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智洋ルート
113 笑いを堪えさせてゴメンね?
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「さて、いい感じに色気も出てきましたか」
ちゅうと音を立てて尖りを吸ってから唇が離れて、腕放していいですよという声にようやく両腕を解放され、今度は上からニットをスポッと被される。
やけに小せえなと思いながら腕を通せば、胸までしかないタンクトップ。
その下は太腿半分くらいまでの長さの巻きスカートで、腰骨に引っ掛ける感じに下着も下げられているから、腰のラインが丸見えっつうか、寒い。
まさかこれで最後じゃないよねと思っていたら、マント付きの肩あてが出てきてほっとする。ベルトで腕に固定されている肩あては、アルミホイルか何かで包んでから蔦っぽい模様を描き込んである。
ふうん、なかなか凝ってんなあ。
感心していると、肩あての左右を繋ぐように胸の前にチェーンが下げられる。これもかっこいい。
後ろからは金髪ストレートロングの鬘を被せられて、耳付きに細工してあるカチューシャもスポッ。本来の耳が隠れるように微調整される。
もう一度正面からすっげー真剣な表情で、髪の具合とか小橋が調整してくれて「後でしげくんがリップクリームだけつけてくれますから」って言われた。
騎馬戦、確か辰とか出るんだったような気がするから、見らんねえのが残念だけど。ひとまず俺はオッケーらしくて今度は自分たちの着替えに取り掛かった二人。
でっかい杖突いた間野は魔術師だからばさっと長いローブ羽織って、色とりどりの紐を頭とかに巻きつけて終わり。ずりい……。
小橋は体にぴったりしたグレーのスパッツと長袖シャツを着てから、俺の肩あてと同じで厚紙やダンボールで作ったらしき鎧を装備していく。大剣を背中に背負って、ラージシールド持って完成。
でさ……多分それ二人とも自分のキャラのカッコでしょ?
なんで俺だけ関係ないカッコなんだよぉーっ!
言ったとしてもどうせ「可愛いから」とかなんとか言われるに決まってんから言わねえもん……。
着替えにやって来たしげくんに薄いピンク色のリップクリームを塗ってもらって、そわそわ。
うう~……ストッキングって生足のパンツいっちょよりなんか風を感じるっていうか、変な感じ。
そうだ! サトサトも着替え始めたし、今の内にトイレの鏡で顔だけでも確認しようかな。全身見てみたいけど、姿見なんて校舎に行かねえとなさそうだし。
一人で廊下に出ようとしたら、ガシッと腕を掴まれた。またかよ。
「一足先に出ていましょうか」
にっこり笑いながら手に押し付けられたのは、レースの手袋。肘の上まであるんだ……。
それを嵌めながら、両脇を小橋と間野の二人に挟まれて歩く。
もう今更逃げねえからいいのに。
「で、バトンはどーすんの?」
バレエシューズって底が薄くて地面の感触モロに伝わってくるなあなんて考えながら、部室棟を出る。
「小さめのプラカード作りましたんで、それを観覧席に見せながら回ってください」
「あー、なるほど。会員募集も兼ねてるんだ」
納得。
外に出ると、ぽかぽか陽気は相変わらずなのに、やっぱりスカートの下がスースーする。風でふわっと捲れたりしたら思わず手で押さえたりして内股になったりして。
女子って大変なんだ……!
道理で姉貴がミニ履かねえわけだよな~。
ふと見ると、上から間野が俺の胸の辺り見下ろしてて。
なに? ってつもりで首を傾げたら「えっろ……」って零されて。
「はあ?」
「乳首立ってますもんね」
すかさず反対隣から小橋がしれっとのたまったもんだから、思わずスカートを押さえていた手を胸に当ててバッテンを作ってしまった。
そんな風にしたのお前らだろうがーっ!
ちょっと誰かこの変態たちどうにかしてください!
涙目でむくれて歩いていると、グラウンドに近付くにつれて皆が振り返ってギョッとして固まっている。そんな中を口笛吹きながらゆったり進む間野と、腕組みして仄かに笑っている小橋に挟まれている俺は、恥ずかしすぎて死にそうだった。
なんか変なんだよな、きっと……。
さっきのハイジ役の子みてえに可愛くねえもん。
で、でも会員増やして出来れば部に昇格したいしっ。頑張れ俺……!
門の近くには会長が待機してて、さっきみたいにいっぱい写真を撮ってくれた。
変だろうがなんだろうが青春の一ページってことで、ネタとして後で姉貴や伴美さんに送ろうかな。
ちょっと開き直り気味になってにこって笑顔を作ると、何だか近くにいた連中が体を半分に折って背中を向けてしまった。
あ。
吹き出すの堪えてくれてんのかな。
ごめんね?
