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三章
出迎え
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今日はフライングプレスもカカト落としもなく起きることができた。平和って素晴らしい。
朝食は軽めにベーコンエッグを作ってみた。ラフィーアの市場で買える玉子はニワトリの玉子より少し小さいので、1人につき2つずつ使うとちょうどいい。それだけだとちょっと物足りないので、ベーコンエッグを皿に上げた後の油でもう1品。薄切りのパンに塩を軽く振ってフライパンで表面をカリカリに焼いてみた。ニンニクがあればいいんだろうけど、あいにく手持ちがないので香辛料で代用。
濃いめの紅茶を淹れて、クシナダとトトの分に砂糖を入れてやる。俺はそのまま。朝焼けの残る街道沿いにいい匂いが広がる。
「ユートの料理って、おおざっぱな割にほんと美味しいよね」
お前の口は本当に減ることが無いな。クロノリヤを出てからずっとこんな調子で何かしゃべっている。よく飽きないなと思いながら、言われっぱなしもあれなので俺も言い返す。
「気に入らないなら食べなくていいぞ?」
ひょいっとトトの分の皿を持ち上げると、トトが慌ててぴょんぴょん跳ねた。
「いらないなんて言ってないよ!食べる!たーべーるー!」
「お前な、メシの時くらいは静かに食えって。ほら、クシナダを見習え?」
トトに皿を返しながらクシナダに注目する。黙々と食事を続けるクシナダが、俺たちの視線に気づいて目線を上げた。
「ふぁひ?」
「いや、いいよ。美味しいか?」
クシナダに感想を求めてみると、もぐもぐごくんとやってからにぱっと笑った。
「うん!玉子美味しいね。パンもカリカリで美味しいよ!」
うん、クシナダはいい子だ。俺はトトにドヤ顔をしてみせる。ふふん、見たか。
「……ボクだって美味しいって言ったじゃないか」
口をとがらせてトトがぼそぼそと反論してくる。
「美味しいってだけでいいんだよ。お前は一言多いの」
「なんだよぅ」
文句を言いながらそれでもトトは食事を再開した。そうそう、食事中はあんまりしゃべるもんじゃないって。
そんなやりとりをしながら食事を終え、ゆっくりと紅茶で食休み。わずかに残っていた朝焼けも消えて、空は気持ちよく晴れ渡る。
それぞれ片づけをしながら、と言っても広げた荷物は洗浄をかけて俺の次元鞄に入れておしまい。クシナダは自分のリュックだけ、トトはそもそも荷物が無いから片づけもすぐに終わる。
あとは焚き火を消して出発するだけだな。さて、マンハイムに連絡するか。
「ちょっとマンハイムに連絡するから」
俺は2人にそう言って、右手で右耳の念話機に軽く触れた。
「もしもし、ユートです。聞こえますか、マンハイム」
てっきりスザンヌが出ると思っていたんだけど、聞こえてきたのは別の声。その声はスザンヌでもマリアでも無かった。
『あれ、ユート君?ヴァレリアよ、わかる?』
どっかの変態とは違う、正真正銘のハスキーボイス。おお、ヴァレリア、テオロス帝国以来だな。クシナダとはマンハイムで何度か会ってたみたいなんだけど、俺はタイミングが合わずにあれっきりだったもんな。懐かしいや。
「わかるよ、久しぶり」
俺は黒部勇人基準で身内に敬語を使うかどうか決めることにしている。32より上なら敬語、下ならタメ口だ。化粧が濃いめのヴァレリアさんは微妙なところだったが、微妙なところは年下扱いにしておくのが女性の場合は無難なことが多い。
