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【番外編4】春のピクニック 前編
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ヘイミッシュ魔法学園の新学期が始まって、最初の外出日。
最上級生になったメイベル・ハートリーは、親友のステラに連れられて、街外れにある公園に来ていた。
「えっ、ここ? で、パーシー達が待ってるの?」
満開の時はさぞ見事だったろう、園内をぐるりと囲むアーモンドの花は、とっくに散り始めて。
白い花びらにまみれた芝生の間を、数組の家族と大型犬がのんびりと、散策しているだけ。
特に楽しいイベントも、サプライズも起こりそうにない。
こんな所で待ち合わせ?
「そうだよ。あれれーっベル、何かがっかりしてる?」
「だって、せっかくの」
「Wデートなのに?」
にんまりと、ステラに返された。
今日は、ベルことメイベルとパーシー、ステラとアレク――二組のカップルが予定を合わせて、初めて一緒に出掛けることになった記念すべき日。
外出日の決まり通り、いつもと同じ制服姿だけど。
シンプルなシャツとタイの代わりに、今日は襟と袖口にレースが付いた、スタンドカラーのブラウスを合わせてみた。
アドバスをしてくれたステラは、少し透け感のあるオフホワイトの、ボウタイ付きブラウス。
黒いテールコートとグレーのストライプスカートに合わせると、二人共ぐっと大人っぽく見えた。
寮の鏡の前で、『いいじゃん、似合ってるよ』『そっちこそ!』と、ワクワク支度して来たのに。
「だって……どうせなら。思い出に残るような、特別な日にしたかったなって」
ぽつりと呟いたメイベルの顔を、イタズラっぽくステラがのぞき込む。
「例えば、おばあさんになった時、孫たちに話したくなるような?」
「うんっ!」
きっぱりと頷いたメイベルに、
「かーわいぃー! そーゆーとこ、ベルって乙女だよねー?」
ステラがにんまり目を細めた。
「ちょ、乙女とかそんなんじゃ……!」
「はいはい、『ヘイミッシュのプリンス』様」
喜劇女優のように、おどけてお辞儀をしてから、
「心配しなくても大丈夫。きっとステキな一日になるよ――ほら、あそこ!」
ステラが、公園の奥手を指さした。
「おーい!」
「こっち、こっち!」
少し小高くなった堤防の上で、二人の男子が手を振っている。
その後ろでは、街の境界沿いに流れるイテル川が、春の日差しを銀色に反射して、ゆったりと蛇行していた。
最上級生になったメイベル・ハートリーは、親友のステラに連れられて、街外れにある公園に来ていた。
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白い花びらにまみれた芝生の間を、数組の家族と大型犬がのんびりと、散策しているだけ。
特に楽しいイベントも、サプライズも起こりそうにない。
こんな所で待ち合わせ?
「そうだよ。あれれーっベル、何かがっかりしてる?」
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シンプルなシャツとタイの代わりに、今日は襟と袖口にレースが付いた、スタンドカラーのブラウスを合わせてみた。
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黒いテールコートとグレーのストライプスカートに合わせると、二人共ぐっと大人っぽく見えた。
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「うんっ!」
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「こっち、こっち!」
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