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28.エクソシスト
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――レイが部屋に戻る前の、その日の早朝。
まだ太陽も完全には登りきっていない朝焼けの時刻。フリードで一番大きい教会の聖堂の中で熱心に掃除をしているシスターがいた。
身長は平均的な女性の背丈と言った高さで、ウィンプルから伸びるセミロングの髪は茶髪、体系は胸と臀部が着ているスカプラリオが小さいのではないのかと思うくらいに大きい。
「んしょ、んしょ……」
そんな言ってしまえば男性好みしそうな体系のシスターが、今はステンドグラスと七本の線が伸びる聖光輝教のシンボルを背にした講壇を丁寧に雑巾で吹いていた。
他にはシスターはおらず、彼女一人だ。
「……ん? 誰か……えっ!? リーガン様!? どうしてそんなことを!?」
と、そこに聖堂に入ってきた老年の神父が彼女の姿を見て驚き声を上げた。
本来ならば神父である彼の方がシスターより偉いはずなのだが、神父はなぜか敬語である。
「えっ? ああ神父様。いえせっかく西端までの旅路の途中で滞在させていただいたので何かお礼をしたく、そのためお礼と主への感謝も込めてこうして聖堂のお掃除をと」
神父の慌てた声を聞いて青い瞳を向けたリーガンと呼ばれたシスターは可愛らしい顔つきで笑顔になって、おっとりとした口調で言う。
だが変わらず神父は慌てた様子だ。
「そんな! わざわざ首都にあるセノバ大聖堂からこんなところまでお越しくださっただけでも恐れ多いのに掃除までさせるなど……!」
セノバ大聖堂とは聖光輝教の本拠地とされている場所である。
マルシャン王国の国教でありかつ国外の国々にも数多くの信者を抱えている聖光輝教の本部であるセノバ大聖堂は、そこに所属しているというだけで他の聖職者達と比べると一段上の存在として見られていた。
「ははは、そんなかしこまらないでくださいよ。私は一介のシスターに過ぎませんから」
ゆったりと喋るリーガンはそういった事はあまり気にしていないようだった。
だが、それでも神父は緊張した面持ちを崩さない。
むしろ、余計に不安げな顔つきになる。
「一介のシスターなんてご謙遜を……あなたは聖光輝教においても指折りのエクソシストだと聞いております。やはりそんな方に見習いがやるような朝の掃除なんて……」
「ふふっ、駄目ですよそんな事言ったら」
神父の心配が滲み出ている顔に向けて、リーガンはほんわかとした表情を向けて言った。
「私達はみんな主のしもべであり愛し子なのです。そこには本来そんな格式張った関係なんてなくていいんですよ。それに私はただ、人よりちょっと悪魔祓いがうまいだけなんですから」
リーガンはさも当たり前の事のように軽く言うと、また熱心に雑巾を動かす先に目線を戻す。
神父はそんな彼女を見て、相変わらずハラハラとした姿を見せ続けていた。
日は昇って昼も半ばを過ぎた頃、リーガンは街中を歩いていた。
彼女の手には縦横共に大きなサイズの明るい茶色で表面に傷が多いトランクケースが持たれており、見ただけでも重そうなそれを片手で運ぶシスター服の彼女はなかなかに目立っていた。
「うんしょ、うんしょ……はぁ、こんな時間になっちゃったけれどまだ馬車はあるよね……さすがにもう一泊は神父様達にも申し訳ないし……」
リーガンが言っているのは西行きの馬車である。
本来ならもっと早い時間の馬車に乗っていく予定だったのだが、教会のお手伝いをと始めた奉仕活動につい身が入りすぎてこんな時間になってしまったのだ。
「こんなんじゃまた祓魔省から怒られちゃう……今回は第一王子殿下の婚約者様から話が来たってのもあるけどとりわけ祓魔省も事態を重く見てるし、私もそれは分かってはいるんだけどなぁ……うう」
困った顔をして汗を流しながらもやはりその声はどこか間延びした印象を受ける。
見た目的にはとてもほのぼのとした姿でもあった。
「まあでも! 他に変な事がなければさすがに次の馬車には余裕で間に合うよね! このまま行けば特に問題なく西端のベルウッドの街へ――」
彼女が朗らかな様子で言っていたその最中、彼女は急に言葉を切って表情を一辺させてグルンと素早く真横を見た。
見開かれたその目に映るのはフリードにおいては珍しく大きな屋敷で、それもそのはず町長の邸宅だからである。
「……まずいな、これ」
リーガンはしばらく見つめたかと思うと、そう一言呟いて凄い勢いの早足で町長宅に近づいていく。
邸宅の玄関には衛兵が立っており、そんな彼女の姿を見て驚き、そして職務として止めようとする。
