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第三部 バレンタインと元嫁襲来の巻
第二十二話 そして二人のバレンタイン
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週末が十四日だなんて世の中のリア充さん達に盛り上がって下さいと言わんばかりな今年のバレンタインデー。けど一月末の騒動は部長に地味にダメージを与えたみたいで、警察に出頭したり弁護士と話をしたりと忙しく、私達に限って言えばいまいち盛り上がってません。
しかも二月に入って私が女の子の日になっちゃって珍しく気分がすぐれなかったというのもありまして、週末に一緒に過ごせるのは二週間ぶりのこと。あ、今更ながらあの西條夫人に対して怒りがわいてきた宮内愛海です。今から殴りに行ってもいいかな。
部長は仕事で少し遅くなるということだったので、私が先にお買い物をして部長のお宅にお邪魔することに。まあそれはいつものことなんだけどね。ストレスのせいで胃が痛いと言っていたから、今夜はお腹に優しい献立をと考えて、湯豆腐と実家でお婆ちゃんがよく作ってくれた長芋のひき肉のせ蒸しを作ってみました。部長のお宅にはなかった蒸し器が最近増えたのは間違いなく私のせい。それと実家から送られてきた豚の角煮と野沢菜も持ってきちゃった。角煮は明日にすれば良いし、そのへんは部長のお腹と相談かな。
そしてバレンタインのチョコレートに関しては、チョコレートケーキにしてみたんだけどどうだろう。食後のデザート、一口でも食べてくれると嬉しいんだけどな。
土鍋を用意して、後は野菜を入れるだけという状態になった頃に玄関のドアが開いて部長が戻ってきた気配がした。
「お帰りなさーい、わわわっ!!」
玄関にお出迎えしにいったら、コートと鞄を放り出した部長にその場で押し倒されてしまった。
「部長、ここ玄関、んんんーっ」
抗議の言葉もキスで封じられ、両手は頭の上で部長の片手に留め置かれてしまう。その間にもう一方の手がスカートの中に滑り込んで下着を引き下ろす。やーん、玄関でエッチなんて漫画の世界じゃないんだからぁ! 部長の指が何かを確かめるように私の中を浅いところで出たり入ったりしている。しばらくして部長の唇から解放され大きく息を吸った。
「ここ玄関ですよお、んんっ」
抗議した途端に指が深く差し込まれて息が詰まる。
「濡れてきた、もう大丈夫だな」
「ふぇ? なにがダイジョブ?」
チリチリとファスナーを下ろす音がして、次の瞬間には部長が私の中にいた。
「二週間もお前を抱けないなんて、一体どんな拷問かと思った」
私を見下ろす部長の顔はとても切なそう。
「私だって寂しかったですよ?」
「そうか、俺だけじゃなかったんだな、安心した」
久し振りに見る穏やかな顔。ここしばらく何となく不機嫌そうにしていたものね。そんな優しい顔とは裏腹に突き上げてくる動きはとても激しくて奥に先端が当るたびにちょっと苦しくて声が出ちゃう。ここ玄関なのにぃ、前を誰かが歩いていたら絶対に聴こえちゃうよ。
「んっ……んんっ……」
「可愛い声を聞かせてくれ、愛海」
耳元で掠れた声で名前を囁かれるとそれに体が反応して、中で激しく動いている部長のものを締め付けた。部長が辛そうに呻く。
「っ……こら、そんなに締めつけるな、我慢できなくなるだろ」
「そんなこと言ったってえっ、やだあっ、あっ、あぁっ」
締めつけて中が狭くなったせいか、部長の動きを更にはっきりと感じるようになってしまって我慢していた声を思わず出してしまった。そして零れ出してしまった声は止められない、あとは部長の動きに翻弄されて喘ぐばかり。ここは玄関なんだよお……。
「ここ、玄関なんだってばぁっ」
「だからなんだ」
「声、外に聞こえちゃうっ」
「気にするな」
「駄目だったら、やだ、やなのぉ、やぁあっ……っ!!」
いってしまった、玄関で……。もう酷いよ、こんなとこでぇ。なのに部長の方はまだ元気で続ける気満々っていうか、やめる気配無いのはどうして? 二週間溜め込むと誰もがこんなになるの? 誰か教えて下さい。
「もう駄目だったらあ」
「俺は体力が有り余っていて、おまけにねちっこいんだよな?」
「なんで今更、やだぁ……」
なんで私が言ったことを今更蒸し返すのかなぁ。
「そんな俺が二週間もお預けを食らったんだ、だから諦めろ」
「だからって何で玄関なんですかあ」
せめてベッドに連れて行って欲しい。一分もかからないのにどうして我慢できないのか、男の人って本当に困ったもんだよ。玄関マットだってきっと汚れてる。その辺のこと考えてないよね、きっと。
それから何度かいかされてこれ以上はもう無理って思った頃に、部長が私の中から出ていきお腹の辺りに熱いものが吐き出された。
「あ……」
「なんだ、中に出して欲しかったのか?」
「そうじゃなくてえ、着替えの服なのに汚しちゃってぇ……」
そんな私の言葉に愉快そうに笑う部長。なんだかとっても楽しそうですねっていうか満足そうですね?
