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第24話
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国へ戻ってからは忙しい毎日を過ごしていた。
工房の作品は有難いことに人気を集め、常に予約いっぱいの状態が続いていた。
その為従業員に負担がかからないように人手を増やし、工房も増築された。
今は子ども用ドレスがメインではあるが、少しずつ大人のドレスも手掛けている。
私が夜会で着ていたものと同じ感じのものを求められる方もいて、少し認められたような悦ばしい思いがする。
そして、工房で作られる作品に名前をつけてはどうか。との話をいただいた。
じゃあ工房の名前も同じにしよう。と従業員に名前を募ったところ、『ロージーお嬢様の名前』と多くが答えた。
『ロージーお嬢様がお茶会でドレスを着てくれたのが始まりだから』
名前は、ロージーに決まった。
夜会は、ヘンリーが生まれて半年経ったあたりからクラリス様が旦那様と出席するようになり、私はお役御免となり今はお茶会のみに参加している。
クラリス様はヘンリーが生まれて一時は落ち着いたかのように思われていたけれど、いまだに旦那様が見当たらないと不安になるらしく、いつだったか珍しく旦那様が本邸で私とロージーとお茶を飲んでいると、血相を変えて旦那様を探して現れたことがあった。
ロージーがあまり驚かなかったのが幸いだった。
旦那様には何度も謝罪され、その日からはまた別邸が基盤の生活を始めた。
ロージーは月に二度王城へ通って王女殿下と親交を深めている。
相変わらず剣術に夢中で、美少女ぶりも健在だ。
ノアは学園ではいつも首席で見目麗しく、お茶会でも話題になるほどで、ぜひ娘に紹介してほしいとあちこちから声が掛かる。
投資家の彼とはサリンジャー氏経由で手紙のやり取りを続けている。
ローリーとはブルージェ王国滞在中に会ってからは、王城の夜会で再会しダンスを踊った。
2年に一度、この国に訪れるローリーとは、何度ダンスを踊っただろう。
「旦那様、そろそろクラリス様に公爵夫人の仕事を学んでいただいては如何でしょう」
ブルージェ王国へ行ってから7年。
ロージーも今では15歳だ。
「ミラ、ロージーはまだ婚約者すらいないんだ。
結婚なんてまだ先になるだろう」
「そうかもしれませんが、何が起こるかわかりません。
いずれ学ぶなら今から始められたら良いかと」
この話はすでに旦那様に何度かしているが、いつもロージーに婚約者がいないのを理由に断られてしまう。
確かにロージーは美少女だけれど、活発で剣も握る。
そんなロージーは異性に興味がないし、同じ年頃の男の子もロージーを異性として見られないらしい。
「ミラ、それに今のクラリスでは仕事が務まるとは思えない。
君がこのまま続ければいい」
「・・・・・・そんな」
「クラリスは学生の頃は優秀だったけれど今は変わってしまった。
それに、君より4つも「父上」」
「父上、ミラ様、お久しぶりです。
扉が開いていていたので、失礼させていただきました」
「ノア・・・」
「ノア、しばらく振りだな。
元気そうで何よりだ。
ただ、夫婦の話に割り込むのはあまり感心できないな」
「それは承知の上です」
そう言うと、ノアは私の顔を見てふっと微笑み、また旦那様に向き合った。
「それはどういう意味だ」
「父上、もうミラ様を解放しましょう」
「ノア、お前何を言って・・・・・・」
「父上には母上とヘンリーがいる。
それで充分でしょう」
「・・・・・・・・・」
「あと、確かに母上に公爵夫人の仕事は務まらないでしょう。
だから、ミラ様。公爵夫人の仕事は僕の婚約者のソフィア嬢に教育してください」
「・・・・・・ノア」
微笑むノアに、言葉が返せなかった。
工房の作品は有難いことに人気を集め、常に予約いっぱいの状態が続いていた。
その為従業員に負担がかからないように人手を増やし、工房も増築された。
今は子ども用ドレスがメインではあるが、少しずつ大人のドレスも手掛けている。
私が夜会で着ていたものと同じ感じのものを求められる方もいて、少し認められたような悦ばしい思いがする。
そして、工房で作られる作品に名前をつけてはどうか。との話をいただいた。
じゃあ工房の名前も同じにしよう。と従業員に名前を募ったところ、『ロージーお嬢様の名前』と多くが答えた。
『ロージーお嬢様がお茶会でドレスを着てくれたのが始まりだから』
名前は、ロージーに決まった。
夜会は、ヘンリーが生まれて半年経ったあたりからクラリス様が旦那様と出席するようになり、私はお役御免となり今はお茶会のみに参加している。
クラリス様はヘンリーが生まれて一時は落ち着いたかのように思われていたけれど、いまだに旦那様が見当たらないと不安になるらしく、いつだったか珍しく旦那様が本邸で私とロージーとお茶を飲んでいると、血相を変えて旦那様を探して現れたことがあった。
ロージーがあまり驚かなかったのが幸いだった。
旦那様には何度も謝罪され、その日からはまた別邸が基盤の生活を始めた。
ロージーは月に二度王城へ通って王女殿下と親交を深めている。
相変わらず剣術に夢中で、美少女ぶりも健在だ。
ノアは学園ではいつも首席で見目麗しく、お茶会でも話題になるほどで、ぜひ娘に紹介してほしいとあちこちから声が掛かる。
投資家の彼とはサリンジャー氏経由で手紙のやり取りを続けている。
ローリーとはブルージェ王国滞在中に会ってからは、王城の夜会で再会しダンスを踊った。
2年に一度、この国に訪れるローリーとは、何度ダンスを踊っただろう。
「旦那様、そろそろクラリス様に公爵夫人の仕事を学んでいただいては如何でしょう」
ブルージェ王国へ行ってから7年。
ロージーも今では15歳だ。
「ミラ、ロージーはまだ婚約者すらいないんだ。
結婚なんてまだ先になるだろう」
「そうかもしれませんが、何が起こるかわかりません。
いずれ学ぶなら今から始められたら良いかと」
この話はすでに旦那様に何度かしているが、いつもロージーに婚約者がいないのを理由に断られてしまう。
確かにロージーは美少女だけれど、活発で剣も握る。
そんなロージーは異性に興味がないし、同じ年頃の男の子もロージーを異性として見られないらしい。
「ミラ、それに今のクラリスでは仕事が務まるとは思えない。
君がこのまま続ければいい」
「・・・・・・そんな」
「クラリスは学生の頃は優秀だったけれど今は変わってしまった。
それに、君より4つも「父上」」
「父上、ミラ様、お久しぶりです。
扉が開いていていたので、失礼させていただきました」
「ノア・・・」
「ノア、しばらく振りだな。
元気そうで何よりだ。
ただ、夫婦の話に割り込むのはあまり感心できないな」
「それは承知の上です」
そう言うと、ノアは私の顔を見てふっと微笑み、また旦那様に向き合った。
「それはどういう意味だ」
「父上、もうミラ様を解放しましょう」
「ノア、お前何を言って・・・・・・」
「父上には母上とヘンリーがいる。
それで充分でしょう」
「・・・・・・・・・」
「あと、確かに母上に公爵夫人の仕事は務まらないでしょう。
だから、ミラ様。公爵夫人の仕事は僕の婚約者のソフィア嬢に教育してください」
「・・・・・・ノア」
微笑むノアに、言葉が返せなかった。
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