俺の敬語使用基準はなんとなくだけどマンハイムのメンバーにも伝わっている。見た目17の俺がドミニクとタメ口でしゃべっていても誰ももう何も言わなくなった。
『ほんと、久しぶりね』
でもなんでヴァレリアが念話に出たんだろ?ヴァレリアはそこらの冒険者よりもレベルが高いから、この時間はもう何かの依頼を受注して外に出てるはずなのに。
「ああ。ところで、スーちゃんとマリアは風邪でも引いた?」
2人とも受付にいれば、ヴァレリアが念話に出ることはないもんな。そう思って聞いてみたんだけど、ヴァレリアはころころと笑った。
『ああ、違う違う。今日の受付は、私とシンディなの。マリアはお休み』
「珍しいこともあるもんだ。じゃあ、スザンヌも?」
『あの子は休みじゃないわよ。何?気になる?』
……なる。なるけどならない。これに乗っかるとまたからかわれるからな。
「いや、病気とかじゃなかったら別にいいや。クシナダ、スーちゃん元気だって」
聞き耳を立てていたクシナダに声をかける。心配そうな顔をしていたクシナダがほっとした表情に変わる。
『あら、クーちゃんも一緒?』
「ああ、俺たち今そっちに帰ってる途中なんだ。遅くても夕方までには着くよ」
『そうなの?もっとゆっくりしてきたらよかったのに』
「まあ、またそのうちクロノリヤには行こうと思ってるし、クシナダも早くスザンヌに会いたいって言うしさ」
『それ、スザンヌが聞いたら喜ぶね。後で伝えておくね。じゃあ、気を付けて』
「おう」
ヴァレリアの口ぶりだと、休みでも病気でもないけどスザンヌはいないらしい。それでも後で伝えられるくらいだから、もしかするとオーナーにでも用事を頼まれたのかもしれないな。
クシナダにも念話の内容を伝えて焚き火の後始末をする。消えた薪の上から砂をかけて完全に火を消してから、俺達はベルセンへと歩き出した。
街道沿いをベルセンに向かいながら歩くと、2日前は人通りがほとんど無かったのに今日は人が少し増えたような感じがする。ベルセンから出ていく旅人や冒険者、俺達と同様にベルセンに向かう商人。少しずつだけど、戦争の影響が無くなってきたってことなのかもしれない。
すれ違う人達の何人かは俺のことを知っているようで、にこやかに挨拶をしてくれた。ベルセンでは俺は勇者ってことになってるからある程度は仕方ないんだけど、なんか珍獣扱いされてる気がしてなあ。ま、挨拶は返すけど。
「なんだい、人気者じゃないか」
「トトちゃん、御主人は勇者なのよ」
驚くトトにクシナダがふふんと胸を張る。お前いつだったか勇者の悪口言ってなかったっけ?
「……勇者じゃないんだけどな」
「でもね御主人、普通の人は国を救ったりしないのよ?」
そう言いつつにやりと笑うクシナダ。うん、お前まだ根に持ってたのか。
「それはすごい!まるで勇者じゃないかい」
おいトト。嫌味にしか聞こえないぞ。
「ね?クーちゃんの御主人はすごいのよ!」
「……あーもう、悪かったって」
あんまりねちねち言わないでくれる?最近は割とおとなしくしてるだろ?
「えっとね、ダメ」
ゆっくり首を振って、いつものようにえへへーと笑った。ああ、もうしばらく俺で遊ぶつもりか。ちくしょう。
なんだよトト。なんでお前までにやにやしながら俺を見る?
「……ま、諦めなよ。ユートは御子様には勝てないって」
ぽんぽんと俺の足をたたくな、励ますな。余計に悲しくなるわ。
「なあクシナダ、もうあんなことしないって」
「だ~め」
「反省してるから」
「御主人はね、そんなこと言いながらまた飛び出して行っちゃうのよ」
うう……確かにさあ、ノクサル氏にもクギ刺されたけどさあ。俺ってそんな信用無いの?