「まあ取り敢えずは満足したかな」
何それ、取り敢えずなんて怖い言葉を使わないで欲しい。これ以上は私の体がもちません。
「シャワー浴びて、飯にしようか」
「こんな順番が逆なのは嫌ですよお……」
「心配するな、これからちゃんと順番にしてやるから。シャワーで夕飯で、ベッドな」
「ちがーう!!」
そういうことじゃなーい!! 腰はガクガク、中はヒリヒリ。もう今夜は無理ですっ!!
+++++
実のところ、今日の帰りが遅くなったのは仕事ではなく弁護士を交えて西條さんと会っていたからだ。辞令は四月一日付けではあるが、来月の中旬にはサンフランシスコの方へと出発するらしい。その間、西條夫人はこちらではなく、西條夫人の実家預かりとなったということだ。ご両親からの謝罪とこれ以上の迷惑は絶対にかけないという確約をいただいた。
俺としては今すぐにでも出国して欲しいんだが、それは現実的ではないので我慢する。これ以上あの女に関わり合わなくて済むのなら後の些細なことはどうでも良い。
「宮内君にもきちんと謝罪したかったんだが……」
「貴方をあいつに会わせるつもりはないので直接の謝罪は結構です。自分から伝えますからお気遣いなく」
「わかった」
無礼な言い方ではあるがそれが俺の正直な気持ちだ。離婚騒動を発端に起きたドロドロとした一件に愛海を引きずり込むつもりは無いのだから。
「ところで私が口を出す筋合いはないとは思うのだが、宮内君とは結婚するつもりなのかね?」
「まあ。そのつもりですが宮内はまだ若いですからね、果たして結婚を意識して俺と付き合っているのかはまだ分かりません」
「そうなのか」
今のところ愛海には結婚については一言も言っていない。実家に連れて行ったことで少しは意識していてくれれば良いなと思っている程度だ。果たしてそこまで考えが及んでいるかどうか非常に怪しい。俺の前の結婚生活の顛末をあちらこちらから聞いているらしく、俺が結婚なんて二度とゴメンだと思っていると信じている節もある。その思い違いをどう正すかが課題だな。
「ただ、彼女にその気が有る無しは関係なく付き合っている間は大事にしますし、貴方の奥さんからもきちんと守りますよ。宮内を傷つけるようなことはさせません」
「それを聞いて安心した。私が言うことではないが」
その後、弁護士の立会いのもとに証書を交わした。これで関わり合いが完全に切れると良いのだが、しばらくは警戒が必要だろうとは五年前に泥沼騒動で世話になった弁護士の言葉。確かにあの時と今回の件を考えれば油断は禁物だ。まったく明後日の方向に考える人間というのは理解できん。
+++++
そしてベッドでぐったりとなった愛海が横にいる。汗ばんだ肩を指の背で撫でるとピクッと体を震わせた。シャワーで夕飯でベッドの順番は守ったんだから自分で自分をほめてやりたい。
「もう無理ですぅ、今夜の部長に付き合っていたら私、死んじゃいますよお……」
「バレンタインが命日とはなあ、いてっ」
愛海のパンチが飛んできた。
「もう酷いですよ、せっかくのバレンタインなのにチョコレートも渡せてないんだから! 女の子の夢を壊さないで下さーい」
「用意してくれていたのか?」
「当たり前じゃないですか。うちが企画した商品じゃなくてチョコレートケーキ作ったんですよ。あ、会社で厨房担当の真壁さんに作り方は教えてもらいましたけど」
