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好き
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紫音から良い返事をもらい、明弘はパッと顔を綻ばせた。
「しーちゃん!」
嬉しくてたまらなくなり、紫音の足をギュッと抱きしめ、太腿に顔を押し付ける。
「ちょっとアッキー!」
驚いて少し足を浮かせた紫音を見上げ、明弘は笑った。
「しーちゃん! 嬉しい! ありがとう!」
「それは……こちらこそだよ。ありがとう、アッキー。今日も、アッキーのおかげで助かったし……」
「あ、そうだ! もう、危なかったよ本当に」
再びソファーに戻り、たださっきよりも近く、紫音にぴったりと横にくっついて座り、覆いかぶさるように後ろから抱きついた。
「飲み過ぎたの?」
「んー……そんなに多く飲んだわけじゃないんだけど……疲れてたのかなぁ……急に眠くなっちゃって」
「今日はあの男の人と二人っきりで飲んでたの?」
「うん。本当はもう一人、後輩の女の子が来るはずだったんだけど、残業になっちゃって来られなかったの」
「気をつけなきゃ駄目だよ。本当に危なかったよ? 今思い出してもゾッとする」
「うん、ごめんなさい。わたしも……怖かった……アッキーが来てくれて本当に良かった……ありがとう」
素直に謝り、お礼を言い、紫音は頭を反らせて抱きついている明弘を見上げた。
「わたし、正直迷ってたの。アッキーの事は好きだけど、男性としては見ていなかったから……でも、アッキーがわたしの事好きって言ってくれて、それからずっと考えて……アッキーの事好きだって思ったけど、でもわたし年上だし、美人でもないし、頭も良くないし」
「そんな事ない! しーちゃんは誰よりも美人だよ!」
「ふふっ、ありがとう。でも、自信なんで全然なくて、どうせ別れる事になるだろうから、やめておいた方がいいんじゃないかって思ったり」
「別れないよ! 絶対!」
「うんうん、ありがとう」
必死に言う明弘がかわいくて、頬を撫でてから、紫音は言った。
「この一週間、いろいろ考えていたんだけどね、今日、あの人にホテルに連れて行かれちゃうって思った時に、後悔したの。こんな事になる前に、アッキーにちゃんと好きって言えば良かったって。……アッキー、わたしもアッキーの事、好きだよ。これまで弟のような気持ちでいたけど、今は違うよ」
「しーちゃん……」
どちらからともなく、唇を合わせる。
姿勢を変え、明弘は正面からしっかりと紫音を抱きしめ、紫音も明弘の腰に手を回した。
「しーちゃん……ずっと、一緒にいてね……」
「うん……」
唇を離そうとせず話すので、開いたお互いの唇が重なり合い、いつの間にか舌が絡み合い、口づけはどんどん深いものとなっていった。
静かな部屋にクチュクチュと、二人の舌が絡まり合う音が響く。
「しーちゃん、大好き……」
「わたしも……」
明弘の手が、紫音の肌に触れる。
いつの間にか服の中に侵入した手が、脇腹を撫で、首元を撫で、そして、胸の上に置かれる。
最初はブラの上から撫でていたが、すぐ強引にブラをずらして直接触ってきた。
「ちょっ……ちょっと、アッキー」
そのままどんどん進んでいきそうで、紫音は少し焦りながら明弘の手を抑えた。
「待って待って! ちょっとストップ!」
「……どうか、した?」
深い口づけに夢中になり、熱にうかされたような明弘は、紫音の制止を無視し、手を動かし続けながら一応返事はする。
「んっ……ちょっと、手ぇ離して……」
「どうして?」
「どうしてって……」
「やっぱり嫌、とか? 俺とは、イヤ?」
「そうじゃないけど……お風呂入ってないし……」
「えっ? 俺、ちゃんと入ったよ?」
「アッキーじゃなくて、わたし!」
「しーちゃんはいいよ。俺、気になんないし」
「わたしがイヤなのっ! シャワー浴びさせて!」
「…………」
「アッキー!」
無視して触り続ける明弘を両手で押すと、
「……じゃあ、シャワー浴びたら気が変わったっていうのは無しだからね!」
そう言いながら、明弘は渋々ソファーを立った。
「お風呂はここ。タオルとバスタオルはこれ使って。早く出て来てね!」
「うん、わかった」
と、返事をしたものの。