「そんな言い切らなくても……」
「だってわかるもん」
クシナダが小走りで俺の前に出て振り返る。
「クーちゃんはね、御主人の娘だからね」
そう言ってクシナダは笑い、俺に抱きついてくる。俺は苦笑するしかなかった。
「それ、ずるいんじゃね?」
クシナダを左手で抱きかかえ、右手でほっぺたをつついてやる。
「いーの、だってほんとのことだもん」
まあ、確かにそうなんだけどさ。思わずため息が出る。
「だけど、勝手にどっか行っちゃやだよ?」
「……ん、了解」
「どっか行くときはちゃんとクーちゃんに言うこと」
「わかった」
「こまめに連絡もしてね?」
「おう。オーナーに念話機もらわなきゃな」
クロノリヤでそう約束したもんな。クシナダが嬉しそうに頷いている。
「えへへー、クーちゃんの念話機!」
「はい、これクーちゃんの」
「……え?」
いつの間にいたのか、スザンヌが目の前にいた。俺がオーナーにもらったのと同じ念話機を、クシナダがよく見えるように右手で顔の高さに上げている。
「スーちゃん!御主人下ろして、下ろして!」
「わかった、慌てるなって」
クシナダを地面に下ろしてやると、スザンヌに駆け寄っていく。
「スーちゃん!」
「おかえり、クーちゃん。ヴァレリアさんが教えてくれたんだけど、早かったのね。びっくりしちゃった」
「えへへー、クーちゃんね、スーちゃんに会いたかったの!」
クシナダがスザンヌの足に抱きつく。スザンヌが悶えながらクシナダを抱きしめた。
「きゃ~クーちゃん可愛い!嬉しい!」
「えへへー」
なんだろう、いつもの光景で微笑ましいのはいいんだけど、何か違和感が……。服装、かなあ。マンハイムにいる時とスカートの丈が違う……?いつもは膝下くらいの丈なのに、今日は膝上でちょっと短い……あ。
「スーちゃん、ちょっといい?」
「スーちゃん言うな。何?」
俺はスザンヌの背中を指差した。正確にはスザンヌが背負っている物を。
「その弓、どうした?」
そう、スザンヌは弓を背負っていた。そんなに大きな弓じゃないけど、弦の長さは1メートルくらいはある。受付嬢にそんなの必要ないだろ?
「ああ、これ?」
スザンヌがいたずらっぽく笑う。
「今日から私、現場復帰したの。ユート君、改めてよろしくね」
朝食は軽めにベーコンエッグを作ってみた。ラフィーアの市場で買える玉子はニワトリの玉子より少し小さいので、1人につき2つずつ使うとちょうどいい。それだけだとちょっと物足りないので、ベーコンエッグを皿に上げた後の油でもう1品。薄切りのパンに塩を軽く振ってフライパンで表面をカリカリに焼いてみた。ニンニクがあればいいんだろうけど、あいにく手持ちがないので香辛料で代用。
濃いめの紅茶を淹れて、クシナダとトトの分に砂糖を入れてやる。俺はそのまま。朝焼けの残る街道沿いにいい匂いが広がる。
「ユートの料理って、おおざっぱな割にほんと美味しいよね」
お前の口は本当に減ることが無いな。クロノリヤを出てからずっとこんな調子で何かしゃべっている。よく飽きないなと思いながら、言われっぱなしもあれなので俺も言い返す。
「気に入らないなら食べなくていいぞ?」
ひょいっとトトの分の皿を持ち上げると、トトが慌ててぴょんぴょん跳ねた。
「いらないなんて言ってないよ!食べる!たーべーるー!」
「お前な、メシの時くらいは静かに食えって。ほら、クシナダを見習え?」
トトに皿を返しながらクシナダに注目する。黙々と食事を続けるクシナダが、俺たちの視線に気づいて目線を上げた。
「ふぁひ?」
「いや、いいよ。美味しいか?」
クシナダに感想を求めてみると、もぐもぐごくんとやってからにぱっと笑った。
「うん!玉子美味しいね。パンもカリカリで美味しいよ!」
うん、クシナダはいい子だ。俺はトトにドヤ顔をしてみせる。ふふん、見たか。
「……ボクだって美味しいって言ったじゃないか」
口をとがらせてトトがぼそぼそと反論してくる。
「美味しいってだけでいいんだよ。お前は一言多いの」
「なんだよぅ」