「へえ……食ってみたいな」
愛海は壁の時計を見た。まだ日付は変わっていない。
「一口だけでも食べてみます?」
「ああ」
愛海は体を起こしてベッドから降りたが、その場でへたり込んでしまった。
「どうした?」
「こ、腰が痺れて……」
「あー……」
「あー、じゃないですよ。もうっ!」
頬を膨らませて怒っている彼女を横目にスウェットの上下を着込み、愛海を抱き上げてベッドに座らせた。うちに置いてある彼女用のフランネルのパジャマを着せて半纏を肩にかけやる。
「お運びした方がよろしいですかな、お嬢さま?」
「当然です! 誰のせいだと思ってるんですか、少しは反省して下さい」
「お詫びは後ほどゆっくりと」
「それ、お詫びじゃないです」
+++++
ベッドから降りようとしてへたり込んだ時はさすがに焦っちゃいました。自分でもその時までこんなに痺れちゃっているとは思ってもみなかったから。部長は全然反省している気配なくって逆に喜んでいるみたい。いつかどこかでお仕置きをしなきゃ、返り討ちにされる可能性は大だけど。
「前から上手だったが、料理の腕はここに来るようになってから確実に上がってるよな」
「そうですか? そう言ってもらえると嬉しいです」
頑張って作ってるもの。お婆ちゃんやお母さんに教わった料理とか、テレビで気になった料理とかチェックしてるし。それってやっぱり部長に美味しいものを食べてもらいたいっていう気持ちからなんだよね。それを褒めてもらえるのは凄く嬉しい。
「しかもバレンタインにザッハトルテを作ってくるとは驚いた」
「初めて部長と一緒に過ごすバレンタインだから頑張りました♪」
少しだけ切り分けて、温かいお茶と一緒に食べたチョコレートケーキはとても甘くて美味しかった。来年はどんなのにしようか、なんて考えるのはまだ気が早いよね?
しかも二月に入って私が女の子の日になっちゃって珍しく気分がすぐれなかったというのもありまして、週末に一緒に過ごせるのは二週間ぶりのこと。あ、今更ながらあの西條夫人に対して怒りがわいてきた宮内愛海です。今から殴りに行ってもいいかな。
部長は仕事で少し遅くなるということだったので、私が先にお買い物をして部長のお宅にお邪魔することに。まあそれはいつものことなんだけどね。ストレスのせいで胃が痛いと言っていたから、今夜はお腹に優しい献立をと考えて、湯豆腐と実家でお婆ちゃんがよく作ってくれた長芋のひき肉のせ蒸しを作ってみました。部長のお宅にはなかった蒸し器が最近増えたのは間違いなく私のせい。それと実家から送られてきた豚の角煮と野沢菜も持ってきちゃった。角煮は明日にすれば良いし、そのへんは部長のお腹と相談かな。
そしてバレンタインのチョコレートに関しては、チョコレートケーキにしてみたんだけどどうだろう。食後のデザート、一口でも食べてくれると嬉しいんだけどな。
土鍋を用意して、後は野菜を入れるだけという状態になった頃に玄関のドアが開いて部長が戻ってきた気配がした。
「お帰りなさーい、わわわっ!!」
玄関にお出迎えしにいったら、コートと鞄を放り出した部長にその場で押し倒されてしまった。
「部長、ここ玄関、んんんーっ」
