【完結済み】湖のほとりの小屋で、女は昼夜問わない休暇中。<R-18>

BBやっこ

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朝の眠り

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「起きたよー」

まだじゃつくのを止めない狼に声をかける
女の着ていた服が肩からはだけ、首から胸の辺りまで見えそうだ。


(水浴びしただろうか?)
身につけた時さえ思い出せず
起きようにも、思考が鈍く下腹部の怠さに気づく。

加えて、物理的に狼が重い。体格の良い成人男性くらいの重さなのだ。
苦しいのでどいて欲しい


「もしゃもしゃにしてやるぅ!」

抱き寄せ、狼の首元から耳と顔らへんを撫で回す。

薄い布越しにもふもふを堪能していたら、声をかけられた。


「離れろ」

狼を追いやり、女の隣に代わりに陣取った。

「おはよう」
と女から言うと
ちゅっとしたかったんだろうが、
先に唾液をつけられたのでそれを拭き取られた。

そこからのディープなキス。

女を番だという相手。

狼の方は、まだ気になるようでウロウロしている

<オレも!>
と言った風に女へ飛びつこうとした。
男に防がれるが。

そんなやりとりを微笑ましく眺め、勝ち残った男は女の香りを嗅ぐように鎖骨へ顔を寄せた。

そんな動作に
(いつもより“甘えた”だろうか?)
と思いながら、受け入れる。

程なくして、空腹を自覚したため
朝食を食べながら、今日の予定を決める。


「出かけられない」

その答えに
「何かあった?」
聞き返すと、女をじっと見て男は黙った。

自分のせいだろうか。

確かに、少し眠い。
体調が万全ではないかもしれないが、ずっと寝ていると言うほどでもない。


男の手が、頬に触れる。

心配気に、壊れないよう優しく。
その様子に心配症だと思ったが、言うよりキスのが早かった。

今日は、この小屋という名の一軒家でのんびり過ごすのだろう。
ベッドから降りず、ゴロリと体を預ける。

不調と言うほどでもないが、楽な姿勢を探す。
触れるシーツの滑りを堪能して、再び眠れるかを試している。


(この上で泳げば、疲れて眠れるかも。)

そんなバカなことを考えていれば、男もベットに横になる。

腕の中に収まり、互いの鼓動を感じながら目を瞑る。
水の中もこれくらい静かだろうか?

少しうとうとしそうなところで、

カッカッと狼が移動して来る音

(これは、水の中では聞こえないだろう)と笑いが込み上げる。


寝たまま呼べば、ベッドの足元に来たようだ。

そのままボードに乗ったような微睡み
静かに湖面を進むようなそれに、嵐の予感はなかった。


ただ、ゆらりゆらりと気持ち良い心地で、
眠りに落ちるところだった。


髪を撫でられる男の手も、
背に感じた手の平にも

眠りに誘うように、静かにゆっくりと包み込まれたのだった。








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