外れスキル【無限再生】が覚醒して世界最強になった ~最強の力を手にした俺は、敵対するその全てを蹂躙する~

八又ナガト

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032 愚昧の賢者

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 賢者セドリック。
 【黎明の守護者】に所属する魔法使い。
 シンにとっては、比較的関わりの薄い相手だった。

 というのも、だ。
 基本的にセドリックは他人に興味がなく、自分の知的好奇心を満たすことだけにエネルギーを費やしていた。
 休養日は魔導書を読むか、魔法の実験をすることがほとんど。
 シンだけでなく他のパーティーメンバーに対しても似たような対応だった。

 その程度の関わりしかないセドリックだが、それでもシンが知っていることは幾つかある。
 まずは上述のように、何よりも知識を大切にしていること。
 そして知識を持った者としての、ふさわしい振る舞いをすることに誇りを持っていることだ。
 シンに対してもよく、『思考することだけは止めてはいけない』と言っていた。

 そんなセドリックは2年前の別れ際、シンに対して言った。
 『何も知らないまま無垢に笑う貴方は、とても惨めでしたよ』――と。
 パーティーの全員から騙されていることに気付いていなかったシンを、そう嘲笑ったのだ。

 だからこそ、シンは考えた。
 セドリックに対して、最もふさわしい復讐の手段は何か。

 ――そして、答えは出た。


 しばしの思考の末、シンはセドリックに告げる。

「……安心してください。僕が今日までどうやって生きてきたか、ちゃんと皆にも説明するつもりでしたよ」
「っ! そう、ですか……ならば早く、教えてください! 私の命が、尽きてしまう前に――」

 そして、同時に剣を二度振るった。
 セドリックの知識吸収を支えた、
 併せて放った魔力の余波により、鼓膜ごとその機能を奪った。

「――へ?」

 突如として音を失い、困惑するセドリック。
 シンはそんな彼に対し、


「もっとも、それを聞けるのはお前を除いて――だけどな」


 訪れる数瞬の間。
 状況を理解したセドリックが絶望の表情を浮かべるまで、そう時間はかからなかった。

 痛み以上に、聴覚を失ったという事実の方が重大だったのか。
 セドリックは困惑と焦燥の入り混じった表情で口を開く。

「なぜ、このようなことを……ふざ、けるな! 私を、騙したのですか――」
「そして、
「――え? うわぁぁぁああああああ!!!」

 蹂躙は止まらない。
 シンは再び剣を振るうと、敵の両目を斬った。
 セドリックは聴覚に続いて視覚すらも失う。

「そ、んな……ありえない、ありえない、ありえない! この私が、このような目に遭うなど……夢の中にでもいるに、違いありません……!」

 光も音も届かない暗闇の中で、セドリックは惨たらしくわめく。
 景色を見て、言葉を聞く。そうして知識を得ることは、彼にとって存在価値にも等しい行為だった。

 しかしそのための手段を全てを失った今、セドリックにできるのは――最後に残された希望は、自分の意思を言葉にして周囲に届けることのみ。

 ゆえに、

「いいや、これが現実だよ」
「……ぐひゅ」

 シンはセドリックの声帯を踏みつぶし、その希望さえも奪った。

 続けて、シンは無情に告げる。


「格下と思っていた相手に手も足も出ず、惨めに、哀れに、何も理解できないまま死んでいく――それが、知性と誇りを何より重要視するお前に対する復讐だ」


 そこまでを言い切ったあと、彼は自嘲的に小さく笑った。

「――まあ、この言葉すらもう届いてないだろうけどな」
「…………ぁ、ぁぁぁ」

 すると、セドリックは言葉にならない音を零す。
 シンの声が届いたわけではないだろうが、直感的にどんな言葉をかけられたかくらいは理解できたのかもしれない。

 もっとも、セドリックが反応を見せたのはここまで。
 延命する理由を全て失った彼は、おのずと体中に循環させていた魔力を止める。
 ――そして間もなく、彼の命は尽きた。


 こうして、一人目の復讐は終わった。


――――――――――――――――――――

一人目の復讐終了。
この調子でガンガン進めていきます!

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