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第4章
12.これ途中でツッコミ入れたら絶対キリがなくなる
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「男……知ってるの?あいつの正体」
ローインはごくりと喉を鳴らす。
現在は母であるスージーを始めとする面子で目下調査中だが、エクレアは男と直に対面していた。助けに入るまでの間でなんらかのやりとりを行っていたわけだし、現在のところ一番男について知る人物だろう。
ただ、エクレアはゴブリンに攫われて暴行を受けていたという事もあって、精神的負担を避ける意味も含めて詳細は聞かれなかった。深く追求することはなかったが……
エクレアは話すということだ。男の正体含めて、あそこで何があったのかを……
ローインは息をするのも忘れるほどの緊張した趣でエクレアの言葉を待つも……
「もちろんっていうかついさっき会った。会場から離れる前にお母さんへ一言告げておこうっと思って探してたらね。スージーおばさんの部屋で契約書をまとめてるって聞いたから部屋に入ったら…………あいつ、そこに居たの」
「…………」
数秒間の沈黙。
「……えっと、あの男死んでなかったの?少なくともあの時は粉々のバラバラにしたつもりだったんだけど……それでも死んでなかったの?いやそもそもなんで母さんの部屋に!!?」
「わかる。その気持ちよ~~~っくわかる!!!私も入った瞬間固まっちゃったもん!!!!生きてるのは“キャロット”から教えてもらってたし、近いうちに接触してくるって聞いてはいたけど……まさかおばさんの部屋で遭遇だなんて思わなかったよ!!串焼きと酒片手にお母さんやスージーおばさんと楽しそうに談話してたなんて思わなかったよ!!!
おまけにあいつ、思いっきりお母さん口説いてやがった!!態々私の目の前で顎クイとかしながら口説いてるし、お母さんもまんざらじゃないって顔してたし……あれ絶対『魅了』とか使ってる!!!吸血鬼お得意の『魅了』で誑し込んでるって、必死に訴えてるのに全く聞かないどころか、スージーおばさんから怒られたよ!!気持ちわかるけど落ち着きなさいっと『ごん!!』って拳骨落とされたし……わかる?私の気持ち!!もう頭の理解が追いつかず、でも脳天の痛みは本物でおもわず涙目になりながらも現実を受け入れられない気持ちをわかってくれるよね!!お母さんといちゃいちゃとするあいつをみてぶっ殺してやりたいっと嫉妬を通り越した殺意の念まで抱いた私の気持ちを!!!!」
「あ~うん、落ち着こう。興奮する気持ちわかるから落ち着こう」
ローインはエクレアのはちゃめちゃな言葉に絶賛混乱中なのだが、実際に体験したエクレアは相当に混乱したのがわかった。
この取り乱し具合でよくわかった。あまりの取り乱し具合で逆に冷静となってしまうほどによくわかった。
幸い今のエクレアは背中の闇の翼を引っ込めているので憎悪のまき散らしはされてない。
もし、あれを展開中でここまでの激情に駆られていたらどれだけの被害がでるか……
(考えただけでも恐ろしいよ)
こうしてあやす事しばらく。エクレアもさすがに怒り疲れたのか、落ち着きを取り戻した。
「はぁはぁ……ありがとう。で、続きだけど………あのスケコマシの正体は魔王。300年ぐらい前にこの世界へ降臨した魔王の座を引き継いだ、近々新しい魔王として名乗り出る予定の男」
「………いやもういい。これ途中でツッコミ入れたら絶対キリがなくなる。だからあの男について知ってる範囲の事全部話して。考えるのはそれからにするから」