抗議の言葉もキスで封じられ、両手は頭の上で部長の片手に留め置かれてしまう。その間にもう一方の手がスカートの中に滑り込んで下着を引き下ろす。やーん、玄関でエッチなんて漫画の世界じゃないんだからぁ! 部長の指が何かを確かめるように私の中を浅いところで出たり入ったりしている。しばらくして部長の唇から解放され大きく息を吸った。
「ここ玄関ですよお、んんっ」
抗議した途端に指が深く差し込まれて息が詰まる。
「濡れてきた、もう大丈夫だな」
「ふぇ? なにがダイジョブ?」
チリチリとファスナーを下ろす音がして、次の瞬間には部長が私の中にいた。
「二週間もお前を抱けないなんて、一体どんな拷問かと思った」
私を見下ろす部長の顔はとても切なそう。
「私だって寂しかったですよ?」
「そうか、俺だけじゃなかったんだな、安心した」
久し振りに見る穏やかな顔。ここしばらく何となく不機嫌そうにしていたものね。そんな優しい顔とは裏腹に突き上げてくる動きはとても激しくて奥に先端が当るたびにちょっと苦しくて声が出ちゃう。ここ玄関なのにぃ、前を誰かが歩いていたら絶対に聴こえちゃうよ。
「んっ……んんっ……」
「可愛い声を聞かせてくれ、愛海」
耳元で掠れた声で名前を囁かれるとそれに体が反応して、中で激しく動いている部長のものを締め付けた。部長が辛そうに呻く。
「っ……こら、そんなに締めつけるな、我慢できなくなるだろ」
「そんなこと言ったってえっ、やだあっ、あっ、あぁっ」
締めつけて中が狭くなったせいか、部長の動きを更にはっきりと感じるようになってしまって我慢していた声を思わず出してしまった。そして零れ出してしまった声は止められない、あとは部長の動きに翻弄されて喘ぐばかり。ここは玄関なんだよお……。
「ここ、玄関なんだってばぁっ」
「だからなんだ」
「声、外に聞こえちゃうっ」
「気にするな」
「駄目だったら、やだ、やなのぉ、やぁあっ……っ!!」
いってしまった、玄関で……。もう酷いよ、こんなとこでぇ。なのに部長の方はまだ元気で続ける気満々っていうか、やめる気配無いのはどうして? 二週間溜め込むと誰もがこんなになるの? 誰か教えて下さい。
「もう駄目だったらあ」
「俺は体力が有り余っていて、おまけにねちっこいんだよな?」
「なんで今更、やだぁ……」
なんで私が言ったことを今更蒸し返すのかなぁ。
「そんな俺が二週間もお預けを食らったんだ、だから諦めろ」
「だからって何で玄関なんですかあ」
せめてベッドに連れて行って欲しい。一分もかからないのにどうして我慢できないのか、男の人って本当に困ったもんだよ。玄関マットだってきっと汚れてる。その辺のこと考えてないよね、きっと。
それから何度かいかされてこれ以上はもう無理って思った頃に、部長が私の中から出ていきお腹の辺りに熱いものが吐き出された。
「あ……」
「なんだ、中に出して欲しかったのか?」
「そうじゃなくてえ、着替えの服なのに汚しちゃってぇ……」
そんな私の言葉に愉快そうに笑う部長。なんだかとっても楽しそうですねっていうか満足そうですね?
「まあ取り敢えずは満足したかな」
何それ、取り敢えずなんて怖い言葉を使わないで欲しい。これ以上は私の体がもちません。
「シャワー浴びて、飯にしようか」
「こんな順番が逆なのは嫌ですよお……」
「心配するな、これからちゃんと順番にしてやるから。シャワーで夕飯で、ベッドな」
「ちがーう!!」
そういうことじゃなーい!! 腰はガクガク、中はヒリヒリ。もう今夜は無理ですっ!!
