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067 懐かしい感覚
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俺はイネスの悲鳴を聞きつつ、状況を分析する。
(――さて。とりあえず、無貌《むぼう》の巨人《きょじん》が再出現してくれて一安心だな)
ダンジョンでは基本的に一度しかボスを倒せない。
攻略者の魂が、情報としてダンジョンに刻まれるからだ。
そして俺は昨日、確かに無貌の巨人を討伐していた。
しかし、あの個体がマジックアイテムによって召喚されたこと。加えて倒した場所がダンジョン外だったこともあり、攻略した判定にはなっていなかったようだ(攻略を告げるシステム音も聞こえなかった)。
あとはコイツをイネスに倒させれば、一気にレベルアップできるはず。
当然、俺に入る分の経験値はなくなるが、それ自体は問題ないと考えていた。
というのも、だ。
【黒きアビス】でひたすらに自死を繰り返していた頃にまで遡るが、あるタイミングから俺のレベルは一切上がらなくなった。
各パラメータが上昇しすぎたせいか、それとも別の要因かは不明だが……
いずれにせよ、俺は今、特に経験値を欲していないという事情があった。
「ちょ、ちょっと待ってよ、シモン! これって昨日の魔物だよね!? 2500なんて、わたしじゃ絶対に倒せないよ!」
不意に、イネスがそう訴えかけてくる。
その様子からは必死さが伝わってきた。
……まあ、無理もない。
イネスのレベルは現在458(最下層に来るまでに少し上がった)。
それでも無貌の巨人とは、実に2000以上の大差がある。
到底太刀打ちできる相手ではないのだ。
「確かに、お前の実力じゃ倒すのは不可能だろうな」
俺もイネスの言い分にはおおむね同意する。
しかし、一言だけ付け加えることにした。
「……だが、戦いに必要なのは、何もスキルやステータスだけじゃない」
「そ、それって……」
困惑するイネスに対し、俺は自分の武器である大剣――骸の剣を差し出した。
――――――――――――――
【骸の剣】
・攻撃力+11420
・ネクロ・デモンが所有する武器。敵を倒すたび、その魂を吸収し強化される性質を持つ。
――――――――――――――
「武器なら、スキルと違い他人でも使用できる。そしてこれを装備すれば、攻撃力は格段に上昇する。お前のレベルでも十分倒せるはずだ」
「そ、それはそうかもだけど! これだけのレベル差があったら、わたしの共鳴でも回避するのは難しいんだよ!? ましてや、攻撃を当てるなんて……」
「とりあえず受けとれ」
「っ! ……お、重っ」
イネスは困惑したまま骸の剣を受けとろうとするが、武器の装備推奨レベルに達していないのか、ただ持つだけでもままならない様子だった。
そんなイネスに対し、俺は告げる。
「俺が隙を作るから、お前はただ思い切り振り下ろせ」
あとは実際に、どうやって無貌の巨人を足止めするか。
敵が動けなくなるまでダメージを与えることはできるが、それだと経験値が俺に多く入り、イネスのレベルアップに繋がらない。
(……なら、あの方法しかないな)
俺が決断するのと、ほとんど同じタイミングだった。
『グォォォオオオオオ!』
とうとう無貌の巨人が動き始める。
狙いは俺ではなくイネスだった。彼女が持つ骸の剣を警戒しているのだろう。
彼女は剣を高く掲げたまま、焦燥感に満ちた声で叫ぶ。
「シ、シモン!」
「――――ここだ」
タイミングを見計い、俺は自分の両足を骨短剣で突き刺した。
その理由は当然、あのスキルを発動するためだ。
――――――――――――――
【痛縛の強制】
・自傷を行い、受けた痛みを対象と共有する。
対象の抵抗力が高い場合、打ち消されることがある。
――――――――――――――
【痛縛の強制】は、自分の受けた痛みを相手と共有するスキル。
そして俺は今、ただ立ち続けることも難しいほどの激痛を無貌の巨人に与えた。
その結果――
『グ、グルァァァアアアアア!?!?!?』
――案の定、無貌の巨人は苦痛の悲鳴を上げながら動きを止めた。
それだけに留まらず、まるでイネスに首を差し出すような形で倒れていく。
「うそ! いきなり崩れ落ちた!?」
狙いは成功。
だが、本番はここから。
【痛縛の強制】を使う一番の理由は他にある。
そう。このスキルなら相手にダメージを与えることなく、ただ動きだけを制限できるのだ。
これでイネスから経験値を奪い取ることもなくなるため、まさに一石二鳥。
「今だ、イネス!」
「う、うん!」
俺の合図に反応し、イネスは渾身の力を込めて骸の剣を振り下ろした。
剣の速度は遅いが、敵が身動きを取れないため問題はない。
重い漆黒の刃が無貌の巨人の首を捉え、一瞬にしてその頭部を胴体から切り離すのだった。