「魔王といってもあのスケコマシは自分を『雇われ魔王』と称してた。『魔王』が降臨してほしい世界に管理者……いわゆる『神』に自分を売り込んで契約を交わして『魔王』を演じるのがお仕事だってさ。それがスケコマシの正体で……次はスージーおばさんの部屋に居た理由でいい?」
「う、うん。そんな魔王様はなぜ母さんの部屋に」
「遺跡に調査へ出向いた時に取引を持ち掛けたからだとか。スージーおばさんを一目見た瞬間気が合いそうだったとかいう理由だけど、気が合ってたのは本当みたい…………あーお母さんはすっかり篭絡されちゃったし、もう完全に本丸を占拠されちゃったよ!!お母さん二人を人質に取られたも同然になっちゃった………えぐえぐ」
「………なぐさめる立場じゃないよね。それは僕も母さん人質に取られてる事にもなるし」
なんていうか、自分の知らない所ではとんでもない事態になってたんだなっとローインは思う。
すでに手遅れ感あるけど……
「あー手遅れじゃない。あのスケコマシ野郎は私の味方になってる。雇い主である『神』に思うところあるのか、私が『神』に反逆するつもりなら喜んで協力するだって。現に“キャロット”とはすでに取引が済んでて、今はもう『神』と戦うための共同戦線を張る盟友となってるから」
「悪魔と魔王が手を組んで『神』と戦う……ちょっと規模が大きすぎてピンっと来ないけどそんな大それた事考えて大丈夫なの?」
「大丈夫も何もお母さんとスージーおばさんが人質に取られてるんだよ!!完全に篭絡されてるんだよ!!目を覚ましてって叫んだら即座におばさんから拳骨落とされるんだよ。何度も正気に戻ってって叫んでたらお母さんなんて言ったと思う?『こんな聞き分けのない娘は徹底的に拷問にでもかけちゃいましょう』とか言い出すんだよ!!手足縛られて猿轡かまされて目隠しされた状態で首から『この子は悪い子です。徹底的に教育させてやってください』の看板下げさせてから三次会場となってる酒場に放り込まれそうになったんだよ!あの場に私の言い分聞いてくれる味方いないんだよ………力で覆そうにも圧倒的に実力が足りてないし、もう泣いていい?」
「縛って……エクレアちゃんの手足を縛って……徹底的に教育……」
自主規制。
ローインの頭の中は完全にあれ過ぎてもう表現できません。
だから自主規制で誤魔化させてください。
っというあれな妄想全開のローインは……
ゴン!!
エクレアから放たれた踵落としで即座に現実へ戻された。
ローインはごくりと喉を鳴らす。
現在は母であるスージーを始めとする面子で目下調査中だが、エクレアは男と直に対面していた。助けに入るまでの間でなんらかのやりとりを行っていたわけだし、現在のところ一番男について知る人物だろう。
ただ、エクレアはゴブリンに攫われて暴行を受けていたという事もあって、精神的負担を避ける意味も含めて詳細は聞かれなかった。深く追求することはなかったが……
エクレアは話すということだ。男の正体含めて、あそこで何があったのかを……
ローインは息をするのも忘れるほどの緊張した趣でエクレアの言葉を待つも……
「もちろんっていうかついさっき会った。会場から離れる前にお母さんへ一言告げておこうっと思って探してたらね。スージーおばさんの部屋で契約書をまとめてるって聞いたから部屋に入ったら…………あいつ、そこに居たの」
「…………」
数秒間の沈黙。
「……えっと、あの男死んでなかったの?少なくともあの時は粉々のバラバラにしたつもりだったんだけど……それでも死んでなかったの?いやそもそもなんで母さんの部屋に!!?」
「わかる。その気持ちよ~~~っくわかる!!!私も入った瞬間固まっちゃったもん!!!!生きてるのは“キャロット”から教えてもらってたし、近いうちに接触してくるって聞いてはいたけど……まさかおばさんの部屋で遭遇だなんて思わなかったよ!!串焼きと酒片手にお母さんやスージーおばさんと楽しそうに談話してたなんて思わなかったよ!!!
