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一章
異世界の森で
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女神フィオネスに子供を押し付けられて、気がつくと森の中にいた。
さて、ここどこ?
私は誰?
自分の体を見てみると、さっき女神が俺の前で作ったユート=スミスの体のようだ。
鏡がないからなんとも言えんが、服装はさっき見た冒険者っぽい服になっている。
「この年でコスプレか……」
亜紀には絶対見せられない。日本でこんなもん来てたら大きいお友だちがいっぱいできそうだ。
ほんとにここ、異世界だろうな?
こつん。
「ん?」
遠慮がちに何かが右手に触れた。
「夢じゃなかったか」
女神から預かった女神の御子が、ふよふよと胸の前に浮かび上がる。
つられるように右手を持っていくと、手のひらの上に女神の御子がちょこんと乗っかった。心なしか、女神の御子が纏う光が先程より淡くなっている気がする。
「具合が悪いのか?」
女神の御子が短く2回点滅した。違うらしい。
「じゃあ、眠いのか?」
今度はゆっくりと1回だけ点滅した。当たりかな。
服がスーツなら内ポケットがあるんだが……。
「お?」
空いた左手で上着に手を入れてみると、いい具合に内ポケットがあった。とりあえず、女神の御子はここに入っていてもらおうか。
「眠いなら服の中に入るか?ほら、ポケットがあるぞ?」
左手で上着をめくってやると、女神の御子はふよふよとポケットに入っていった。ポケットの中で収まりのいい場所を見つけて大人しくなる。
とりあえず女神の御子はこれでいいだろう。
さて、ここはどこだろう?
辺りを見渡してみるが、木しか見えない。楓っぽい葉を繁らせた木ばかりだ。
上を見上げてみるが、空は見えない。光が射しているから昼間なのかもしれないが、鬱蒼と繁った樹木に遮られて足元は薄暗かった。
薄暗いせいか、少し寒い。
……ここにいても始まらんな。森を出て人を探そう。
カシャン。
歩き出した拍子に、腰の辺りから音がした。
軽くて気づかなかったが、左腰に剣が提げられていた。
「あいつ、いろいろ説明はしょりやがって……」
他に何か持ってないか確かめてみると、肩掛けに鞄も持たされていた。小振りなショルダーバッグだ。
何の革か分からんが、お高い感じがする。
開けてみると何も入っていなかった。
小振りなショルダーバッグなのに、底が見えない。真っ暗だ。
俺は黙って鞄を閉じた。
「なんだこれ?」
もう一度、恐る恐る鞄を開いてみるが、やはり鞄の底が見えない。
うーん……。
ーーーーーーーーーー
次元鞄(大)
生物以外の物を収納できる鞄。
植物は収穫することで収納可能になる。
形のないものは容器にいれることで容器ごと収納可能。
容量はアグトリ大陸とほぼ同じ。
鞄に手をいれることで収納した物の一覧が脳裏に浮かび、取り出したいものを念じると取り出すことができる。
使用には制限があり、所有者か所有者が限定解除したものしか使用できない。
また、使用者から一定距離離れた場合、自動的に所有者の元に戻る。
使用者制限 ユート=スミス(所有者)
限定解除 可能
ーーーーーーーーーー
マジか。
……いろいろとマジか。
次元鞄凄い!ありがとう!女神グッジョブ!
「って、違うわ!」
なんか腹が立って鞄を思いきりぶん投げる。
軽く投げただけなのにえらい飛んでったな……見えなくな……。
みよん。
見えなくなったと同時に、変な音を出しながら俺が投げ飛ばした鞄が目の前に落ちてきた。
……次元鞄、凄い。
いや、そうじゃなくてな……。
俺は女神の言っていたことを思い出す。
『知りたいものに集中すればそれが何かを理解できるようにしておきます。』
あれか……。つまりあれがこういうことか。
なるほど、これはもう少し丁寧に説明してほしかったな。
とりあえずあれだ。このままだと無駄にびっくりってことがまだまだあるな。
動く前に調べとくか。
俺の……あー……とりあえずざっくり技能が知りたい。
ーーーーーーーーーー
魔力容量(極大) その身に魔力を貯めておくことができる。
魔術創造 魔力を使用し魔法を生み出すことができる。また、他者の生み出した魔法も使用することができる。
身体能力向上(大) あらゆる身体能力が向上する。
言語理解 言語、文字を理解し操ることができる。
免疫能力向上(大) 毒、病等に対する免疫力が向上する。
魔力探知(大) 周囲の魔力を探知し、それが何かを知ることができる。制御可能。
ーーーーーーーーーー
「(極大)とか(大)とか……」
案外いろいろつけられてた。説明見てもよくわからん。
とりあえずあれだな。
鞄を投げ飛ばしたのは身体能力向上で、いろいろ頭に浮かんだのは魔力探知だな。
鞄と俺自身を魔力探知で見れたってことは、魔力があるってことだな。
で、魔法が使える……と。
「炎」
ボッ!
「……出た」
何のひねりもない呪文で炎が出たよ。なんか各方面から怒られそうだな……。
俺が出した炎はぷかぷかと目の前に浮いていたが、少しすると跡形もなく消えた。
オーケーオーケー。ここは異世界ラフィーアだ。
「はぁ……行くか」
マジでここにいても仕方ない。とりあえず歩こう。
さて、ここどこ?