『ダンジョンボスを討伐しました』
『ダンジョン攻略報酬 アイテム【無貌の仮面】が与えられます』
ダンジョンからのアナウンスが響き、俺は小さく頷く。
今ごろイネスには、レベルアップを告げるシステム音も聞こえているはずだ。
その証拠に、イネスは喜びを隠しきれない様子で俺に駆け寄ってくる。
「や、やったよシモン! この剣のおかげで本当に倒せた! それにレベルが、一気に300も増え、て……」
だが、その直後だった。
イネスは俺が膝をついている姿を見て、目を大きく見開いた。
「……っ! シモン、足が!」
俺の負傷に気付いたイネスが、慌てて駆け寄ってくる。
傷口を見た彼女は、顔面蒼白になりながら叫んだ。
「ど、どうして、シモンがこんな傷を負って……」
「……落ち着け、イネス。いま説明する」
(……【無限再生】はともかく、他のスキルについて教えるくらいならいいか)
俺は取り出したポーションを傷口にかけながら、【痛縛の強制】の内容をイネスに説明することにした。
だが、彼女の表情はさらに曇るばかりだ。
それどころか――
「何考えてるの、シモン!」
イネスは本気で、怒声を張り上げた。
予想していなかった反応に少しだけ面食らいつつも、落ち着くように促す。
「落ち着け、イネス。お前が気にすることじゃない。痛みには慣れてるし、見ての通りポーションを使えば傷もすぐに治る――」
「そういうことじゃ、ないよ……」
だが、彼女は瞳に涙を溜めて首を振った。
「……ダメだよ、そんなことに慣れちゃ。そりゃ、手伝ってもらってるわたしがシモンに言える立場じゃないのは分かってる。それでも……やっぱり、ダメだよ」
「………………」
なんて返すべきか、言葉を失う。
こんな感覚は、果たしていつぶりだろうか。
一つだけはっきりしているのは、イネスが本気で俺の身を案じ、そう主張しているということ。
それでも普段の俺ならば、非効率だと一蹴するべき提案だ。
しかし――なぜだろうか。
今の俺は、そうしようとは思わなかった。
胸の奥に何か、懐かしい感覚が蘇ったような気がしたのだ。
だから、しばしの思考の末――
「……分かった」
「っ、ほんと!?」
――俺は、イネスの提案に頷いた。
自分でも自分の行動が理解できないまま、言葉だけが口から紡がれていく。
「ただ、そうなると今後は経験値効率が下がる。それでもいいんだな?」
「うん、もちろんっ! そのくらいへっちゃらだよ!」
イネスはパアッと顔を輝かせ、満面の笑みで俺を見つめる。
――かと思えば、わずかに目を細め、慈愛のそれへと笑顔の種類を変えた。
「ありがとね、シモン」
「……なぜ、このタイミングでお前が礼を言うんだ」
居心地の悪さを誤魔化すように前髪をすく。
……この程度のことで動揺するとは。
本当に、今日の俺はどうかしているみたいだ。
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当然、俺に入る分の経験値はなくなるが、それ自体は問題ないと考えていた。
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各パラメータが上昇しすぎたせいか、それとも別の要因かは不明だが……
いずれにせよ、俺は今、特に経験値を欲していないという事情があった。
「ちょ、ちょっと待ってよ、シモン! これって昨日の魔物だよね!? 2500なんて、わたしじゃ絶対に倒せないよ!」
不意に、イネスがそう訴えかけてくる。
その様子からは必死さが伝わってきた。
……まあ、無理もない。
イネスのレベルは現在458(最下層に来るまでに少し上がった)。
それでも無貌の巨人とは、実に2000以上の大差がある。
到底太刀打ちできる相手ではないのだ。
「確かに、お前の実力じゃ倒すのは不可能だろうな」
俺もイネスの言い分にはおおむね同意する。
しかし、一言だけ付け加えることにした。
「……だが、戦いに必要なのは、何もスキルやステータスだけじゃない」
「そ、それって……」
困惑するイネスに対し、俺は自分の武器である大剣――骸の剣を差し出した。
――――――――――――――
【骸の剣】
・攻撃力+11420
・ネクロ・デモンが所有する武器。敵を倒すたび、その魂を吸収し強化される性質を持つ。
――――――――――――――
「武器なら、スキルと違い他人でも使用できる。そしてこれを装備すれば、攻撃力は格段に上昇する。お前のレベルでも十分倒せるはずだ」
「そ、それはそうかもだけど! これだけのレベル差があったら、わたしの共鳴でも回避するのは難しいんだよ!? ましてや、攻撃を当てるなんて……」
「とりあえず受けとれ」
「っ! ……お、重っ」
イネスは困惑したまま骸の剣を受けとろうとするが、武器の装備推奨レベルに達していないのか、ただ持つだけでもままならない様子だった。
そんなイネスに対し、俺は告げる。