おまけにあいつ、思いっきりお母さん口説いてやがった!!態々私の目の前で顎クイとかしながら口説いてるし、お母さんもまんざらじゃないって顔してたし……あれ絶対『魅了』とか使ってる!!!吸血鬼お得意の『魅了』で誑し込んでるって、必死に訴えてるのに全く聞かないどころか、スージーおばさんから怒られたよ!!気持ちわかるけど落ち着きなさいっと『ごん!!』って拳骨落とされたし……わかる?私の気持ち!!もう頭の理解が追いつかず、でも脳天の痛みは本物でおもわず涙目になりながらも現実を受け入れられない気持ちをわかってくれるよね!!お母さんといちゃいちゃとするあいつをみてぶっ殺してやりたいっと嫉妬を通り越した殺意の念まで抱いた私の気持ちを!!!!」
「あ~うん、落ち着こう。興奮する気持ちわかるから落ち着こう」
ローインはエクレアのはちゃめちゃな言葉に絶賛混乱中なのだが、実際に体験したエクレアは相当に混乱したのがわかった。
この取り乱し具合でよくわかった。あまりの取り乱し具合で逆に冷静となってしまうほどによくわかった。
幸い今のエクレアは背中の闇の翼を引っ込めているので憎悪のまき散らしはされてない。
もし、あれを展開中でここまでの激情に駆られていたらどれだけの被害がでるか……
(考えただけでも恐ろしいよ)
こうしてあやす事しばらく。エクレアもさすがに怒り疲れたのか、落ち着きを取り戻した。
「はぁはぁ……ありがとう。で、続きだけど………あのスケコマシの正体は魔王。300年ぐらい前にこの世界へ降臨した魔王の座を引き継いだ、近々新しい魔王として名乗り出る予定の男」
「………いやもういい。これ途中でツッコミ入れたら絶対キリがなくなる。だからあの男について知ってる範囲の事全部話して。考えるのはそれからにするから」
「魔王といってもあのスケコマシは自分を『雇われ魔王』と称してた。『魔王』が降臨してほしい世界に管理者……いわゆる『神』に自分を売り込んで契約を交わして『魔王』を演じるのがお仕事だってさ。それがスケコマシの正体で……次はスージーおばさんの部屋に居た理由でいい?」
「う、うん。そんな魔王様はなぜ母さんの部屋に」
「遺跡に調査へ出向いた時に取引を持ち掛けたからだとか。スージーおばさんを一目見た瞬間気が合いそうだったとかいう理由だけど、気が合ってたのは本当みたい…………あーお母さんはすっかり篭絡されちゃったし、もう完全に本丸を占拠されちゃったよ!!お母さん二人を人質に取られたも同然になっちゃった………えぐえぐ」
「………なぐさめる立場じゃないよね。それは僕も母さん人質に取られてる事にもなるし」
なんていうか、自分の知らない所ではとんでもない事態になってたんだなっとローインは思う。
すでに手遅れ感あるけど……
「あー手遅れじゃない。あのスケコマシ野郎は私の味方になってる。雇い主である『神』に思うところあるのか、私が『神』に反逆するつもりなら喜んで協力するだって。現に“キャロット”とはすでに取引が済んでて、今はもう『神』と戦うための共同戦線を張る盟友となってるから」
「悪魔と魔王が手を組んで『神』と戦う……ちょっと規模が大きすぎてピンっと来ないけどそんな大それた事考えて大丈夫なの?」
「大丈夫も何もお母さんとスージーおばさんが人質に取られてるんだよ!!完全に篭絡されてるんだよ!!目を覚ましてって叫んだら即座におばさんから拳骨落とされるんだよ。何度も正気に戻ってって叫んでたらお母さんなんて言ったと思う?『こんな聞き分けのない娘は徹底的に拷問にでもかけちゃいましょう』とか言い出すんだよ!!手足縛られて猿轡かまされて目隠しされた状態で首から『この子は悪い子です。徹底的に教育させてやってください』の看板下げさせてから三次会場となってる酒場に放り込まれそうになったんだよ!あの場に私の言い分聞いてくれる味方いないんだよ………力で覆そうにも圧倒的に実力が足りてないし、もう泣いていい?」
「縛って……エクレアちゃんの手足を縛って……徹底的に教育……」
自主規制。
ローインの頭の中は完全にあれ過ぎてもう表現できません。
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