いつかサクラの木の下で…… -乙女ゲームお花畑ヒロインざまぁ劇の裏側、ハッピーエンドに隠されたバッドエンドの物語-(アルファ版)

やみなべ

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第3章

7.なんでここにはフリフリなエプロンしか置いてないんだ?(side:俯瞰)

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 エクレアのアトリエ……

 森を切り開いて作った広場に立つログハウスのような小屋だ。

 ここはか弱い11歳の女の子が一人で住んでる……夕飯時には実家に帰ったりしてる……のだが今は本来の住民が留守であった。
 代わりに野郎3人。ランプ、トンビ、ローインの3人がフリフリエプロンをつけて料理に挑んでる最中であった。

「ところで、なんでここにはフリフリなエプロンしか置いてないんだ?」

「エクレア……だから?」

「トンビ君の意見に賛成。むしろそれ以外の理由思い浮かばない」

「思い浮かばないんかい!!……いや、俺もそうなんだが」

 エクレアだから。その一言にエクレアは盛大にくしゃみしつつ『いやその趣味はマイ師匠のせい!私関係ない!!』っと彼方へ突っ込み入れたりするが、いろいろ前科ありすぎるせいで説得力はない。
 聞こえてないはずのエクレアの反論を完全黙殺した3人は目の前の成果品をみる。
 小麦ベースで作られた生地の器にスライスした桃の果実を螺旋状に配置。その上からミルクと卵と小麦粉を混ぜて作ったカスタードを流し入れたモモのタルトだ。風味付けに散らしたハーブの緑も色合いとして良いアクセントとなっている。
 見た目や香りは特に問題はない。

「ローイン、これでいいんだな」

「ランプ君大丈夫だよ。味見してもわかる通り調味料も材料配分も適切。後は石窯で焼くだけ。適切な温度で、だからね。間違っても生地を焦がす超強火じゃなく適切な温度で!!」

 大事な事だから二回言いたくなるぐらいに『適切』を強調するローイン。
 この辺りは過去に散々やらかされた故のものだろう。
 ランプは何度も……それこそ肉体言語を交えてのOHANASHIを繰り返し聞いてきた甲斐あって十分理解済だったようだ。

「適切か……じゃぁトンビ任せたぜ。お前鍛冶屋の息子なんだからこういう火入れは得意だろ」

「任された」

 ここは自分が出る幕ではないっと素直に専門家へと任せるランプ。
 その専門家のトンビは淡々と気負うことなくタルトを石窯の中へとセット。
 石窯には予め火のついた薪が入れられており十分熱せられている。
 後はここだっというタイミングで取り出せば完成だ。

 火をみるトンビは無表情ながらも真剣そのもの。どれぐらいが適切になるか色合いをみて予測している。

 っとその時……





ずずーん……


 轟音が響いた。

 アトリエが小さく揺れる。


「今のはエクレアの仕業か?」

「魔獣か何かでたから追い払うため、アレ使ったのかも?」

 アレというのは『黒色火薬入りの試験管』。エクレアはたまに3人のパーティに加わっての臨時4人パーティーで魔獣退治に挑んでるからアレの存在をよく知っていた。

 なので取り出す時に露わとなるふとももの存在も知ってるわけで……

「………トンビ、どれぐらいかかるんだ?」

「……20分」

「レシピには30分だと書いてるんだがいいのか?」

「火が少し強い。生地の焼き具合から10分少なめが最適」

「そうか。なら信じるぜ」

 ぐっと親指を立てるランプに答えるかのごとく、ぐっと親指を立てて返すトンビ。
 エクレアの羞恥心の無さも一緒の空間に居れば自然と慣れていく。加えてランプは妹の存在、トンビは年上グラマー系が好みでエクレアのようなロリ系はかすりもしてない事もあって少々の誘惑ではビクともしなくなっていた。

 それに二人の料理の腕前はあくまで少し前の評価で今の評価ではない。
 彼等はちゃんと成長してるのだ。

 もっとも……


「エクレアちゃんのふともも…………裸エプロンでエクレアちゃんがふとももを……ってちがーう!!」

 ローインはエクレアが好みのど真ん中な上、イケナイ本の知識を順調に吸収しすぎて変な方向性の成長も順調に進んでいたようだ。
 妄想を振り払うべく、手ごろな柱にガンガン頭を叩きつけている。

 その様をみてランプもトンビも肩をすくめるのみで特に驚かない。
 なにせローインの母、スージーも似たような奇行を起こすのは稀によくある。

 魔術師にありがちな発作なのだという、間違った認識を持ってしまった彼等はもういろいろと慣れてしまったのだ。

 そこへさらに二度目の轟音……


 さすがにこれは驚くというか、3人はすっと空気をかえた。
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