「お待ちを! ここは町長邸宅で約束がなければ――」
「聖光輝教祓魔省の者です。祓魔特例法第三条によりここを通させていただきます」
先程までののんびりとした姿からは正反対の差し迫ったリーガンが口にする言葉に、衛兵達はたじたじとなって言葉を返す間もなく彼女を通してしまう。
リーガンはそんな彼らには目もくれず、初めて入ったはずの町長邸宅を歩いていき、階段を上がって、やがて二階のある一室にためらう事なく入っていく。
「なっ!? き、君は一体!?」
そこには驚く町長とその夫人、そして二人が手を握るベッドの上で一秒に数回と言える程に非常に荒い過呼吸を繰り返しているやつれた少女の姿があった。
「聖光輝教祓魔省所属のエクソシスト、リーガン・クロウです。失礼しますがその場からお下がりを。苦情は後で教会を通していただければ」
彼女は言い慣れた文言を述べるとこれまた迷いなく町長夫人を押しのけるように子供の側にしゃがみ込む。
そしてその脇に手に持っていた大きなトランクケースを置いて開いた。
開かれたトランクケースの中は三段に分かれた階層になっていて、ズラリと階段のように並んだケースとなる。
その中にはそれぞれ素人には一切使い方が分からない道具や小瓶、そして聖光輝教の聖典、他にもまるで日曜大工に使うようなハンマーや釘も入っていた。
「ふ、祓魔省のエクソシストって……そんな胡散臭い人がどうしてうちの子のところに急に……!?」
夫人は驚き半分疑い半分でリーガンを見るが彼女の視線は目の前で過呼吸になっている少女にしか向けられていない。
彼女はそんな少女に対し、下段のケースから迷わず取り出した他と比べると少し大きめの小瓶の中に入っている水を軽く振りかけた。
すると、その水はジュワッ! と音を立てて一瞬で蒸発した。
「うわっ!?」
「な、なんです今のは!? 娘に何をかけたんですか!?」
「大丈夫、劇薬などではなく聖水です。しかし、この純度では一瞬で蒸発させられましたか……」
夫人の言葉に振り返らず答えた彼女の目はケースに向かっている。
次に彼女は大きめの小瓶が入っていたのと同じ下段のケースから今度は小さめの小瓶を取り出し、更に中段のケースに入っていた聖典を開く。その聖典は既に十数枚ページが破られていて、またリーガンはさらにそこから迷わず一枚ページを綺麗に破り取った。
リーガンはその破り取ったページを少女の胸上に乗せると、その上に小瓶に入った聖水をかける。
するとその聖水は聖典のページに染みず、弾かれた水滴として聖典の上で塊になって、ブクブクと泡を立てて沸騰を始めた。
「これでこの反応……と、するならば……」
今度は冗談から大きな聖光輝教のシンボルとなっている七本に線を伸ばした銀製の造形物――星光の徴――を取り出して、その沸騰する水の乗った聖典のページ五センチ上に片手で添えるようにする。
そして、その片手の上にもう片方の手を乗せ、
「……ハッ!!」
と大きな声で叫んだ。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?」
すると、途端に少女が苦しそうに絶叫した。
白目を向いて口を裂けそうな程に開け聖典のページを触ろうと指を突き立てるも触れず空に浮かせている姿は、異常としか言いようがなかった。
「なっ、何を――」
「黙って!!!!」
町長が娘の姿にさすがに口を出そうとしたが、リーガンの鋭い叫びに遮られる。
目の前のあまりにも現実と思えない光景とリーガンの鬼気迫る様子に町長夫婦は完全に固まってしまう。
すると、聖典の上に乗っていた泡立つ水に変化が起きる。
突然平面の上で動き出したのだ。
あきらかに指向性を持って動いているその水は、リーガンの方に向いてまっすぐ動いてきていた。
「……そこか!」
リーガンはそれを見て瞬時に立ち上がって振り返る。
そこにあるのはクローゼット。リーガンは片手にはハンマーを持ち出しその柄部分をまた別に破って違う聖水をかけた聖典のページで包んで躊躇なくその戸を開く。
彼女が開いたクローゼットの中、その視線が向く先には人形があった。
赤いドレスを着た金髪の精巧な人形が。
「ふんっ!!!!」
リーガンは人形を見つけるや否や、ハンマーを横振りして叩きつける。
そしてそれがぶつかる瞬間、部屋に軽い衝撃波が広まったかと思うと、その人形の姿が消失したのだ。
そして部屋に静寂が訪れると共に、先程まで過呼吸になり終いには叫び狂っていた町長の娘は、嘘のように落ち着き眠りに落ちていたのだ。
「……これは、一体…………!?」
町長が、震えた声で聞く。夫人も声は出せないが顔で困惑を語っていた。
リーガンはそんな二人に厳かな顔で静かに言った。
