16 / 98
第2章
7.あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か (てんぷら回)
しおりを挟む
冒険者ギルド……
世間一般だとギルドは総合事務所みたいなところを想像するだろう。
掲示板に多種多様な依頼書が張り出されおり、それを受付のお姉さんの元へもっていって受理される事で仕事を請け負う。
その裏では華のない野郎達が雑用をこなしてるっと、そんなイメージがあるだろう。
だが、この辺境のゴッドライフの村では勝手が違う。
この村はRPGでいう旅立ちの村とか王様が住む城下町みたく、序盤で訪れるようなところではない。
物語の終盤に立ち寄る最後の拠点。ラストダンジョンに挑む勇者たちが、最後の補給と休息を行うために訪れる最前線のようなとこだ。
危険度の高い依頼も多く、人材リソースも少ない。
より生存率や任務達成率を高めるためギルド所属=一つのチーム。いわば傭兵団のような形になっており、ギルド長を始めとする上層部が構成員に適切な仕事を割り振ってまわしてるところである。
もちろん通常のギルドと同じように、自分から依頼を受ける事もできる。ただし、適切かと判断されない限りは受理されないので、実力が足りない場合は雑多な仕事しか与えられない。
なので外から一攫千金とか観光気分で来るような、酷い場合は漁夫の利や寄生目当てでやってきたような馬鹿にはどうでもいい雑用仕事しか割り振られない。
そうなれば当然反発する。『そんな仕事受けれるか!!』っと飛び出すも、いざ自分達で魔物を狩りにいく度胸もない。
ギルドと併設されている酒場を兼ねた食堂にて、真昼間からただただ愚痴や夢みたいな妄想を垂れ流してながら酒飲んで騒ぐのが関の山。
今日は丁度その日であった。
モヒカンとハゲの以下にもな馬鹿二人が酒場で絶賛、寝言をほざきながらやけ酒中である。
「あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か」
中央部は夢のない現実的な仕事しかないから、ああいった夢見がちな馬鹿は定期的に来る。
構造の関係上、ギルドの正面ロビーは酒場からも丸見え。そこへ⑨歳少女が訪れたら即座に絡まれる事間違いなし。
エクレアは余計なトラブルを避けるためにこっそりと裏から……入らずあえて正面から踏み込んでトラブルを起こした。
馬鹿の二人組が給仕のお手伝いをしてた女の子、ランプの妹モモちゃん7歳に絡み始めたのがみえたため、あえてトラブルに飛び込んだのだ。
まず手始めに、嫌がるモモちゃんを引き寄せて無理やり酌させようとしているモヒカン目掛けて……
バシャ!!
っと外で汲んできた桶一杯の水をぶっかけた。
「てめえなにしやがる」
「申し訳ございません。お客さま、手が滑ってしまいました」
水をかけた事で激情にかられるモヒカンに、全く謝ってるようにはみえないにこやかな笑顔で謝るエクレア。
当然その態度は怒りを煽る。ヘイトは即座にエクレアへと切り替わった。
「謝るならもっとしっかり謝れやごらぁ!!」
逆上して掴みかかってきたが、エクレアは慌てない。
笑顔を崩さずに、その手を先につかんで引き寄せつつ足払い。
ドッスン!!!
仰向けに転がされたモヒカンにエクレアはさらに追撃。
腹を思いっきり踏みつけるという、一部の業界ではご褒美となるものをプレゼントだ。
「ごほぁっ!!!?」
喜び?のあまり壮大にリバースしてきたのでエクレアは即座に離れて回避。
「%zk×ン*+<!!」
ガッシャァァァァァァン!!
相方がやられたことでハゲが逆上。よく聞き取れないような怒りの声を上げながら酒瓶をテーブルに叩きつけてきたものの、エクレアは全く動じない。
先制攻撃とばかりにテーブルの縁を足裏で思いっきり蹴りつけた。
ドゴン!!
蹴りの反動で押し出されたテーブルは見事にハゲのみぞおちへと強打。
ひるんだところを追撃っとばかりに両手でテーブルの縁を掴んで
「そ~~~っい!!!」
っと気合と共にちゃぶ台返しならぬテーブル返しでもって
グシャー!!
