千社家の宿命じゃ」
「千社家?千の社の意味じゃ無いのか?」
「そうじゃ、賢人はもう四つ揃っておったのー、お前の後ばかり付いていたせいかあんな固有スキルになるとはの、まだ増える可能性もあるが」
賢人の固有スキルは一つ技能譲受、あとは無い
「どんな意味があるんだ千社には?」
「選ばれし者、選者、社に仕える選ばれた者に与えられた力を持つ者、それが本来の千社の意味じゃ」
選ばれた者?
「火事を起こした者はその力を欲した、故に滅びた」
え?そんな事は聞いてないぞ
「家無くなったのか?」
「そんな事もしらんのか?とっくに神から天罰が下っておるよ」
あのクソッタレなあいつらが?
「お前には苦労かけたが儂の言う事はちゃんと守っておるのぉ」
「爺ちゃんの言う事?覚えてないけど」
また拳骨!痛いっつーの!
「悪い事したら?」「謝る」「謝れば」「許す」
爺ちゃんは笑って
「覚えておるじゃないか!さすが我が孫!」
「当たり前のことだろう?」
爺ちゃんはまた笑って
「その当たり前のことが難しいんじゃ!人は醜い、怨み、妬み、そりゃ見るに耐えん!」
嫌な顔で喋り出す
「悪い事をして隠す、騙す、最後には無かったことにする。」
そりゃそんな奴は腐るほど見て来たな
「許す?どーやって?許す事なんか出来ないのに許すと言う奴が殆どだ」
なんだよそれ、謝れば許すしかないだろう
「心から許してやるのは認めてやる事じゃ」
「認める?なにを?」
「謝った奴のした事を考え認めて分かってやればいい、何故こんな事をしたのか?何のために?そうか、それじゃしょうがないが次はそんな事じゃなくこうやろうと!それなら悪い事では無いと!相手の事を思って認めてやる、難しい事なんじゃよ」
んな事思ってないけどな
「いいんじゃよ、お前はそれで!だが固有スキルが特別じゃからなお前の固有スキルは黒白分明、いい事と悪い事の区別をはっきりさせる事!今のお前は悪い事しか分からなくなっておる。」
黒白分明、黒白はっきりつけるって事か別に特別じゃ無いな
「普通のことだろ?」
「本当にそう思うか?黒白はっきりしていることなんてそんなにあるものじゃないぞ?夢を抱く事は?」
「いい事だな」
「だがその夢を叶える事で被害に合う人がいる」
「それは、その時によるんじゃないか?」
「ほれ、分からんではないか!」
「押し問答したいわけじゃない、そんな事は分かってるだろ!」
「それが人間、だからこそちゃんと白黒はっきりした事でしか使ってはいけないものじゃ!」
それだけ強力で使い勝手が悪いのか
「そうか、見極める力が必要なんだな!」
「流石儂の孫!そう言う事じゃ!」
爺ちゃんは俺を抱き締めて
「お前や賢人を守れなくてすまなかった・・・側にいてやれなくて・・・本当にすまなかった」
泣いてる爺ちゃんなんか見た事無いのに
「大丈夫だ爺ちゃん!俺は強い!守りたい者は守って見せるよ」
爺ちゃんを抱き締めて言う
「そうじゃ!頑張れ数人!儂は見ておる!いつまでも」
いなくなった爺ちゃんは線香の匂いがして懐かしい気持ちになった・・・
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