ちゅうと音を立てて尖りを吸ってから唇が離れて、腕放していいですよという声にようやく両腕を解放され、今度は上からニットをスポッと被される。
やけに小せえなと思いながら腕を通せば、胸までしかないタンクトップ。
その下は太腿半分くらいまでの長さの巻きスカートで、腰骨に引っ掛ける感じに下着も下げられているから、腰のラインが丸見えっつうか、寒い。
まさかこれで最後じゃないよねと思っていたら、マント付きの肩あてが出てきてほっとする。ベルトで腕に固定されている肩あては、アルミホイルか何かで包んでから蔦っぽい模様を描き込んである。
ふうん、なかなか凝ってんなあ。
感心していると、肩あての左右を繋ぐように胸の前にチェーンが下げられる。これもかっこいい。
後ろからは金髪ストレートロングの鬘を被せられて、耳付きに細工してあるカチューシャもスポッ。本来の耳が隠れるように微調整される。
もう一度正面からすっげー真剣な表情で、髪の具合とか小橋が調整してくれて「後でしげくんがリップクリームだけつけてくれますから」って言われた。
騎馬戦、確か辰とか出るんだったような気がするから、見らんねえのが残念だけど。ひとまず俺はオッケーらしくて今度は自分たちの着替えに取り掛かった二人。
でっかい杖突いた間野は魔術師だからばさっと長いローブ羽織って、色とりどりの紐を頭とかに巻きつけて終わり。ずりい……。
小橋は体にぴったりしたグレーのスパッツと長袖シャツを着てから、俺の肩あてと同じで厚紙やダンボールで作ったらしき鎧を装備していく。大剣を背中に背負って、ラージシールド持って完成。
でさ……多分それ二人とも自分のキャラのカッコでしょ?
なんで俺だけ関係ないカッコなんだよぉーっ!
言ったとしてもどうせ「可愛いから」とかなんとか言われるに決まってんから言わねえもん……。
着替えにやって来たしげくんに薄いピンク色のリップクリームを塗ってもらって、そわそわ。
うう~……ストッキングって生足のパンツいっちょよりなんか風を感じるっていうか、変な感じ。
そうだ! サトサトも着替え始めたし、今の内にトイレの鏡で顔だけでも確認しようかな。全身見てみたいけど、姿見なんて校舎に行かねえとなさそうだし。
一人で廊下に出ようとしたら、ガシッと腕を掴まれた。またかよ。
「一足先に出ていましょうか」
にっこり笑いながら手に押し付けられたのは、レースの手袋。肘の上まであるんだ……。
それを嵌めながら、両脇を小橋と間野の二人に挟まれて歩く。
もう今更逃げねえからいいのに。
「で、バトンはどーすんの?」
バレエシューズって底が薄くて地面の感触モロに伝わってくるなあなんて考えながら、部室棟を出る。
「小さめのプラカード作りましたんで、それを観覧席に見せながら回ってください」
「あー、なるほど。会員募集も兼ねてるんだ」
納得。
外に出ると、ぽかぽか陽気は相変わらずなのに、やっぱりスカートの下がスースーする。風でふわっと捲れたりしたら思わず手で押さえたりして内股になったりして。
女子って大変なんだ……!
道理で姉貴がミニ履かねえわけだよな~。
ふと見ると、上から間野が俺の胸の辺り見下ろしてて。
なに? ってつもりで首を傾げたら「えっろ……」って零されて。
「はあ?」
「乳首立ってますもんね」
すかさず反対隣から小橋がしれっとのたまったもんだから、思わずスカートを押さえていた手を胸に当ててバッテンを作ってしまった。
そんな風にしたのお前らだろうがーっ!
ちょっと誰かこの変態たちどうにかしてください!
涙目でむくれて歩いていると、グラウンドに近付くにつれて皆が振り返ってギョッとして固まっている。そんな中を口笛吹きながらゆったり進む間野と、腕組みして仄かに笑っている小橋に挟まれている俺は、恥ずかしすぎて死にそうだった。
なんか変なんだよな、きっと……。
さっきのハイジ役の子みてえに可愛くねえもん。
で、でも会員増やして出来れば部に昇格したいしっ。頑張れ俺……!
門の近くには会長が待機してて、さっきみたいにいっぱい写真を撮ってくれた。
変だろうがなんだろうが青春の一ページってことで、ネタとして後で姉貴や伴美さんに送ろうかな。
ちょっと開き直り気味になってにこって笑顔を作ると、何だか近くにいた連中が体を半分に折って背中を向けてしまった。
あ。
吹き出すの堪えてくれてんのかな。
ごめんね?
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