文句を言いながらそれでもトトは食事を再開した。そうそう、食事中はあんまりしゃべるもんじゃないって。
そんなやりとりをしながら食事を終え、ゆっくりと紅茶で食休み。わずかに残っていた朝焼けも消えて、空は気持ちよく晴れ渡る。
それぞれ片づけをしながら、と言っても広げた荷物は洗浄をかけて俺の次元鞄に入れておしまい。クシナダは自分のリュックだけ、トトはそもそも荷物が無いから片づけもすぐに終わる。
あとは焚き火を消して出発するだけだな。さて、マンハイムに連絡するか。
「ちょっとマンハイムに連絡するから」
俺は2人にそう言って、右手で右耳の念話機に軽く触れた。
「もしもし、ユートです。聞こえますか、マンハイム」
てっきりスザンヌが出ると思っていたんだけど、聞こえてきたのは別の声。その声はスザンヌでもマリアでも無かった。
『あれ、ユート君?ヴァレリアよ、わかる?』
どっかの変態とは違う、正真正銘のハスキーボイス。おお、ヴァレリア、テオロス帝国以来だな。クシナダとはマンハイムで何度か会ってたみたいなんだけど、俺はタイミングが合わずにあれっきりだったもんな。懐かしいや。
「わかるよ、久しぶり」
俺は黒部勇人基準で身内に敬語を使うかどうか決めることにしている。32より上なら敬語、下ならタメ口だ。化粧が濃いめのヴァレリアさんは微妙なところだったが、微妙なところは年下扱いにしておくのが女性の場合は無難なことが多い。
俺の敬語使用基準はなんとなくだけどマンハイムのメンバーにも伝わっている。見た目17の俺がドミニクとタメ口でしゃべっていても誰ももう何も言わなくなった。
『ほんと、久しぶりね』
でもなんでヴァレリアが念話に出たんだろ?ヴァレリアはそこらの冒険者よりもレベルが高いから、この時間はもう何かの依頼を受注して外に出てるはずなのに。
「ああ。ところで、スーちゃんとマリアは風邪でも引いた?」
2人とも受付にいれば、ヴァレリアが念話に出ることはないもんな。そう思って聞いてみたんだけど、ヴァレリアはころころと笑った。
『ああ、違う違う。今日の受付は、私とシンディなの。マリアはお休み』
「珍しいこともあるもんだ。じゃあ、スザンヌも?」
『あの子は休みじゃないわよ。何?気になる?』
……なる。なるけどならない。これに乗っかるとまたからかわれるからな。
「いや、病気とかじゃなかったら別にいいや。クシナダ、スーちゃん元気だって」
聞き耳を立てていたクシナダに声をかける。心配そうな顔をしていたクシナダがほっとした表情に変わる。
『あら、クーちゃんも一緒?』
「ああ、俺たち今そっちに帰ってる途中なんだ。遅くても夕方までには着くよ」
『そうなの?もっとゆっくりしてきたらよかったのに』
「まあ、またそのうちクロノリヤには行こうと思ってるし、クシナダも早くスザンヌに会いたいって言うしさ」
『それ、スザンヌが聞いたら喜ぶね。後で伝えておくね。じゃあ、気を付けて』
「おう」
ヴァレリアの口ぶりだと、休みでも病気でもないけどスザンヌはいないらしい。それでも後で伝えられるくらいだから、もしかするとオーナーにでも用事を頼まれたのかもしれないな。
クシナダにも念話の内容を伝えて焚き火の後始末をする。消えた薪の上から砂をかけて完全に火を消してから、俺達はベルセンへと歩き出した。
街道沿いをベルセンに向かいながら歩くと、2日前は人通りがほとんど無かったのに今日は人が少し増えたような感じがする。ベルセンから出ていく旅人や冒険者、俺達と同様にベルセンに向かう商人。少しずつだけど、戦争の影響が無くなってきたってことなのかもしれない。
すれ違う人達の何人かは俺のことを知っているようで、にこやかに挨拶をしてくれた。ベルセンでは俺は勇者ってことになってるからある程度は仕方ないんだけど、なんか珍獣扱いされてる気がしてなあ。ま、挨拶は返すけど。
「なんだい、人気者じゃないか」
「トトちゃん、御主人は勇者なのよ」
驚くトトにクシナダがふふんと胸を張る。お前いつだったか勇者の悪口言ってなかったっけ?