『……緊張しちゃうよ~。もうずっとここに居たい!』
そんな事を思ってしまう紫音だった。
「しーちゃん!」
嬉しくてたまらなくなり、紫音の足をギュッと抱きしめ、太腿に顔を押し付ける。
「ちょっとアッキー!」
驚いて少し足を浮かせた紫音を見上げ、明弘は笑った。
「しーちゃん! 嬉しい! ありがとう!」
「それは……こちらこそだよ。ありがとう、アッキー。今日も、アッキーのおかげで助かったし……」
「あ、そうだ! もう、危なかったよ本当に」
再びソファーに戻り、たださっきよりも近く、紫音にぴったりと横にくっついて座り、覆いかぶさるように後ろから抱きついた。
「飲み過ぎたの?」
「んー……そんなに多く飲んだわけじゃないんだけど……疲れてたのかなぁ……急に眠くなっちゃって」
「今日はあの男の人と二人っきりで飲んでたの?」
「うん。本当はもう一人、後輩の女の子が来るはずだったんだけど、残業になっちゃって来られなかったの」
「気をつけなきゃ駄目だよ。本当に危なかったよ? 今思い出してもゾッとする」
「うん、ごめんなさい。わたしも……怖かった……アッキーが来てくれて本当に良かった……ありがとう」
素直に謝り、お礼を言い、紫音は頭を反らせて抱きついている明弘を見上げた。
「わたし、正直迷ってたの。アッキーの事は好きだけど、男性としては見ていなかったから……でも、アッキーがわたしの事好きって言ってくれて、それからずっと考えて……アッキーの事好きだって思ったけど、でもわたし年上だし、美人でもないし、頭も良くないし」
「そんな事ない! しーちゃんは誰よりも美人だよ!」
「ふふっ、ありがとう。でも、自信なんで全然なくて、どうせ別れる事になるだろうから、やめておいた方がいいんじゃないかって思ったり」
「別れないよ! 絶対!」
「うんうん、ありがとう」
必死に言う明弘がかわいくて、頬を撫でてから、紫音は言った。
「この一週間、いろいろ考えていたんだけどね、今日、あの人にホテルに連れて行かれちゃうって思った時に、後悔したの。こんな事になる前に、アッキーにちゃんと好きって言えば良かったって。……アッキー、わたしもアッキーの事、好きだよ。これまで弟のような気持ちでいたけど、今は違うよ」
「しーちゃん……」
どちらからともなく、唇を合わせる。
姿勢を変え、明弘は正面からしっかりと紫音を抱きしめ、紫音も明弘の腰に手を回した。
「しーちゃん……ずっと、一緒にいてね……」
「うん……」
唇を離そうとせず話すので、開いたお互いの唇が重なり合い、いつの間にか舌が絡み合い、口づけはどんどん深いものとなっていった。
静かな部屋にクチュクチュと、二人の舌が絡まり合う音が響く。
「しーちゃん、大好き……」
「わたしも……」
明弘の手が、紫音の肌に触れる。
いつの間にか服の中に侵入した手が、脇腹を撫で、首元を撫で、そして、胸の上に置かれる。
最初はブラの上から撫でていたが、すぐ強引にブラをずらして直接触ってきた。
「ちょっ……ちょっと、アッキー」
そのままどんどん進んでいきそうで、紫音は少し焦りながら明弘の手を抑えた。
「待って待って! ちょっとストップ!」
「……どうか、した?」
深い口づけに夢中になり、熱にうかされたような明弘は、紫音の制止を無視し、手を動かし続けながら一応返事はする。
「んっ……ちょっと、手ぇ離して……」
「どうして?」
「どうしてって……」
「やっぱり嫌、とか? 俺とは、イヤ?」
「そうじゃないけど……お風呂入ってないし……」
「えっ? 俺、ちゃんと入ったよ?」
「アッキーじゃなくて、わたし!」
「しーちゃんはいいよ。俺、気になんないし」
「わたしがイヤなのっ! シャワー浴びさせて!」
「…………」
「アッキー!」
無視して触り続ける明弘を両手で押すと、
「……じゃあ、シャワー浴びたら気が変わったっていうのは無しだからね!」
そう言いながら、明弘は渋々ソファーを立った。
「お風呂はここ。タオルとバスタオルはこれ使って。早く出て来てね!」
「うん、わかった」
と、返事をしたものの。
『……緊張しちゃうよ~。もうずっとここに居たい!』
そんな事を思ってしまう紫音だった。
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