知らない人に「お前とは婚約破棄をする」と言われました。私の婚約者は貴方じゃありません。

あお

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エピローグ

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「エリス」

 熱を孕んだ瞳で見つめられる。

 ズルい。好きな人にそんな瞳で見つめられたら、身体が溶けそうになってしまう。

 その前に頭が溶けかけたかも。

 気が付くとルイスは隣に移動してきていて、目交に彼の端正な顔がある。

「エリス」

 息だけで囁かれた。何を求められているのか、分からない訳じゃない。

 でもここは学園で、私の脳みそはとろけている。

 目交にある彼の熱を孕んだ瞳に耐えきれなくなって、瞳を閉じてしまった。

 唇に柔らかい感触が。触れるだけだけれど、何度も。

 くたりと力が抜けてしまった身体を、ルイスが支えてくれた。

 そのまま逞しい腕の中に抱きこまれる。

 ルイスは騎士候補の中でも腕が立つ。鍛錬に裏打ちされた肉体はしなやかな筋肉を纏っていた。

 決してマッチョではない。

「あの男が君を婚約者だと言うのを聞いて、殺そうかと思った」

 耳元に小さく、睦言のように囁かれた。

 内容は物騒だ。それだけ怒らせてしまったのだろうと心配になったけれど、胸のうちから喜びが溢れた。

 嫉妬してくれたんだ。

「私の婚約者は、貴方だけよ」

 彼の腕の中から上目遣いで囁く。

「それだけかい」

 こめかみや瞼にキスが降り注いだ。

「好きよ、ルイス。貴方だけ」

 ルイスは満足そうに笑った。獲物を捕食したライオンみたい。

 そして今度は可愛くない口づけに襲われた。

 息が辛くなって、ルイスの服を引っ張る。

「私だけ。ズルい」

 涙目になって見つめると、ルイスは熱を孕んだ瞳のまま。

「愛してる」

 と囁いてくれた。








 結局、あの騒ぎは正式な抗議という形でそれぞれの家に伝わり。

 高位貴族二家に睨まれたヘルマン子爵家は青息吐息となった。
 馬鹿をやった息子は、両家が謝罪を受け入れてくれるまでは謹慎させた。出席日数が足りなくなった彼が留年したかどうかは興味がないので知らない。

 ヴェラー伯爵家は、お祖父様がギチギチに締め付けた。ヘルマン子爵家以上の締め付けに、資産の半分を失ったようだ。これ以上やると領民に影響が出るというギリギリまで締め付けたので、今年の社交シーズンにはヴェラー伯爵家は参加出来ない。

 ヴェラー伯爵家には、執事をはじめお祖父様のスパイが入り込んでいるため、不当に税金を上げて領民を苦しめる事も出来なかった。
 そんな事をすれば国にチクられてお家おとり潰しになるというのは、いままでの経験で分かっていたらしい。

 ユリアの婚約がなくなったという話も風の噂で聞いたが、興味がないので忘れてしまった。




 ルイスだけがいればいい。

 とは、公爵令嬢の立場があるから言えないけれど、ルイスとの未来のために、しっかりと地に足をつけて歩んで行きたい。




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