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第1章
1.“深淵”もまたこちらを覗いているのだ
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“深淵”もまたこちらを覗いているのだ。
これは誰の言葉だったか……
私は“深淵”を覗いていた。
それがなぜ“深淵”と理解できたのかわからない。
とにかく“深淵”を覗いていた。
私は誰なのか……
わからない。
なぜここにいるのかわからない。
なんとなく“深淵”に手を伸ばす。
なぜ自分がそのような行動を取ったのかわからない。
しいていうなら……呼んでいるから。
“深淵”の奥底から呼ぶ声が聞こえてくるから……
なにせ私には戻る場所があるから……
どこに?
私はどこに戻るの?
………わからない。私はどこに戻る???
もどる場所は………
……
…………
………………
思い出した!!
私が戻る場所、そこは………
…………………………
「…ん?」
私は目が覚めた。
酷く頭が痛い。酒を飲み過ぎて二日酔いから醒めたかのように痛かった。
……
…………
………………
(あるぇ?私は昨日お酒なんて飲んだ記憶が…ない?)
記憶がすごく曖昧だった。
とりあえず起きようとするも身体が動かない。
金縛りではなく、身体が痛い。少し動かすだけで全身に激痛が走る。
特に痛みが激しいのは首筋だった。手をやると包帯らしきものがまかれているのがわかる。
もしかして、なんらかの事故に巻き込まれて病院に担ぎ込まれた?
……にしてはおかしい。ここは病院にはみえない…
「つっ…」
痛みに耐えながらなんとか上半身を起こして周囲を見渡す。
そこは殺風景だった
よく言えば古風なログハウスで悪く言えばボロ小屋の小さな部屋。
小さな机には桶と手ぬぐい。後いろんな物が入ってるであろうタンス。
それが全てだった。
「ここはどこ……私はだれ?………だれ……」
……思い出せない。
“私”は誰?
名前が思い出せない。
もしやこれが記憶喪失……
フィクションではよくある記憶喪失………
なんてべたなと思うも、とりあえず今は落ち着こう。
伝統的に素数を数えて落ち着こう。
2、3、5、7、11、13、17…
……
………
……………
(こんなんで落ち着けるか!!!)
思わず脳内のちゃぶ台をひっくり返したくなるも、とりあえず思い出せるところは思い出していこう。
まず昨日なにがあったか……
そうだ。森だ。
ある日森の中へびさんに出会った。
花咲く森の道でへびさんに出会った。
くまさんじゃなくへびさんだ。
くまさんだったら危なかったが、へびさんだったら別に怖くなかった。
とっ捕まえて首をちょん切って、生皮をベリべりはぎ取り、肉はぶつ切り。
後は串に刺して火であぶって塩かけて……
なんて美味しく食べちゃうけど、あいにくその日出会ったのはそんな生易しいへびさんじゃない。
へびさんなのになぜか短い手足が付いていた。口から垂らす涎は地面をジュウジュウと溶かしてた。
何よりも………瞳がヤバかったのを覚えてる。
怪しく光るその瞳に見つめられた瞬間腰が砕けた。
まるで“深淵”を思わせるかのような…みるものの正気を奪い“狂気”へと導く怪しく光る眼に睨まれた瞬間動けなくなったのだ。
恐怖で私を縛り付けた。
察した。
私はこれから死ぬ…
あれに食われて死ぬっと
(死にたくない!!)
私は抗った。
抗おうとした。
死にたくなかった。
死が怖いからじゃない。
私には死ねない理由があった。
死んだら私は………
だから逃げる!
なんとしても逃げる……逃げる…
その想いだけで正気を保った。SAN値がごりごり削れていくも正気を保ち続けた
へびが唐突に目を瞑った。
“今だ!”
