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プロローグ
2.
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(今月、重いな…… )
憂鬱な気分が、そのままため息になって吐き出された。
普段は抑制剤さえ服用していれば、日常生活を送れるくらいには自制していられる。
毎月の発情期とつきあって20年ほど経つが、年に一度の頻度で薬で抑えられない強い発情の波に襲われる。自分が辛いだけではなく、ダダ漏れになるフェロモンで周りにも影響が出る。
「迷惑なので、帰ってください」
不浄なものを見る目で見下ろし、自分を職場から蹴り出した上司の顔を思い出し、奥歯を噛み締めた。
(αのエリートさまに何が分かる…… っ!)
つらい身体を引きずるように、電車に揺られて出社したというのに。
(俺だって好きでこんな身体に生まれたんじゃねんだよ…… っ!)
発情期が来るたび、抑えきれない感情の波に襲われる。
恐怖、羞恥、憤怒。
そして、きっと一生消えない後悔と自責……
理不尽な運命に拳が震えた。
奪われてばかりだ。
掴んだと思った幸せは、いつだってαに奪われる。
目の前で、簡単に。
ただΩというだけで。
憂鬱な気分が、そのままため息になって吐き出された。
普段は抑制剤さえ服用していれば、日常生活を送れるくらいには自制していられる。
毎月の発情期とつきあって20年ほど経つが、年に一度の頻度で薬で抑えられない強い発情の波に襲われる。自分が辛いだけではなく、ダダ漏れになるフェロモンで周りにも影響が出る。
「迷惑なので、帰ってください」
不浄なものを見る目で見下ろし、自分を職場から蹴り出した上司の顔を思い出し、奥歯を噛み締めた。
(αのエリートさまに何が分かる…… っ!)
つらい身体を引きずるように、電車に揺られて出社したというのに。
(俺だって好きでこんな身体に生まれたんじゃねんだよ…… っ!)
発情期が来るたび、抑えきれない感情の波に襲われる。
恐怖、羞恥、憤怒。
そして、きっと一生消えない後悔と自責……
理不尽な運命に拳が震えた。
奪われてばかりだ。
掴んだと思った幸せは、いつだってαに奪われる。
目の前で、簡単に。
ただΩというだけで。
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