35 / 84
第七章:家族という多様性(まじめ編)
第三十五話:入院
しおりを挟む
専務:
えー、今日はみなさんにお知らせがあります。
上司くんが入院しました。
……と言っても命に別状はありません。十二指腸潰瘍だそうです。
韓国さん:
…ストレス、ですかね。
ムスリム:
ストレス、デスカ……。
MtF:
そりゃあ、この職場で中間管理してたらねぇ……。
イタリア:
多様性とは、難しいものだね。
男性社員:
上司さんの胃、あと頭髪が心配だわ。
女性社員:
というわけで、部署のみんなでお見舞いに行きましょう。
あくまで短時間のご挨拶だけして、すぐ退室する形で。
男性社員:
まあ、それが妥当だな。
MtF:
あの人の調停あって、ギリギリ成立してる部署ですもの。
いなくなると困るわよ、全員。
── お見舞い当日 ──
ムスリム:
お加減は如何デスカ、上司さん。
私:
わざわざ、すまないね。いや、本当に大したことはないんだよ。
ちょっと血を吐いただけで。
MtF:
それ "大したことない" の基準ぶっ壊れてるわよ!?
イタリア:
とにかく、ご回復を祈ってるよ。これ、お見舞いの花です
男性社員:
イタリアって花好きだよな……って、
(( ……シクラメンの鉢植えかぁ…… ))
私:
(にっこり笑って)
ありがとう、綺麗だね。部屋がぱっと明るくなるよ。
MtF:
(知らないはずがない。でも動揺をおくびも出さず受け取る辺り、さすがね…)
女性社員:
(この包容力なんですよねぇ…)
イタリア:
ん? どうかしたのかい?
女性社員:
い、いえっ、なんでも……
私:
(いや他にどう対応しろと)
本当にありがとう、みんな……(´・ω・`)
・シクラメン
シクラメン(学名:Cyclamen persicum)は、サクラソウ科シクラメン属に属する地中海地方が原産の多年草の球根植物の総称である。鮮やかな花を付け、世話も難しくないので園芸・鉢植えとして非常に一般的。
しかしこと日本の病院においては、お見舞いにシクラメンの鉢植えを贈るのはタブーとされている。理由は主に二つ。
1. 縁起が悪い言葉の連想
シクラメン → 「死・苦」 に語感が似ている。
もちろん当て字だが、患者のメンタルを考えると避けるのが一般的。
2.鉢植え=「根付く」="寝付く" の忌み
切り花はOKとされているが、鉢植えは「根がつく」=「病が根付く」 を連想させるため、これも病室では不適切とされやすい。
しかしこれらはあくまで日本語との語呂合わせ的なローカル認識ゆえ、欧州では縁起が悪いとされることは無く、むしろ冬の代表的な美しい花として普通に人気。
イタリア人がシクラメンを持ってきても悪意ゼロなのはそのため。
日本ではタブー、欧州では日常。文化差による"地雷事故"の典型例である。
えー、今日はみなさんにお知らせがあります。
上司くんが入院しました。
……と言っても命に別状はありません。十二指腸潰瘍だそうです。
韓国さん:
…ストレス、ですかね。
ムスリム:
ストレス、デスカ……。
MtF:
そりゃあ、この職場で中間管理してたらねぇ……。
イタリア:
多様性とは、難しいものだね。
男性社員:
上司さんの胃、あと頭髪が心配だわ。
女性社員:
というわけで、部署のみんなでお見舞いに行きましょう。
あくまで短時間のご挨拶だけして、すぐ退室する形で。
男性社員:
まあ、それが妥当だな。
MtF:
あの人の調停あって、ギリギリ成立してる部署ですもの。
いなくなると困るわよ、全員。
── お見舞い当日 ──
ムスリム:
お加減は如何デスカ、上司さん。
私:
わざわざ、すまないね。いや、本当に大したことはないんだよ。
ちょっと血を吐いただけで。
MtF:
それ "大したことない" の基準ぶっ壊れてるわよ!?
イタリア:
とにかく、ご回復を祈ってるよ。これ、お見舞いの花です
男性社員:
イタリアって花好きだよな……って、
(( ……シクラメンの鉢植えかぁ…… ))
私:
(にっこり笑って)
ありがとう、綺麗だね。部屋がぱっと明るくなるよ。
MtF:
(知らないはずがない。でも動揺をおくびも出さず受け取る辺り、さすがね…)
女性社員:
(この包容力なんですよねぇ…)
イタリア:
ん? どうかしたのかい?
女性社員:
い、いえっ、なんでも……
私:
(いや他にどう対応しろと)
本当にありがとう、みんな……(´・ω・`)
・シクラメン
シクラメン(学名:Cyclamen persicum)は、サクラソウ科シクラメン属に属する地中海地方が原産の多年草の球根植物の総称である。鮮やかな花を付け、世話も難しくないので園芸・鉢植えとして非常に一般的。
しかしこと日本の病院においては、お見舞いにシクラメンの鉢植えを贈るのはタブーとされている。理由は主に二つ。
1. 縁起が悪い言葉の連想
シクラメン → 「死・苦」 に語感が似ている。
もちろん当て字だが、患者のメンタルを考えると避けるのが一般的。
2.鉢植え=「根付く」="寝付く" の忌み
切り花はOKとされているが、鉢植えは「根がつく」=「病が根付く」 を連想させるため、これも病室では不適切とされやすい。
しかしこれらはあくまで日本語との語呂合わせ的なローカル認識ゆえ、欧州では縁起が悪いとされることは無く、むしろ冬の代表的な美しい花として普通に人気。
イタリア人がシクラメンを持ってきても悪意ゼロなのはそのため。
日本ではタブー、欧州では日常。文化差による"地雷事故"の典型例である。
1
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる