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056 介入
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エルフ族と思われる銀髪の少女と、彼女を取り囲む5人の男冒険者。
何やらきな臭い雰囲気を醸し出していた。
「……面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだな」
気配を消して、バレないようにさっさと通り過ぎようかと考えていた矢先、追手側の男たちが声を上げた。
「はっ、残念だったな! ダンジョンに潜れば逃げ切れると思ったか!?」
「それくらいで逃がすほど俺たちは甘くねえよ! ってか、どうやら魔物との連戦で疲労も溜まってるみたいだな」
「へへっ、そいつは好都合。さっさと捕えちまおうぜ!」
……なるほど。
男たちの発言で、おおよその状況は理解できた。
ありきたりだが、少女の身柄を捕えて売り払おうとでもしているのだろう。
エルフ族はこの国でも珍しい存在。欲しがる金持ちがいても全くおかしくない。
「結局、こうなっちゃうんだ……」
少女は険しい表情を浮かべながら、悔しそうにそう呟く。
その様子から抵抗の意思は見えない。
魔物との連戦と、追手から逃げ続けたことで疲労が限界を迎えているのだろう。
先ほどの戦闘時、格下の魔物相手にもかかわらず、やけに疲れた様子だったことにもそれで説明がつく。
「なんだ、もう抵抗する気はなくなったのか?」
「ようやく立場を弁えたみたいだな」
勝利を確信した男たちは、ゲスい笑みを浮かべながら少女に近づいていく。
その光景を前に、俺は少し悩んだ。
俺と少女は無関係で、特に助けてやる義理はない。
復讐を成し遂げるためにも、不必要に目立つ行為は避けていくべきだ。
それでも。
俺は自分の意思を以て、その場に介入することにした。
複数人に敵意を向けられ絶望する少女の姿が、かつての自分に重なって見えたからというのもある。
だけど、それ以上に大きな理由があった。
単純な話――俺は、男たちが気に食わなかった。
「まあ、どうにでもなるか……」
小さくそう呟いた後、俺は一息で少女の前に移動した。
そして、
「そこまでにしておけ」
そう告げると、全員の注目が一斉に俺へと集まる。
「あ、あなたは……?」
背後からは、少女の戸惑ったような声。
そして前方では――
「ああん? 何だテメェは?」
「コイツに仲間がいた……? いや、通りすがりのただの冒険者か。チッ、面倒なことになりやがったな」
突如として現れた乱入者に対し、男たちは各々の武器を構え始める。
俺が少女を守ろうとしていることくらいは、説明せずとも分かったのだろう。
そんな折、一人が何かに気付いたように「あっ」と声を漏らした。
「待てみんな、よく見ろ! 誰かと思ったらコイツ、ついこないだギルドに登録しに来たレベル40の雑魚じゃねえか!」
「レベル40……? ああ! 最近よく先輩が気にしていたアイツか! ……ってことはなんだ? そんな低レベルの分際で、俺たちに逆らおうってか?」
「ハッ、これだから力の差が分からない野郎は! 雑魚の分際でかっこつけなければ生きながらえただろうに、残念だったな」
どうやら俺のことを知っているみたいだ。
……まあ、それはどっちでもいい。
対峙してもまだ本当の力量差が分かってない以上、コイツらはその程度の存在。
相手取るだけなら全く問題ないだろう。
それよりも。
俺は先ほどから気になっていたことを尋ねることにした。
「お前たちは、自分が何をしているのか分かっているのか?」
「ああん? 何だと!?」
「この国では条約によって、異種族への差別行為は禁じられている。特にエルフ族は仲間意識が強い。一族の者が乱暴な扱いをされたとなれば、一族総出で反撃に来る可能性すらある……それを知らないわけじゃないだろ?」
元々、一介の冒険者でしかない俺でも知っているのだ。
この迷宮都市で活動しているコイツらが知らないはずがない。
エルフ族の中には、長い年月によって力を得た強者が数多くいるという。
コイツ等ごときに敵う相手じゃないはずだ。
それに、エルフ族と友好な関係を築くことは国としての優先事項でもある。その関係に亀裂を入れるとなれば、王国騎士団によって処分される恐れもあるだろう。
そんな前提の中で告げた提言だったのだが――
男たちはしばらくキョトンとした表情を浮かべた後、一斉に笑い出すのだった。
何やらきな臭い雰囲気を醸し出していた。
「……面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだな」
気配を消して、バレないようにさっさと通り過ぎようかと考えていた矢先、追手側の男たちが声を上げた。
「はっ、残念だったな! ダンジョンに潜れば逃げ切れると思ったか!?」
「それくらいで逃がすほど俺たちは甘くねえよ! ってか、どうやら魔物との連戦で疲労も溜まってるみたいだな」
「へへっ、そいつは好都合。さっさと捕えちまおうぜ!」
……なるほど。
男たちの発言で、おおよその状況は理解できた。
ありきたりだが、少女の身柄を捕えて売り払おうとでもしているのだろう。
エルフ族はこの国でも珍しい存在。欲しがる金持ちがいても全くおかしくない。
「結局、こうなっちゃうんだ……」
少女は険しい表情を浮かべながら、悔しそうにそう呟く。
その様子から抵抗の意思は見えない。
魔物との連戦と、追手から逃げ続けたことで疲労が限界を迎えているのだろう。
先ほどの戦闘時、格下の魔物相手にもかかわらず、やけに疲れた様子だったことにもそれで説明がつく。
「なんだ、もう抵抗する気はなくなったのか?」
「ようやく立場を弁えたみたいだな」
勝利を確信した男たちは、ゲスい笑みを浮かべながら少女に近づいていく。
その光景を前に、俺は少し悩んだ。
俺と少女は無関係で、特に助けてやる義理はない。
復讐を成し遂げるためにも、不必要に目立つ行為は避けていくべきだ。
それでも。
俺は自分の意思を以て、その場に介入することにした。
複数人に敵意を向けられ絶望する少女の姿が、かつての自分に重なって見えたからというのもある。
だけど、それ以上に大きな理由があった。
単純な話――俺は、男たちが気に食わなかった。
「まあ、どうにでもなるか……」
小さくそう呟いた後、俺は一息で少女の前に移動した。
そして、
「そこまでにしておけ」
そう告げると、全員の注目が一斉に俺へと集まる。
「あ、あなたは……?」
背後からは、少女の戸惑ったような声。
そして前方では――
「ああん? 何だテメェは?」
「コイツに仲間がいた……? いや、通りすがりのただの冒険者か。チッ、面倒なことになりやがったな」
突如として現れた乱入者に対し、男たちは各々の武器を構え始める。
俺が少女を守ろうとしていることくらいは、説明せずとも分かったのだろう。
そんな折、一人が何かに気付いたように「あっ」と声を漏らした。
「待てみんな、よく見ろ! 誰かと思ったらコイツ、ついこないだギルドに登録しに来たレベル40の雑魚じゃねえか!」
「レベル40……? ああ! 最近よく先輩が気にしていたアイツか! ……ってことはなんだ? そんな低レベルの分際で、俺たちに逆らおうってか?」
「ハッ、これだから力の差が分からない野郎は! 雑魚の分際でかっこつけなければ生きながらえただろうに、残念だったな」
どうやら俺のことを知っているみたいだ。
……まあ、それはどっちでもいい。
対峙してもまだ本当の力量差が分かってない以上、コイツらはその程度の存在。
相手取るだけなら全く問題ないだろう。
それよりも。
俺は先ほどから気になっていたことを尋ねることにした。
「お前たちは、自分が何をしているのか分かっているのか?」
「ああん? 何だと!?」
「この国では条約によって、異種族への差別行為は禁じられている。特にエルフ族は仲間意識が強い。一族の者が乱暴な扱いをされたとなれば、一族総出で反撃に来る可能性すらある……それを知らないわけじゃないだろ?」
元々、一介の冒険者でしかない俺でも知っているのだ。
この迷宮都市で活動しているコイツらが知らないはずがない。
エルフ族の中には、長い年月によって力を得た強者が数多くいるという。
コイツ等ごときに敵う相手じゃないはずだ。
それに、エルフ族と友好な関係を築くことは国としての優先事項でもある。その関係に亀裂を入れるとなれば、王国騎士団によって処分される恐れもあるだろう。
そんな前提の中で告げた提言だったのだが――
男たちはしばらくキョトンとした表情を浮かべた後、一斉に笑い出すのだった。
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