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不幸の原因
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「名前はなんていうの?」
『そんなのないわよ!』
『下っ端だしねー』
『ぼくたち、えらくないし~』
「それなら、私がつけてもいいかしら? あなたたちを呼ぶときに困るから」
妖精たちは興味なさそうに『好きにしたら』と言うので、ルーシェは好きなように名付けさせてもらった。
案外気に入ったのか、一人称がすぐに付けた名前に変わり、呼ばれたら嬉しそうに返事をしてくれる。
あまりにも妖精が可愛いものだから、古着から取った端切れでワンピースの服を作ったら、喜んで使ってくれている。
『葉っぱよりやわらかくてステキ!』
『温かいわー』
『ポルル、かんげきだよ~』
(なんて可愛らしいの!)
キャッハ、ウフフと喜ぶ小さい姿にルーシェは感激しっぱなしだった。
それからだ。三人がルーシェのために協力してくれるようになったのは。
この三人は、ルーシェの家が貧しい本当の理由を教えてくれた。
『ルーシェの家族は呪われているの!』
『指輪が守っていたんだけどねー』
『手放したんだよね~』
「えぇっ!?」
どうやら詳しく話を聞くと、ルーシェの祖父が、その指輪の効果を知らずに手放してしまったため、そこから不幸が始まったようだ。呪いの対象は、ハイゼン家の血を継いでいる者。だからルーシェが嫁いでも、その呪いがついてきてしまうらしい。金持ちと結婚しても問題が解決しないようだ。
ハイゼン家の子どもには、背中に花のような痣が代々あるが、まさかそれが呪いだなんて、思ってもみなかった。
そもそも呪いの存在すら、気のせいだと一般的には考えられている。
でも、ルーシェはいるはずのない妖精を認識したからこそ、呪いの話もすぐに信じたられた。
『どんな指輪なのか、ナーナも知らないの!』
『指輪の近くに行けば、リリも分かるんだけどー』
『指輪は、そう遠くには、いかないらしいよ~』
「それじゃあ、その指輪が見つかれば家族みんな幸せになれるのね」
そういうわけでルーシェは指輪を探すことにした。
「でも、運良く指輪が見つかったとしても、うちの家に指輪を買い戻せるだけのお金はないわ……」
『元々はあなたの家の指輪なんだから、こっそり返してもらえばいいのよ!』
『そうそう、指輪もきっと戻りたがってるよー』
『ポルルたちも助けるよ~』
こっそり返してもらうとは、つまり相手に知られないように盗むことだ。
(確かにその方法しかないけど、泥棒は嫌だわ。とりあえず今は指輪を探すだけに専念して、見つけたらどうするのか考えましょう)
ルーシェは悩んだ末に結論を保留にした。
そのため昼間に堂々とお店で探すのではなく、こっそりと探すことにした。
もし万が一、犯罪行為に迫られた場合、指輪を探していた女性がいたと、ルーシェは足がつくことを恐れたからだ。
「このままの姿だと私だとすぐにバレて家族に迷惑がかかるわ。何かよい方法はあるかしら?」
すると妖精たちは自信ありげに笑う。
『それなら任せて!』
『月のない夜なら大丈夫ー』
『その日なら、ルーシェも魔法が使えるんだよ~』
「魔法ですって!?」
ルーシェの常識では、魔法も妖精同様御伽話のような認識だった。
そんな非現実的なことをできるわけないと思っていた。
だから、いきなり使えると言われてもすぐに信じられなかった。
『変身したいと願ってみて!』
『女王様に祈ってー』
『やってみて~』
「わ、分かったわ」
(とりあえず、説明どおりに祈ればいいのね。妖精の女王様、私の格好を誰が見ても私だと分からないように変えてください)
すると、ルーシェの目の前がキラキラ輝いて眩しくなったと思ったら、着古したワンピース姿から服が変わっていた。
「まぁ、なんて素敵なの!」
この世のものとは思えないほど、美しいドレスを着ていた。虹色に輝くような美しい光沢の生地は、体にフィットしたデザイン。スカートの丈は膝下くらいで短く動きやすく、ふわふわと透き通った柔らかなフレアな生地を何枚も重ね、花びらのように華やかな印象だ。
さらに顔がバレないように、目以外を隠すような黒い布のマスクをしている。栗色の長い髪も目立たないように三つ編みをして邪魔にならないように一つにまとまっていた。
「すごいわ! これなら私だってバレないわね。それじゃあ、指輪がありそうな場所をさっそく探してみましょう」
最初に見当をつけたのは骨董屋と質屋だ。
もし祖父が売ったのなら、まだお店にあるかもしれないからだ。
『そんなのないわよ!』
『下っ端だしねー』
『ぼくたち、えらくないし~』
「それなら、私がつけてもいいかしら? あなたたちを呼ぶときに困るから」
妖精たちは興味なさそうに『好きにしたら』と言うので、ルーシェは好きなように名付けさせてもらった。
案外気に入ったのか、一人称がすぐに付けた名前に変わり、呼ばれたら嬉しそうに返事をしてくれる。
あまりにも妖精が可愛いものだから、古着から取った端切れでワンピースの服を作ったら、喜んで使ってくれている。
『葉っぱよりやわらかくてステキ!』
『温かいわー』
『ポルル、かんげきだよ~』
(なんて可愛らしいの!)
