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”出逢い”
【お見事】
しおりを挟むザグンッッ!!
手応えはあった。
男の左眼・・・・・・確実に黒目の水晶体に、深々と刺さった!!
ここで、終わらせてはいけない!!
逃げ出す好機!!
「タァァァ!!」
ガツン!!
鞭のようにしなやかな足を伸ばし、男の股間にめり込ませる。
「なぬっ・・・・・・」
効いてるはずッッ
たたみかける!!
「フンッッ!!」
ガコッ!!
次なる標的は、怯んだ男の膝の皿。
外れた音がした・・・・・・
眼・股間・膝を潰した・・・・・・
これでコイツも・・・・・・
「なんとなんと・・・・・・」
!?
「これは見事なものですねぇ」
眼から流血している男は、なんとにこやかな表情でこちらを見下ろしている。
「私の目を奪い・・・・・・さらに股間と膝を鮮やかに・・・・・・クク・・・・・・久しぶりにヒヤッとしましたよ」
眼は・・・・・・確実に見えていない。
けれども、股間と膝のダメージが感じられない。
「不思議ですか?」
「・・・・・・」
「『コツカケ』・・・・・・古流の沖縄空手にある秘技。睾丸を、腹筋の駆動で腹中に引き上げる技・・・・・・私に金的蹴りは効きません」
それに・・・・・・と、男。
「膝の蹴りはたしかに鋭かった。しかしながら・・・・・・」
ガコンッッ
「関節は外してしまえば戻すことができる・・・・・・まぁ、格好つけてますけど、痛いですがね! ハハハ!!」
少女から血の気が引いた。
この男・・・・・・レベルが違う・・・・・・
今までの、下品で下等な悪漢共とは、天と地ほどの差がある。
「眼は・・・・・・そうですねぇ・・・・・・これは、手術しても無駄でしょうね」
そう言うと男は、刺さったままの釘を、無造作に掴み・・・・・・
ズググググ・・・・・・
ボロリ・・・・・・
「いらないんで、取っちゃいましょうか」
サァ・・・・・・
嗚呼・・・・・・格が違うってこういうことを言うんだろう・・・・・・
度胸も、力量も、技量もはるか上。
抵抗しても意味はない。
犬なら、腹を見せてゴロンと仰向けになっているところだ。
「・・・・・・」
「いかがしました? 何をそんなに落ち込んでいるんです?」
「・・・・・・」
「・・・・・・特段、気にしていませんよ? 重武装した船に乗り込んだ時点で、覚悟は決まっていましたし、右目は無事ですしね」
極めて明るく言うのであった。
「だから・・・・・・私と一緒に外に出ましょう?」
手を伸ばしてきた。
この手を取れば・・・・・・自由・・・・・・
でも、恐い・・・・・・信じるのも・・・・・・我が身を預けるのも・・・・・・
あんなことをしておきながら、今更、両親を失った絶望感が襲ってきた。
震えが止まらない・・・・・・
「・・・・・・どうし・・・・・・」
その時・・・・・・
「覚悟ねぇ・・・・・・なら、もう一個の眼ぇ潰す覚悟もあるんだろうなぁ?」
部屋に、もうひとり来た・・・・・・
その人物を見て、少女は恐怖で目をあらん限り見開いた。
ギャングのボス・・・・・・
両親を殺した張本人・・・・・・
「み・・・・・・Mr.リズム・・・・・・」
倒れていた兵士が、リズムと呼んだ男の履いているブーツを掴んだ。
「た・・・・・・助け・・・・・・」
「けっ!! 雑魚が・・・・・・」
「へ?」
ブンッ!!
グシャッッ!!
兵士の頭が一踏みで潰された。頭蓋骨の中身が、ドロリと垂れている。
その光景は、餓鬼を踏み潰している金剛力士像そのもの。
身長は二メートルを超えているだろう。
骨格・肩幅・首の太さ・・・・・・いずれも規格外!!
「ウチの雑兵共がずいぶんとお世話になったようだなぁ?」
伝わってくる殺気・・・・・・それはまるで磨き上げられた日本刀。
眼球がひとつ減った男の髪が、静電気にあてられたかのように、ふわりと宙に浮いた。
「ただ者じゃありませんね?」
「仮にもボスを務めてる身の上・・・・・・商品を奪おうって邪魔者掃除くれぇしねぇと・・・・・・格好がつかない・・・・・・」
「いつでも・・・・・・どうぞ」
二人が対峙した。
少女を含め、他の商品たちも、固唾を飲んで見守った。
「行くぞ・・・・・・オラァァァッッ!!」
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