「……勇者じゃないんだけどな」
「でもね御主人、普通の人は国を救ったりしないのよ?」
そう言いつつにやりと笑うクシナダ。うん、お前まだ根に持ってたのか。
「それはすごい!まるで勇者じゃないかい」
おいトト。嫌味にしか聞こえないぞ。
「ね?クーちゃんの御主人はすごいのよ!」
「……あーもう、悪かったって」
あんまりねちねち言わないでくれる?最近は割とおとなしくしてるだろ?
「えっとね、ダメ」
ゆっくり首を振って、いつものようにえへへーと笑った。ああ、もうしばらく俺で遊ぶつもりか。ちくしょう。
なんだよトト。なんでお前までにやにやしながら俺を見る?
「……ま、諦めなよ。ユートは御子様には勝てないって」
ぽんぽんと俺の足をたたくな、励ますな。余計に悲しくなるわ。
「なあクシナダ、もうあんなことしないって」
「だ~め」
「反省してるから」
「御主人はね、そんなこと言いながらまた飛び出して行っちゃうのよ」
うう……確かにさあ、ノクサル氏にもクギ刺されたけどさあ。俺ってそんな信用無いの?
「そんな言い切らなくても……」
「だってわかるもん」
クシナダが小走りで俺の前に出て振り返る。
「クーちゃんはね、御主人の娘だからね」
そう言ってクシナダは笑い、俺に抱きついてくる。俺は苦笑するしかなかった。
「それ、ずるいんじゃね?」
クシナダを左手で抱きかかえ、右手でほっぺたをつついてやる。
「いーの、だってほんとのことだもん」
まあ、確かにそうなんだけどさ。思わずため息が出る。
「だけど、勝手にどっか行っちゃやだよ?」
「……ん、了解」
「どっか行くときはちゃんとクーちゃんに言うこと」
「わかった」
「こまめに連絡もしてね?」
「おう。オーナーに念話機もらわなきゃな」
クロノリヤでそう約束したもんな。クシナダが嬉しそうに頷いている。
「えへへー、クーちゃんの念話機!」
「はい、これクーちゃんの」
「……え?」
いつの間にいたのか、スザンヌが目の前にいた。俺がオーナーにもらったのと同じ念話機を、クシナダがよく見えるように右手で顔の高さに上げている。
「スーちゃん!御主人下ろして、下ろして!」
「わかった、慌てるなって」
クシナダを地面に下ろしてやると、スザンヌに駆け寄っていく。
「スーちゃん!」
「おかえり、クーちゃん。ヴァレリアさんが教えてくれたんだけど、早かったのね。びっくりしちゃった」
「えへへー、クーちゃんね、スーちゃんに会いたかったの!」
クシナダがスザンヌの足に抱きつく。スザンヌが悶えながらクシナダを抱きしめた。
「きゃ~クーちゃん可愛い!嬉しい!」
「えへへー」
なんだろう、いつもの光景で微笑ましいのはいいんだけど、何か違和感が……。服装、かなあ。マンハイムにいる時とスカートの丈が違う……?いつもは膝下くらいの丈なのに、今日は膝上でちょっと短い……あ。
「スーちゃん、ちょっといい?」
「スーちゃん言うな。何?」
俺はスザンヌの背中を指差した。正確にはスザンヌが背負っている物を。
「その弓、どうした?」
そう、スザンヌは弓を背負っていた。そんなに大きな弓じゃないけど、弦の長さは1メートルくらいはある。受付嬢にそんなの必要ないだろ?
「ああ、これ?」
スザンヌがいたずらっぽく笑う。
「今日から私、現場復帰したの。ユート君、改めてよろしくね」
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