外れスキル【無限再生】が覚醒して世界最強になった ~最強の力を手にした俺は、敵対するその全てを蹂躙する~

八又ナガト

文字の大きさ
14 / 87

014 自決と毒

しおりを挟む
「でもそうは言っても、食料の入った荷物はアルトに奪われちゃったし……」

 『脱出の転移結晶』を発動する直前、アルトは荷物袋を渡すよう僕に言った。
 あの中には食料の他に幾つかのマジックアイテムも入っていたため、回収しておきたかったんだろう。

 まさかあのやりとりが、ここに来て響いてくるとは。

 とはいえいつまでも落ち込んでばかりではいられない。
 どうにかして、この空腹感を満たす方法を見つけなくては。

「飢餓状態で死んだ場合でも、【無限再生】がちゃんと発動してくれるかは分からないしね。これまでの経験上、ある程度肉体的な回復もしてくれはするんだろうけど……復活後、60分以内にまた死亡なんてことになったら目も当てられないよ」

 そう呟きながら、僕はきょろきょろと周囲を見渡す。
 しかしここはダンジョンの最奥。そう都合よく食料なんてあるはずが……

 その時、ブラック・ファングの死体が僕の目に留まった。

「……魔物の肉か」

 僕は思わず眉をひそめた。

 というのも、だ。
 通常、魔物の肉が食用として流通されることはない。
 魔物が持つ魔力は人間にとって毒であり、食べると様々な悪影響が出て、場合によっては死に至る可能性すらあるからだ。

 しかし、今は状況が状況。
 他の手段などありはしなかった。

「……ふぅ、仕方ないか」

 一度だけ大きく息を吐き、僕は覚悟を決める。
 今は空腹を我慢できたとしても、これは近いうちに必ず解決しなくてはならない問題。
 なら、できるだけ早い方がいい。

 それに万が一毒で命を落としたとしても――餓死とは違い、【無限再生】はきちんと発動してくれるはずだ。

 僕は短剣でブラック・ファングの死体を解剖し、最低限の血抜きだけを行う。
 ここに火炎用のマジックアイテムはないため、もちろん生食だ。

「さあ、いくぞ」

 僕はごくりと喉を鳴らした後、文字通り決死の覚悟で肉を喰らった。
 当然旨味なんてものは一切なく、獣臭さが口の中いっぱいに広がる。
 それでも僕は必死に耐え、腹の奥へと無理やり呑み込んだ。

 そして、もう一度深呼吸。

「ふぅ、全然美味しくはないけれど……まあ、耐えられない程じゃないかな?」

 それに運がよかったのか、毒が回ってくることもな――

「――――ッッッ!?!?!?」

 ――その時だった。
 突然、体中に悪寒と痛みが走った。

 僕は耐え切れず、その場に崩れ落ちた。
 
「っ、くうっ、ううぅっ……!」

 まるで小さな獣が、体内を駆け回っているかのような異物感。
 心臓を突き刺した時の痛みが強火で一気に焦がされるような感覚なら、これは中火でじわじわと内側から溶かされている感覚に近いだろうか。
 いずれにせよ、確実に僕を死へと至らせる痛みであることは間違いない。

 結果、それから徐々に体力を削られること約5分後――僕は再び、命を落とすこととなった。



『魂の再生成が行われます』



 そのシステム音が聞こえた時、僕が考えていたのは堪えがたい痛みに対する恨みではなく――

(ははっ、なんだ……心臓を刺す以外にも、死ぬ方法があったんだな)

 ――そんな風に、死に際とは思えないほど腑抜けた内容だった。
 もしかしたら僕の心は、既に壊れ始めているのかもしれない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...