キャッハ、ウフフと喜ぶ小さい姿にルーシェは感激しっぱなしだった。
それからだ。三人がルーシェのために協力してくれるようになったのは。
この三人は、ルーシェの家が貧しい本当の理由を教えてくれた。
『ルーシェの家族は呪われているの!』
『指輪が守っていたんだけどねー』
『手放したんだよね~』
「えぇっ!?」
どうやら詳しく話を聞くと、ルーシェの祖父が、その指輪の効果を知らずに手放してしまったため、そこから不幸が始まったようだ。呪いの対象は、ハイゼン家の血を継いでいる者。だからルーシェが嫁いでも、その呪いがついてきてしまうらしい。金持ちと結婚しても問題が解決しないようだ。
ハイゼン家の子どもには、背中に花のような痣が代々あるが、まさかそれが呪いだなんて、思ってもみなかった。
そもそも呪いの存在すら、気のせいだと一般的には考えられている。
でも、ルーシェはいるはずのない妖精を認識したからこそ、呪いの話もすぐに信じたられた。
『どんな指輪なのか、ナーナも知らないの!』
『指輪の近くに行けば、リリも分かるんだけどー』
『指輪は、そう遠くには、いかないらしいよ~』
「それじゃあ、その指輪が見つかれば家族みんな幸せになれるのね」
そういうわけでルーシェは指輪を探すことにした。
「でも、運良く指輪が見つかったとしても、うちの家に指輪を買い戻せるだけのお金はないわ……」
『元々はあなたの家の指輪なんだから、こっそり返してもらえばいいのよ!』
『そうそう、指輪もきっと戻りたがってるよー』
『ポルルたちも助けるよ~』
こっそり返してもらうとは、つまり相手に知られないように盗むことだ。
(確かにその方法しかないけど、泥棒は嫌だわ。とりあえず今は指輪を探すだけに専念して、見つけたらどうするのか考えましょう)
ルーシェは悩んだ末に結論を保留にした。
そのため昼間に堂々とお店で探すのではなく、こっそりと探すことにした。
もし万が一、犯罪行為に迫られた場合、指輪を探していた女性がいたと、ルーシェは足がつくことを恐れたからだ。
「このままの姿だと私だとすぐにバレて家族に迷惑がかかるわ。何かよい方法はあるかしら?」
すると妖精たちは自信ありげに笑う。
『それなら任せて!』
『月のない夜なら大丈夫ー』
『その日なら、ルーシェも魔法が使えるんだよ~』
「魔法ですって!?」
ルーシェの常識では、魔法も妖精同様御伽話のような認識だった。
そんな非現実的なことをできるわけないと思っていた。
だから、いきなり使えると言われてもすぐに信じられなかった。
『変身したいと願ってみて!』
『女王様に祈ってー』
『やってみて~』
「わ、分かったわ」
(とりあえず、説明どおりに祈ればいいのね。妖精の女王様、私の格好を誰が見ても私だと分からないように変えてください)
すると、ルーシェの目の前がキラキラ輝いて眩しくなったと思ったら、着古したワンピース姿から服が変わっていた。
「まぁ、なんて素敵なの!」
この世のものとは思えないほど、美しいドレスを着ていた。虹色に輝くような美しい光沢の生地は、体にフィットしたデザイン。スカートの丈は膝下くらいで短く動きやすく、ふわふわと透き通った柔らかなフレアな生地を何枚も重ね、花びらのように華やかな印象だ。
さらに顔がバレないように、目以外を隠すような黒い布のマスクをしている。栗色の長い髪も目立たないように三つ編みをして邪魔にならないように一つにまとまっていた。
「すごいわ! これなら私だってバレないわね。それじゃあ、指輪がありそうな場所をさっそく探してみましょう」
最初に見当をつけたのは骨董屋と質屋だ。
もし祖父が売ったのなら、まだお店にあるかもしれないからだ。
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