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”日常その参”
【美味い話には裏が・・・・・・】
しおりを挟む『はい?』
「わたくし! 紹介されました芥川です!!」
『声がデカい・・・・・・いいですよ。開けますから』
ガチャン・・・・・・
出てきたのは、筋肉モリモリマッチョメンの、厳つい男だった。
さっきの担当者はスーツを着ていたが、この人物は虎が描かれているスカジャンで対応してきた。
「あ~・・・・・・アンタが芥川さん?」
「はい! そうです!」
「声が大きいって・・・・・・入って下さい」
通されたのは、リビングに無理やりあつらえたテーブルとパイプ椅子。
「では、面談を始めますンで・・・・・・座って下さい」
「はい」
男はタバコを吸いながら、書類を用意してきた。
「え~融資のことでご相談と?」
「ええ」
「そうですね~当社といたしましても、ぜひお客様に融資したい、と考えているのですが・・・・・・返済能力の有無を確かめないと、お貸しすることができないんです」
「はあ・・・・・・」
「そこで、一度、月々の返済額の三ヶ月分をお振り込みしていただき、当社の方で確認できましたら、ご融資が可能となります」
「三ヶ月分を・・・・・・実は、そんなお金も・・・・・・」
「ご安心ください。保証支援基金がありまして、そちらからお借り入れという形になりますが、借りれることになりますから」
「また別の会社ですか?」
「はい。少々・・・・・・利子がお高くなってしまいますが、まあ三ヶ月分だけなので」
「分かりました!!」
「・・・・・・チョレェ」
「何か仰いました?」
「いいえ! ともかく、今日中にはその保証会社からファックスが来ますので、そしたら、当社の指定口座にご入金ください」
「分かりました!! すぐに入れます!!」
何枚かの種類を持って、芥川が出て行った。
「・・・・・・プッハハハ!!」
隠れていた仲間たちが出てくる。
「楽勝~ォ!」
ハイタッチで祝う。
「マジでイイカモだよな今のヤツ!」
「流石は兄貴!! 丸め込むのが上手い!!」
「だろぉ? ああいう、世の中の人間は基本善い人、って思考のヤツほど騙されるンだよ」
ピッ!
使い捨ての、飛ばしの携帯を取り出す。
『上手くいきましたか?』
「ああ! 紹介料として、アンタには保証金の二〇%」
『ふふ・・・・・・ああいう社会的底辺のバカを騙すのは簡単なこと』
「もうそろそろ他の騙したバカたちが、気がつく頃だ。今日のヤツが振り込んだら、すぐに飛ぶからな」
『そして別の会社になる・・・・・・最高の錬金術じゃないですか』
「おっと、忘れるところだった」
男は携帯を持ちながら、紙切れ一枚をファックスに入れる。
その書類には、全く別の名義が使われている。
「フフフ・・・・・・保証金を融資するのはヤミ金の連中・・・・・・悪いが地獄の返済人生を歩んでもらうぜ・・・・・・ヒャハハハ!!」
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