「お二方、突然ですが私はしばらくこの家に滞在させていただきます。あなた達の娘は、邪悪な存在に憑かれています」
荒れた部屋でそう宣言する彼女の表情は、邸宅に入る前までのおっとりとした彼女とは別人のようであった。
まだ太陽も完全には登りきっていない朝焼けの時刻。フリードで一番大きい教会の聖堂の中で熱心に掃除をしているシスターがいた。
身長は平均的な女性の背丈と言った高さで、ウィンプルから伸びるセミロングの髪は茶髪、体系は胸と臀部が着ているスカプラリオが小さいのではないのかと思うくらいに大きい。
「んしょ、んしょ……」
そんな言ってしまえば男性好みしそうな体系のシスターが、今はステンドグラスと七本の線が伸びる聖光輝教のシンボルを背にした講壇を丁寧に雑巾で吹いていた。
他にはシスターはおらず、彼女一人だ。
「……ん? 誰か……えっ!? リーガン様!? どうしてそんなことを!?」
と、そこに聖堂に入ってきた老年の神父が彼女の姿を見て驚き声を上げた。
本来ならば神父である彼の方がシスターより偉いはずなのだが、神父はなぜか敬語である。
「えっ? ああ神父様。いえせっかく西端までの旅路の途中で滞在させていただいたので何かお礼をしたく、そのためお礼と主への感謝も込めてこうして聖堂のお掃除をと」
神父の慌てた声を聞いて青い瞳を向けたリーガンと呼ばれたシスターは可愛らしい顔つきで笑顔になって、おっとりとした口調で言う。
だが変わらず神父は慌てた様子だ。
「そんな! わざわざ首都にあるセノバ大聖堂からこんなところまでお越しくださっただけでも恐れ多いのに掃除までさせるなど……!」
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「ははは、そんなかしこまらないでくださいよ。私は一介のシスターに過ぎませんから」
ゆったりと喋るリーガンはそういった事はあまり気にしていないようだった。
だが、それでも神父は緊張した面持ちを崩さない。
むしろ、余計に不安げな顔つきになる。
「一介のシスターなんてご謙遜を……あなたは聖光輝教においても指折りのエクソシストだと聞いております。やはりそんな方に見習いがやるような朝の掃除なんて……」
「ふふっ、駄目ですよそんな事言ったら」
神父の心配が滲み出ている顔に向けて、リーガンはほんわかとした表情を向けて言った。
「私達はみんな主のしもべであり愛し子なのです。そこには本来そんな格式張った関係なんてなくていいんですよ。それに私はただ、人よりちょっと悪魔祓いがうまいだけなんですから」
リーガンはさも当たり前の事のように軽く言うと、また熱心に雑巾を動かす先に目線を戻す。
神父はそんな彼女を見て、相変わらずハラハラとした姿を見せ続けていた。
日は昇って昼も半ばを過ぎた頃、リーガンは街中を歩いていた。
彼女の手には縦横共に大きなサイズの明るい茶色で表面に傷が多いトランクケースが持たれており、見ただけでも重そうなそれを片手で運ぶシスター服の彼女はなかなかに目立っていた。
「うんしょ、うんしょ……はぁ、こんな時間になっちゃったけれどまだ馬車はあるよね……さすがにもう一泊は神父様達にも申し訳ないし……」
リーガンが言っているのは西行きの馬車である。
本来ならもっと早い時間の馬車に乗っていく予定だったのだが、教会のお手伝いをと始めた奉仕活動につい身が入りすぎてこんな時間になってしまったのだ。
「こんなんじゃまた祓魔省から怒られちゃう……今回は第一王子殿下の婚約者様から話が来たってのもあるけどとりわけ祓魔省も事態を重く見てるし、私もそれは分かってはいるんだけどなぁ……うう」
困った顔をして汗を流しながらもやはりその声はどこか間延びした印象を受ける。
見た目的にはとてもほのぼのとした姿でもあった。
「まあでも! 他に変な事がなければさすがに次の馬車には余裕で間に合うよね! このまま行けば特に問題なく西端のベルウッドの街へ――」
彼女が朗らかな様子で言っていたその最中、彼女は急に言葉を切って表情を一辺させてグルンと素早く真横を見た。
見開かれたその目に映るのはフリードにおいては珍しく大きな屋敷で、それもそのはず町長の邸宅だからである。
「……まずいな、これ」
リーガンはしばらく見つめたかと思うと、そう一言呟いて凄い勢いの早足で町長宅に近づいていく。
邸宅の玄関には衛兵が立っており、そんな彼女の姿を見て驚き、そして職務として止めようとする。
「お待ちを! ここは町長邸宅で約束がなければ――」
「聖光輝教祓魔省の者です。祓魔特例法第三条によりここを通させていただきます」
先程までののんびりとした姿からは正反対の差し迫ったリーガンが口にする言葉に、衛兵達はたじたじとなって言葉を返す間もなく彼女を通してしまう。