瞬間、麻痺が解けた。隙を見せた。
即座に立ち上がろうとするも……
できなかった。
あれが目を瞑ったのはただ気合を込めるため、
瞬時に距離を詰めるための溜めだったのだ。
即座に私を押し倒すかのように上へと覆いかぶさり……
そして………大きく開けた顎が私の首筋に………
\かぷり/
これは誰の言葉だったか……
私は“深淵”を覗いていた。
それがなぜ“深淵”と理解できたのかわからない。
とにかく“深淵”を覗いていた。
私は誰なのか……
わからない。
なぜここにいるのかわからない。
なんとなく“深淵”に手を伸ばす。
なぜ自分がそのような行動を取ったのかわからない。
しいていうなら……呼んでいるから。
“深淵”の奥底から呼ぶ声が聞こえてくるから……
なにせ私には戻る場所があるから……
どこに?
私はどこに戻るの?
………わからない。私はどこに戻る???
もどる場所は………
……
…………
………………
思い出した!!
私が戻る場所、そこは………
…………………………
「…ん?」
私は目が覚めた。
酷く頭が痛い。酒を飲み過ぎて二日酔いから醒めたかのように痛かった。
……
…………
………………
(あるぇ?私は昨日お酒なんて飲んだ記憶が…ない?)
記憶がすごく曖昧だった。
とりあえず起きようとするも身体が動かない。
金縛りではなく、身体が痛い。少し動かすだけで全身に激痛が走る。
特に痛みが激しいのは首筋だった。手をやると包帯らしきものがまかれているのがわかる。
もしかして、なんらかの事故に巻き込まれて病院に担ぎ込まれた?
……にしてはおかしい。ここは病院にはみえない…
「つっ…」
痛みに耐えながらなんとか上半身を起こして周囲を見渡す。
そこは殺風景だった
よく言えば古風なログハウスで悪く言えばボロ小屋の小さな部屋。
小さな机には桶と手ぬぐい。後いろんな物が入ってるであろうタンス。
それが全てだった。
「ここはどこ……私はだれ?………だれ……」
……思い出せない。
“私”は誰?
名前が思い出せない。
もしやこれが記憶喪失……
フィクションではよくある記憶喪失………
なんてべたなと思うも、とりあえず今は落ち着こう。
伝統的に素数を数えて落ち着こう。
2、3、5、7、11、13、17…
……
………
……………
(こんなんで落ち着けるか!!!)
思わず脳内のちゃぶ台をひっくり返したくなるも、とりあえず思い出せるところは思い出していこう。
まず昨日なにがあったか……
そうだ。森だ。
ある日森の中へびさんに出会った。
花咲く森の道でへびさんに出会った。
くまさんじゃなくへびさんだ。
くまさんだったら危なかったが、へびさんだったら別に怖くなかった。
とっ捕まえて首をちょん切って、生皮をベリべりはぎ取り、肉はぶつ切り。
後は串に刺して火であぶって塩かけて……
なんて美味しく食べちゃうけど、あいにくその日出会ったのはそんな生易しいへびさんじゃない。
へびさんなのになぜか短い手足が付いていた。口から垂らす涎は地面をジュウジュウと溶かしてた。
何よりも………瞳がヤバかったのを覚えてる。
怪しく光るその瞳に見つめられた瞬間腰が砕けた。
まるで“深淵”を思わせるかのような…みるものの正気を奪い“狂気”へと導く怪しく光る眼に睨まれた瞬間動けなくなったのだ。
恐怖で私を縛り付けた。
察した。
私はこれから死ぬ…
あれに食われて死ぬっと
(死にたくない!!)
私は抗った。
抗おうとした。
死にたくなかった。
死が怖いからじゃない。
私には死ねない理由があった。
死んだら私は………
だから逃げる!
なんとしても逃げる……逃げる…
その想いだけで正気を保った。SAN値がごりごり削れていくも正気を保ち続けた
へびが唐突に目を瞑った。
“今だ!”
瞬間、麻痺が解けた。隙を見せた。
即座に立ち上がろうとするも……
できなかった。
あれが目を瞑ったのはただ気合を込めるため、
瞬時に距離を詰めるための溜めだったのだ。
即座に私を押し倒すかのように上へと覆いかぶさり……
そして………大きく開けた顎が私の首筋に………
\かぷり/
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