+++++
実のところ、今日の帰りが遅くなったのは仕事ではなく弁護士を交えて西條さんと会っていたからだ。辞令は四月一日付けではあるが、来月の中旬にはサンフランシスコの方へと出発するらしい。その間、西條夫人はこちらではなく、西條夫人の実家預かりとなったということだ。ご両親からの謝罪とこれ以上の迷惑は絶対にかけないという確約をいただいた。
俺としては今すぐにでも出国して欲しいんだが、それは現実的ではないので我慢する。これ以上あの女に関わり合わなくて済むのなら後の些細なことはどうでも良い。
「宮内君にもきちんと謝罪したかったんだが……」
「貴方をあいつに会わせるつもりはないので直接の謝罪は結構です。自分から伝えますからお気遣いなく」
「わかった」
無礼な言い方ではあるがそれが俺の正直な気持ちだ。離婚騒動を発端に起きたドロドロとした一件に愛海を引きずり込むつもりは無いのだから。
「ところで私が口を出す筋合いはないとは思うのだが、宮内君とは結婚するつもりなのかね?」
「まあ。そのつもりですが宮内はまだ若いですからね、果たして結婚を意識して俺と付き合っているのかはまだ分かりません」
「そうなのか」
今のところ愛海には結婚については一言も言っていない。実家に連れて行ったことで少しは意識していてくれれば良いなと思っている程度だ。果たしてそこまで考えが及んでいるかどうか非常に怪しい。俺の前の結婚生活の顛末をあちらこちらから聞いているらしく、俺が結婚なんて二度とゴメンだと思っていると信じている節もある。その思い違いをどう正すかが課題だな。
「ただ、彼女にその気が有る無しは関係なく付き合っている間は大事にしますし、貴方の奥さんからもきちんと守りますよ。宮内を傷つけるようなことはさせません」
「それを聞いて安心した。私が言うことではないが」
その後、弁護士の立会いのもとに証書を交わした。これで関わり合いが完全に切れると良いのだが、しばらくは警戒が必要だろうとは五年前に泥沼騒動で世話になった弁護士の言葉。確かにあの時と今回の件を考えれば油断は禁物だ。まったく明後日の方向に考える人間というのは理解できん。
+++++
そしてベッドでぐったりとなった愛海が横にいる。汗ばんだ肩を指の背で撫でるとピクッと体を震わせた。シャワーで夕飯でベッドの順番は守ったんだから自分で自分をほめてやりたい。
「もう無理ですぅ、今夜の部長に付き合っていたら私、死んじゃいますよお……」
「バレンタインが命日とはなあ、いてっ」
愛海のパンチが飛んできた。
「もう酷いですよ、せっかくのバレンタインなのにチョコレートも渡せてないんだから! 女の子の夢を壊さないで下さーい」
「用意してくれていたのか?」
「当たり前じゃないですか。うちが企画した商品じゃなくてチョコレートケーキ作ったんですよ。あ、会社で厨房担当の真壁さんに作り方は教えてもらいましたけど」
「へえ……食ってみたいな」
愛海は壁の時計を見た。まだ日付は変わっていない。
「一口だけでも食べてみます?」
「ああ」
愛海は体を起こしてベッドから降りたが、その場でへたり込んでしまった。
「どうした?」
「こ、腰が痺れて……」
「あー……」
「あー、じゃないですよ。もうっ!」
頬を膨らませて怒っている彼女を横目にスウェットの上下を着込み、愛海を抱き上げてベッドに座らせた。うちに置いてある彼女用のフランネルのパジャマを着せて半纏を肩にかけやる。
「お運びした方がよろしいですかな、お嬢さま?」
「当然です! 誰のせいだと思ってるんですか、少しは反省して下さい」
「お詫びは後ほどゆっくりと」
「それ、お詫びじゃないです」
+++++
ベッドから降りようとしてへたり込んだ時はさすがに焦っちゃいました。自分でもその時までこんなに痺れちゃっているとは思ってもみなかったから。部長は全然反省している気配なくって逆に喜んでいるみたい。いつかどこかでお仕置きをしなきゃ、返り討ちにされる可能性は大だけど。
「前から上手だったが、料理の腕はここに来るようになってから確実に上がってるよな」
「そうですか? そう言ってもらえると嬉しいです」
頑張って作ってるもの。お婆ちゃんやお母さんに教わった料理とか、テレビで気になった料理とかチェックしてるし。それってやっぱり部長に美味しいものを食べてもらいたいっていう気持ちからなんだよね。それを褒めてもらえるのは凄く嬉しい。
「しかもバレンタインにザッハトルテを作ってくるとは驚いた」
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