リーガンはそんな彼らには目もくれず、初めて入ったはずの町長邸宅を歩いていき、階段を上がって、やがて二階のある一室にためらう事なく入っていく。
「なっ!? き、君は一体!?」
そこには驚く町長とその夫人、そして二人が手を握るベッドの上で一秒に数回と言える程に非常に荒い過呼吸を繰り返しているやつれた少女の姿があった。
「聖光輝教祓魔省所属のエクソシスト、リーガン・クロウです。失礼しますがその場からお下がりを。苦情は後で教会を通していただければ」
彼女は言い慣れた文言を述べるとこれまた迷いなく町長夫人を押しのけるように子供の側にしゃがみ込む。
そしてその脇に手に持っていた大きなトランクケースを置いて開いた。
開かれたトランクケースの中は三段に分かれた階層になっていて、ズラリと階段のように並んだケースとなる。
その中にはそれぞれ素人には一切使い方が分からない道具や小瓶、そして聖光輝教の聖典、他にもまるで日曜大工に使うようなハンマーや釘も入っていた。
「ふ、祓魔省のエクソシストって……そんな胡散臭い人がどうしてうちの子のところに急に……!?」
夫人は驚き半分疑い半分でリーガンを見るが彼女の視線は目の前で過呼吸になっている少女にしか向けられていない。
彼女はそんな少女に対し、下段のケースから迷わず取り出した他と比べると少し大きめの小瓶の中に入っている水を軽く振りかけた。
すると、その水はジュワッ! と音を立てて一瞬で蒸発した。
「うわっ!?」
「な、なんです今のは!? 娘に何をかけたんですか!?」
「大丈夫、劇薬などではなく聖水です。しかし、この純度では一瞬で蒸発させられましたか……」
夫人の言葉に振り返らず答えた彼女の目はケースに向かっている。
次に彼女は大きめの小瓶が入っていたのと同じ下段のケースから今度は小さめの小瓶を取り出し、更に中段のケースに入っていた聖典を開く。その聖典は既に十数枚ページが破られていて、またリーガンはさらにそこから迷わず一枚ページを綺麗に破り取った。
リーガンはその破り取ったページを少女の胸上に乗せると、その上に小瓶に入った聖水をかける。
するとその聖水は聖典のページに染みず、弾かれた水滴として聖典の上で塊になって、ブクブクと泡を立てて沸騰を始めた。
「これでこの反応……と、するならば……」
今度は冗談から大きな聖光輝教のシンボルとなっている七本に線を伸ばした銀製の造形物――星光の徴――を取り出して、その沸騰する水の乗った聖典のページ五センチ上に片手で添えるようにする。
そして、その片手の上にもう片方の手を乗せ、
「……ハッ!!」
と大きな声で叫んだ。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?」
すると、途端に少女が苦しそうに絶叫した。
白目を向いて口を裂けそうな程に開け聖典のページを触ろうと指を突き立てるも触れず空に浮かせている姿は、異常としか言いようがなかった。
「なっ、何を――」
「黙って!!!!」
町長が娘の姿にさすがに口を出そうとしたが、リーガンの鋭い叫びに遮られる。
目の前のあまりにも現実と思えない光景とリーガンの鬼気迫る様子に町長夫婦は完全に固まってしまう。
すると、聖典の上に乗っていた泡立つ水に変化が起きる。
突然平面の上で動き出したのだ。
あきらかに指向性を持って動いているその水は、リーガンの方に向いてまっすぐ動いてきていた。
「……そこか!」
リーガンはそれを見て瞬時に立ち上がって振り返る。
そこにあるのはクローゼット。リーガンは片手にはハンマーを持ち出しその柄部分をまた別に破って違う聖水をかけた聖典のページで包んで躊躇なくその戸を開く。
彼女が開いたクローゼットの中、その視線が向く先には人形があった。
赤いドレスを着た金髪の精巧な人形が。
「ふんっ!!!!」
リーガンは人形を見つけるや否や、ハンマーを横振りして叩きつける。
そしてそれがぶつかる瞬間、部屋に軽い衝撃波が広まったかと思うと、その人形の姿が消失したのだ。
そして部屋に静寂が訪れると共に、先程まで過呼吸になり終いには叫び狂っていた町長の娘は、嘘のように落ち着き眠りに落ちていたのだ。
「……これは、一体…………!?」
町長が、震えた声で聞く。夫人も声は出せないが顔で困惑を語っていた。
リーガンはそんな二人に厳かな顔で静かに言った。
「お二方、突然ですが私はしばらくこの家に滞在させていただきます。あなた達の娘は、邪悪な存在に憑かれています」
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