「俺が隙を作るから、お前はただ思い切り振り下ろせ」
あとは実際に、どうやって無貌の巨人を足止めするか。
敵が動けなくなるまでダメージを与えることはできるが、それだと経験値が俺に多く入り、イネスのレベルアップに繋がらない。
(……なら、あの方法しかないな)
俺が決断するのと、ほとんど同じタイミングだった。
『グォォォオオオオオ!』
とうとう無貌の巨人が動き始める。
狙いは俺ではなくイネスだった。彼女が持つ骸の剣を警戒しているのだろう。
彼女は剣を高く掲げたまま、焦燥感に満ちた声で叫ぶ。
「シ、シモン!」
「――――ここだ」
タイミングを見計い、俺は自分の両足を骨短剣で突き刺した。
その理由は当然、あのスキルを発動するためだ。
――――――――――――――
【痛縛の強制】
・自傷を行い、受けた痛みを対象と共有する。
対象の抵抗力が高い場合、打ち消されることがある。
――――――――――――――
【痛縛の強制】は、自分の受けた痛みを相手と共有するスキル。
そして俺は今、ただ立ち続けることも難しいほどの激痛を無貌の巨人に与えた。
その結果――
『グ、グルァァァアアアアア!?!?!?』
――案の定、無貌の巨人は苦痛の悲鳴を上げながら動きを止めた。
それだけに留まらず、まるでイネスに首を差し出すような形で倒れていく。
「うそ! いきなり崩れ落ちた!?」
狙いは成功。
だが、本番はここから。
【痛縛の強制】を使う一番の理由は他にある。
そう。このスキルなら相手にダメージを与えることなく、ただ動きだけを制限できるのだ。
これでイネスから経験値を奪い取ることもなくなるため、まさに一石二鳥。
「今だ、イネス!」
「う、うん!」
俺の合図に反応し、イネスは渾身の力を込めて骸の剣を振り下ろした。
剣の速度は遅いが、敵が身動きを取れないため問題はない。
重い漆黒の刃が無貌の巨人の首を捉え、一瞬にしてその頭部を胴体から切り離すのだった。
『ダンジョンボスを討伐しました』
『ダンジョン攻略報酬 アイテム【無貌の仮面】が与えられます』
ダンジョンからのアナウンスが響き、俺は小さく頷く。
今ごろイネスには、レベルアップを告げるシステム音も聞こえているはずだ。
その証拠に、イネスは喜びを隠しきれない様子で俺に駆け寄ってくる。
「や、やったよシモン! この剣のおかげで本当に倒せた! それにレベルが、一気に300も増え、て……」
だが、その直後だった。
イネスは俺が膝をついている姿を見て、目を大きく見開いた。
「……っ! シモン、足が!」
俺の負傷に気付いたイネスが、慌てて駆け寄ってくる。
傷口を見た彼女は、顔面蒼白になりながら叫んだ。
「ど、どうして、シモンがこんな傷を負って……」
「……落ち着け、イネス。いま説明する」
(……【無限再生】はともかく、他のスキルについて教えるくらいならいいか)
俺は取り出したポーションを傷口にかけながら、【痛縛の強制】の内容をイネスに説明することにした。
だが、彼女の表情はさらに曇るばかりだ。
それどころか――
「何考えてるの、シモン!」
イネスは本気で、怒声を張り上げた。
予想していなかった反応に少しだけ面食らいつつも、落ち着くように促す。
「落ち着け、イネス。お前が気にすることじゃない。痛みには慣れてるし、見ての通りポーションを使えば傷もすぐに治る――」
「そういうことじゃ、ないよ……」
だが、彼女は瞳に涙を溜めて首を振った。
「……ダメだよ、そんなことに慣れちゃ。そりゃ、手伝ってもらってるわたしがシモンに言える立場じゃないのは分かってる。それでも……やっぱり、ダメだよ」
「………………」
なんて返すべきか、言葉を失う。
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一つだけはっきりしているのは、イネスが本気で俺の身を案じ、そう主張しているということ。
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しかし――なぜだろうか。
今の俺は、そうしようとは思わなかった。
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だから、しばしの思考の末――
「……分かった」
「っ、ほんと!?」
――俺は、イネスの提案に頷いた。
自分でも自分の行動が理解できないまま、言葉だけが口から紡がれていく。
「ただ、そうなると今後は経験値効率が下がる。それでもいいんだな?」
「うん、もちろんっ! そのくらいへっちゃらだよ!」
イネスはパアッと顔を輝かせ、満面の笑みで俺を見つめる。
――かと思えば、わずかに目を細め、慈愛のそれへと笑顔の種類を変えた。
「ありがとね、シモン」
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