私は誰?
自分の体を見てみると、さっき女神が俺の前で作ったユート=スミスの体のようだ。
鏡がないからなんとも言えんが、服装はさっき見た冒険者っぽい服になっている。
「この年でコスプレか……」
亜紀には絶対見せられない。日本でこんなもん来てたら大きいお友だちがいっぱいできそうだ。
ほんとにここ、異世界だろうな?
こつん。
「ん?」
遠慮がちに何かが右手に触れた。
「夢じゃなかったか」
女神から預かった女神の御子が、ふよふよと胸の前に浮かび上がる。
つられるように右手を持っていくと、手のひらの上に女神の御子がちょこんと乗っかった。心なしか、女神の御子が纏う光が先程より淡くなっている気がする。
「具合が悪いのか?」
女神の御子が短く2回点滅した。違うらしい。
「じゃあ、眠いのか?」
今度はゆっくりと1回だけ点滅した。当たりかな。
服がスーツなら内ポケットがあるんだが……。
「お?」
空いた左手で上着に手を入れてみると、いい具合に内ポケットがあった。とりあえず、女神の御子はここに入っていてもらおうか。
「眠いなら服の中に入るか?ほら、ポケットがあるぞ?」
左手で上着をめくってやると、女神の御子はふよふよとポケットに入っていった。ポケットの中で収まりのいい場所を見つけて大人しくなる。
とりあえず女神の御子はこれでいいだろう。
さて、ここはどこだろう?
辺りを見渡してみるが、木しか見えない。楓っぽい葉を繁らせた木ばかりだ。
上を見上げてみるが、空は見えない。光が射しているから昼間なのかもしれないが、鬱蒼と繁った樹木に遮られて足元は薄暗かった。
薄暗いせいか、少し寒い。
……ここにいても始まらんな。森を出て人を探そう。
カシャン。
歩き出した拍子に、腰の辺りから音がした。
軽くて気づかなかったが、左腰に剣が提げられていた。
「あいつ、いろいろ説明はしょりやがって……」
他に何か持ってないか確かめてみると、肩掛けに鞄も持たされていた。小振りなショルダーバッグだ。
何の革か分からんが、お高い感じがする。
開けてみると何も入っていなかった。
小振りなショルダーバッグなのに、底が見えない。真っ暗だ。
俺は黙って鞄を閉じた。
「なんだこれ?」
もう一度、恐る恐る鞄を開いてみるが、やはり鞄の底が見えない。
うーん……。
ーーーーーーーーーー
次元鞄(大)
生物以外の物を収納できる鞄。
植物は収穫することで収納可能になる。
形のないものは容器にいれることで容器ごと収納可能。
容量はアグトリ大陸とほぼ同じ。
鞄に手をいれることで収納した物の一覧が脳裏に浮かび、取り出したいものを念じると取り出すことができる。
使用には制限があり、所有者か所有者が限定解除したものしか使用できない。
また、使用者から一定距離離れた場合、自動的に所有者の元に戻る。
使用者制限 ユート=スミス(所有者)
限定解除 可能
ーーーーーーーーーー
マジか。
……いろいろとマジか。
次元鞄凄い!ありがとう!女神グッジョブ!
「って、違うわ!」
なんか腹が立って鞄を思いきりぶん投げる。
軽く投げただけなのにえらい飛んでったな……見えなくな……。
みよん。
見えなくなったと同時に、変な音を出しながら俺が投げ飛ばした鞄が目の前に落ちてきた。
……次元鞄、凄い。
いや、そうじゃなくてな……。
俺は女神の言っていたことを思い出す。
『知りたいものに集中すればそれが何かを理解できるようにしておきます。』
あれか……。つまりあれがこういうことか。
なるほど、これはもう少し丁寧に説明してほしかったな。
とりあえずあれだ。このままだと無駄にびっくりってことがまだまだあるな。
動く前に調べとくか。
俺の……あー……とりあえずざっくり技能が知りたい。
ーーーーーーーーーー
魔力容量(極大) その身に魔力を貯めておくことができる。
魔術創造 魔力を使用し魔法を生み出すことができる。また、他者の生み出した魔法も使用することができる。
身体能力向上(大) あらゆる身体能力が向上する。
言語理解 言語、文字を理解し操ることができる。
免疫能力向上(大) 毒、病等に対する免疫力が向上する。
魔力探知(大) 周囲の魔力を探知し、それが何かを知ることができる。制御可能。
ーーーーーーーーーー
「(極大)とか(大)とか……」
案外いろいろつけられてた。説明見てもよくわからん。
とりあえずあれだな。
鞄を投げ飛ばしたのは身体能力向上で、いろいろ頭に浮かんだのは魔力探知だな。
鞄と俺自身を魔力探知で見れたってことは、魔力があるってことだな。
で、魔法が使える……と。
「炎」
ボッ!
「……出た」
何のひねりもない呪文で炎が出たよ。なんか各方面から怒られそうだな……。
俺が出した炎はぷかぷかと目の前に浮いていたが、少しすると跡形もなく消えた。
オーケーオーケー。ここは異世界ラフィーアだ。
「はぁ……行くか」
マジでここにいても仕方ない。とりあえず歩こう。
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