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新章

5-①

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カイナ本人がいない中、技術チームの会議が開かれていた。カイナの初ダイブ試験の結果が出て、その評価をしていた。
「健康チェック、カプセル内での不具合はなかったか?」

中央には、カイナが初めてカプセルの入り行動した記録がモニターに映し出されている。
「問題は見受けられません。」

その後も技術者が報告に出入りし、科学者達はその報告から議論を進めていた。

「能力は生産職なら十分。演算も得意で、魔法構造の理解も早いです。端末の馴れも問題ないですね。」
「検査項目も問題なし。運動能力は、向上が見込めるでしょうか?」

「危険地帯への侵入はなしにしておきましょう。」
「リアル表現、グロテスクもあるからな。」

そのまんまゲームの設定のような会話だが、討伐チームとは対応が変わるのは当たり前だ。
今回の人物はゲーム脳でも脳筋でもない。一般的な女性であり、数値や耐久性をフォローする必要がある。

不安を与えないよう、配慮を徹底するのが指針だった。

「痛覚や感覚の遮断はできるが、培った感覚を活かすために<無し>にはできない。」
「あちらの加護の分、その数値より上がる見込みはありますが…。」

戦闘を想定しない安全策を張り巡らされた環境。この稀なオーダーも興味深いとチームは、過熱する議論と集中力を持って会議を進めていた。

実績は十分ある。プロのゲーマーやアスリート。女性も少ないがあちらへ渡っている。ただ数値的に比べれば、鍛え上げていた先達より一般的な生活を送っていたカイナが劣るのは予想内だ。

その上でのチェックと戦闘はしない事で入れられる容量に徹底的に保護を入れ込んでいた。もちろん、エラーのないように組見込み向こうで使えるものを提供するのが理想だ。

例え、誤作動するものがあっても、通知の届かないところへ迷い込んでも戻ってこれるように。この地球からあちらの世界へ及ぼせる力も制限は受ける。

「あの世界をカイナさんが嫌わないように。」

安全に彼女を送り出す事が、今後あの世界と関係構築の成功の一端を握る。それほど、あの世界へ行ける許可の出るものはひと握りだ。

行けるなら自分が行っている!と言う科学者、技術者が何人いる事か。それでもあちらの許可なしには、相互に手を伸ばせられなければ世界を渡る事は、困難である。

技術力とあちらの魔法と呼ぶべき存在と力に導かれることしか。


「行ってもらわないとな」

本番の時が迫っている。研究者達と技術班の調整に余念はなかった。

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