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【第1章】
『不埒者見参』
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和田澪
東京都立桜沢高校の一年生。
美少女という表現に収まらないほどの魅力を持つ女性だが、それを打ち消してしまうほどに目つきが悪いときがある。
イジメ・ナンパ・陰口……それら諸問題は全てこの蛇や狼の如き眼光で駆逐してきた。
ついたあだ名が『桜沢のゴーゴン』
サイドテールに結った黒髪を、叔父が触ろうとしたので手を払いのけて睨み返す。
「うっ……そう恐い顔されるとさァ……こっちも怒っちゃうよォ?」
「……」
屈しない。
媚び諂わない。
女性としての美徳を、母親から教わった。
灰と化した母を裏切らないためにも、彼女は必死に抵抗を続けた。
「だからさァ……いい加減に……」
殴られる……かもしれないな。
だが、母を失った痛みに比べれば、どうということはない。
この場をしのげば、なにか策があるやもしれぬ。
そう。
病床の母に託されたお手製の御守りを握り締め――
痛みに耐える準備を――
「ほうほう……こりゃぁ血やのぅ」
しゃがれた声が、狭いアパートにこだました。
親戚も、叔父も、澪さえも声のする方向を見た。
「和田一美はんに線香あげさせてもらえまへん? お願いしますわ」
誰もが言葉を失った。
オールバックにヒゲ……そんなのはどうでもよくなる。
顔面の傷痕――右から左へ――さらに左眼の瞼から上に――大きく古い傷痕だ。
目は蛇のように鋭く、どこか澪のゴーゴンの睨みに似ている。
黒のスーツの中には、真っ赤なシャツを着ていて、一般人ではないことがうかがえる。
「だ、誰だアンタッ」
「勝手に入ってきて! 非常識にもほどがある!」
そんな声に反応したのか、男はジロリと親戚を睥睨した。
「アンタらに話しかけた覚えはあらへん。ワシは一美はんのひとり娘、澪さんに訊いとるんじゃ」
みな、黙ってしまった。
さて、頼まれた澪はどうしたものか?
こんな強面の初対面なオッサン。
出て行ってくれと思うのが普通なのだろうか?
しかし、彼が登場したことによって、叔父が大人しくなったのは事実。
殴られなかったお礼として、線香の一本くらい……
東京都立桜沢高校の一年生。
美少女という表現に収まらないほどの魅力を持つ女性だが、それを打ち消してしまうほどに目つきが悪いときがある。
イジメ・ナンパ・陰口……それら諸問題は全てこの蛇や狼の如き眼光で駆逐してきた。
ついたあだ名が『桜沢のゴーゴン』
サイドテールに結った黒髪を、叔父が触ろうとしたので手を払いのけて睨み返す。
「うっ……そう恐い顔されるとさァ……こっちも怒っちゃうよォ?」
「……」
屈しない。
媚び諂わない。
女性としての美徳を、母親から教わった。
灰と化した母を裏切らないためにも、彼女は必死に抵抗を続けた。
「だからさァ……いい加減に……」
殴られる……かもしれないな。
だが、母を失った痛みに比べれば、どうということはない。
この場をしのげば、なにか策があるやもしれぬ。
そう。
病床の母に託されたお手製の御守りを握り締め――
痛みに耐える準備を――
「ほうほう……こりゃぁ血やのぅ」
しゃがれた声が、狭いアパートにこだました。
親戚も、叔父も、澪さえも声のする方向を見た。
「和田一美はんに線香あげさせてもらえまへん? お願いしますわ」
誰もが言葉を失った。
オールバックにヒゲ……そんなのはどうでもよくなる。
顔面の傷痕――右から左へ――さらに左眼の瞼から上に――大きく古い傷痕だ。
目は蛇のように鋭く、どこか澪のゴーゴンの睨みに似ている。
黒のスーツの中には、真っ赤なシャツを着ていて、一般人ではないことがうかがえる。
「だ、誰だアンタッ」
「勝手に入ってきて! 非常識にもほどがある!」
そんな声に反応したのか、男はジロリと親戚を睥睨した。
「アンタらに話しかけた覚えはあらへん。ワシは一美はんのひとり娘、澪さんに訊いとるんじゃ」
みな、黙ってしまった。
さて、頼まれた澪はどうしたものか?
こんな強面の初対面なオッサン。
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