下敷きにした。
こうして馬鹿二人は沈黙。その間わずか10秒程度。
「はい、片付いた。モモちゃんもう平気だよ」
「う、うん…」
盛大に絡まれて泣きそうだったモモちゃんを優しくあやすエクレア。
後ろの惨状を完全に無視してというか、この惨状は完全に⑨歳の女の子が行えるものじゃないが、ここは常に魔物や魔獣の襲撃に備える必要性がある修羅の村だ。
子供といえども、ある程度の自衛手段の確保は義務なのだ。
それに加え、過去には掴みかかってきた手をそっと上品に両手で捕まえてそのまま笑顔で骨ごとすり潰したり、頭を冷やせっと言わんばかりに魔法で作り出した氷を纏った拳で顔面ぶん殴って血祭にあげた給仕の女の子もいたぐらいだ。
ほっとけばすぐに治る打ち身程度で済ませたエクレアはまだ優しい方なのである。
まだ優しい方なのである………
………たぶん。
世間一般だとギルドは総合事務所みたいなところを想像するだろう。
掲示板に多種多様な依頼書が張り出されおり、それを受付のお姉さんの元へもっていって受理される事で仕事を請け負う。
その裏では華のない野郎達が雑用をこなしてるっと、そんなイメージがあるだろう。
だが、この辺境のゴッドライフの村では勝手が違う。
この村はRPGでいう旅立ちの村とか王様が住む城下町みたく、序盤で訪れるようなところではない。
物語の終盤に立ち寄る最後の拠点。ラストダンジョンに挑む勇者たちが、最後の補給と休息を行うために訪れる最前線のようなとこだ。
危険度の高い依頼も多く、人材リソースも少ない。
より生存率や任務達成率を高めるためギルド所属=一つのチーム。いわば傭兵団のような形になっており、ギルド長を始めとする上層部が構成員に適切な仕事を割り振ってまわしてるところである。
もちろん通常のギルドと同じように、自分から依頼を受ける事もできる。ただし、適切かと判断されない限りは受理されないので、実力が足りない場合は雑多な仕事しか与えられない。
なので外から一攫千金とか観光気分で来るような、酷い場合は漁夫の利や寄生目当てでやってきたような馬鹿にはどうでもいい雑用仕事しか割り振られない。
そうなれば当然反発する。『そんな仕事受けれるか!!』っと飛び出すも、いざ自分達で魔物を狩りにいく度胸もない。
ギルドと併設されている酒場を兼ねた食堂にて、真昼間からただただ愚痴や夢みたいな妄想を垂れ流してながら酒飲んで騒ぐのが関の山。
今日は丁度その日であった。
モヒカンとハゲの以下にもな馬鹿二人が酒場で絶賛、寝言をほざきながらやけ酒中である。
「あちゃ~今日は馬鹿が詰めてる日か」
中央部は夢のない現実的な仕事しかないから、ああいった夢見がちな馬鹿は定期的に来る。
構造の関係上、ギルドの正面ロビーは酒場からも丸見え。そこへ⑨歳少女が訪れたら即座に絡まれる事間違いなし。
エクレアは余計なトラブルを避けるためにこっそりと裏から……入らずあえて正面から踏み込んでトラブルを起こした。
馬鹿の二人組が給仕のお手伝いをしてた女の子、ランプの妹モモちゃん7歳に絡み始めたのがみえたため、あえてトラブルに飛び込んだのだ。
まず手始めに、嫌がるモモちゃんを引き寄せて無理やり酌させようとしているモヒカン目掛けて……
バシャ!!
っと外で汲んできた桶一杯の水をぶっかけた。
「てめえなにしやがる」
「申し訳ございません。お客さま、手が滑ってしまいました」
水をかけた事で激情にかられるモヒカンに、全く謝ってるようにはみえないにこやかな笑顔で謝るエクレア。
当然その態度は怒りを煽る。ヘイトは即座にエクレアへと切り替わった。
「謝るならもっとしっかり謝れやごらぁ!!」
逆上して掴みかかってきたが、エクレアは慌てない。
笑顔を崩さずに、その手を先につかんで引き寄せつつ足払い。
ドッスン!!!
仰向けに転がされたモヒカンにエクレアはさらに追撃。
腹を思いっきり踏みつけるという、一部の業界ではご褒美となるものをプレゼントだ。
「ごほぁっ!!!?」
喜び?のあまり壮大にリバースしてきたのでエクレアは即座に離れて回避。
「%zk×ン*+<!!」
ガッシャァァァァァァン!!
相方がやられたことでハゲが逆上。よく聞き取れないような怒りの声を上げながら酒瓶をテーブルに叩きつけてきたものの、エクレアは全く動じない。
先制攻撃とばかりにテーブルの縁を足裏で思いっきり蹴りつけた。
ドゴン!!
蹴りの反動で押し出されたテーブルは見事にハゲのみぞおちへと強打。
ひるんだところを追撃っとばかりに両手でテーブルの縁を掴んで
「そ~~~っい!!!」
っと気合と共にちゃぶ台返しならぬテーブル返しでもって
グシャー!!
下敷きにした。
こうして馬鹿二人は沈黙。その間わずか10秒程度。
「はい、片付いた。モモちゃんもう平気だよ」
「う、うん…」
盛大に絡まれて泣きそうだったモモちゃんを優しくあやすエクレア。
後ろの惨状を完全に無視してというか、この惨状は完全に⑨歳の女の子が行えるものじゃないが、ここは常に魔物や魔獣の襲撃に備える必要性がある修羅の村だ。
子供といえども、ある程度の自衛手段の確保は義務なのだ。
それに加え、過去には掴みかかってきた手をそっと上品に両手で捕まえてそのまま笑顔で骨ごとすり潰したり、頭を冷やせっと言わんばかりに魔法で作り出した氷を纏った拳で顔面ぶん殴って血祭にあげた給仕の女の子もいたぐらいだ。
ほっとけばすぐに治る打ち身程度で済ませたエクレアはまだ優しい方なのである。
まだ優しい方なのである………
………たぶん。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
婚約破棄された瞬間、隠していた本性が暴走しました〜悪女の逆襲〜
タマ マコト
恋愛
白崎財閥の令嬢・白崎莉桜は、幼いころから完璧であることを強いられた女であった。
父の期待、社会の視線、形式ばかりの愛。
彼女に許されたのは「美しく笑うこと」だけ。
婚約者の朝霧悠真だけが、唯一、心の救いだと信じていた。
だが、華やかな夜会の中、彼は冷ややかに告げる。
「俺は莉桜ではなく、妹の真白を愛している」
その瞬間、莉桜の中の何かが崩れた。
誰のためにも微笑まない女——“悪女”の本性が、静かに目を覚ます。
完璧な令嬢の仮面を捨て、社会に牙を剥く莉桜。
彼女はまだ知らない。
その怒りが、やがて巨大な運命の扉を開くことを——。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)
ラララキヲ
恋愛
平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。
そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。
メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。
しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。
そして学園の卒業式。
第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。
そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……──
※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑)
※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。
※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません)
※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる