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聖レスク学園

男子生徒側 (※キース視点)

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※キース視点

“目立たないようにが一番目立つ”

誰だ、そんなこと言ったのは。それが現実と化した。
身体能力のあるやつに声をかけるのはわかる。それを文官に求めるているらしい。

女子生徒の授業が、中庭で公爵令嬢とのお茶会になったと噂になっていた。それが昨日。
それで今日、王子様側の動きが活発になった。

教室に回り、生徒に声をかけている。主に男子生徒で成績の良い者を片っ端から。

座学がトップになったことのあるキースにも声がかかった。
相手は貴族様だ、下手な対応はできない。

全力で顔を動かして、礼儀作法で習った頭の下げ方をして答える。

「自分には荷が重いでしょう」

遠回しのお断りは、確かこの言い方であっている筈。
内心の焦りは相変わらず顔に出ない。そのピリピリした空気を読んでか読まずか。
横から声が上がった。

「はい!俺ならオッケーです。」

ここで口を挟めるのこの口だけと揶揄されるマイキーを、ちょっと尊敬した。


「じゃあ、オマエもこい。」

取り巻きに参加させられるらしい。

「光栄に思え!」

何をどうなのか聞きたい。

「何すれば良いんだ?」
(率直に聞くと危ないと思うぞ)

そう心でマイキーに注意するも、自分も何をさせられるのか気になる。
良いとこ下っ端扱い、下手をしたら使い捨てだろう。

そんな興味のない事に巻き込まれて退学するなんて、嫌だ。
そんな思いは顔に出ていないだろうが、その貴族の先輩はひと言ー

「何もするな。」

そして集団に合流して、立ち去っていった。


「何あれ?」
「あっちよりオマエのが問題だと思う。」

貴族へのマナーの授業をしっかり受けないとこいつ、ヤバくないか?
本心でそう思った。


そのお断りをした唯一の学生として、キースは目立ったらしい。
同級生で貴族に勧誘されたと噂されるも、キッパリと応える。

「とばっちりを受けるのは真っ平」としかキースは思わなかった。
声をかけてくる生徒が、他のクラスからも増えた。

煩いのはマイキーだけで十分に余剰がある。

鬱陶しいとしか思わなかったキースは、
図書館に逃げ込んだ。

あそこは流石に静かだろうと思った。
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