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6歳

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本の整理、サディス付き。私の監視?な状態で書庫にいる。
売れそうな魔石も売ってもらおうと探している。ダウジングで示された場所を中心に本や棚を探る。

本の中がくる抜いてあるとか。凝った事をと思うが、本が読めなくなっているなら気持ちも下がる。
「昔の辞書?」

破棄する予定の本だったかもしれない。花言葉の本とかもあるので読む人がいなくなったとか?

大きな商業ギルドでなら、宝石を売買できると聞いている。
その目録作りを一緒にしている若い執事だ。“王都に行く前に交流しておきなさい”と言う師匠のグラウルの執事的な配慮だろうか?

話しをしない状態で作業しているので、独り言になっている。

「これの続き巻、出てるかな。」
「購入リストに入れますか?」

首を振って否を伝えておいた。読んでみたいけど優先順位は低い。

高いところは取れないけど、スッと取ってくれる。しかし会話はない。ページを捲る音、ペンの走る音。
つまり無言の間が続いていた。グラウルが様子を見に来るまで。

「進捗はいかがでしょうか?」

“サディスはどうですか”の間違いなのでは?視線がそう言っている。

「やり取りしか、会話はなかった。」

「困った子です。」
「嫌われてる?」

「心をなかなか開かないですが、仕事には忠実です。」
「それは知ってる。」

「左様ですか。」

弟子でもあり養子のサディスに満足気だ。

その顔を見て、少し胸が詰まった。なんだろう?
ちょっと羨ましいと思う感情だろうか。

『私には誰からも向けられないのに』

どす黒くなりそうな感情を飲み込んで、作業に戻る。へそくり探しは着々と進んでいた。
魔物から出ただろう魔石、硬貨が袋に入っていたり明らかに隠されている。

「先代とお2人でした。その後に当主様が。」

こんなにあると1人じゃなく、3人ともが隠してあったとかだったりする?
「当主様は、本に隠さないでしょう。」

確証を得ているような言い方だったが、まあ気にならない。
(ヴェーネン家のへそくり、ピンハネ事情なんてどうでもいいや。)
「お土産代にはなりそうだね。」

王都のお菓子をお茶請けに庭でお茶できそうだと思った。

未だにステラは王都へ行くのを諦めていないのが、煩いんだけど。会うたびに叫び、囁き、訴える。

(怖い話でもしてもらうか。本当にあった貴族の話って。)
「若い女の子って王都に憧れるものなのかな」

グラウルは、セリの台詞に顔を作って反応しないようにした。
6歳の女の子の言葉にしては違和感がとんでもなかったが、笑いを狙った風ではないからだ。

「セリ様は、憧れないのですか?」
「たぶん屋敷から出られないなら、行くのもつまらないかな。」

確かに6歳では気軽に屋敷から出かけてもらえないが。
護衛も慣れておらず、私どもの調査も終わっていませんのでね。

サディスにセリ様と会話をと視線で指示して、退出した。



「セリ様は、王都へは行かれないのですね。」

「うん。動きが取れないだろうし、私に合わせると日程に響く。」
6歳の体力では最短で行く、3日では無理そうだ。

街へは行くようになったけど、体力には自信がない。

そろそろ草原で狩りの練習をしたいんだけど、


「頼みがあるんだけど。」

サディスにお願いをしてみた。


「ある貴族家の話です。」

どこのとは、申せませんがで始めたのは…

メイドが死ぬ。
メイドが捨てられ、騙された。

その恨みにメイドの弟が姉として復讐を遂げる。


夜の食堂で、雰囲気満点だ。サディスの淡々とした喋りも小気味良かった。

参加自由で冒険者も酒を片手に聞いていた。有料です。


「こっわ。」

「あらあら、ホントにこわいわねえ。」
「おい。」
「ひっ!」


ドム爺は不参加でも、『マリーのよくある話ね』が一番怖かったりした。
そろそろ寝ようと部屋に戻ったけど、食堂で皆、お酒は進んでいるらしい。
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