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【番外編】幹部による布教。太鼓編
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太鼓が国際刑事警察機構への移動後の話。
****
(モブ視点)
現在、世界の秩序を守っているのは警察や、軍隊でも、ましてや強力な核兵器でもない。
勿論、各国の警察だって治安維持に務めているが、全ての凶悪犯罪やテロを未然に防げる訳では無い。
そんな中、裏社会に現れた秩序が『チャトランガ』と呼ばれる新興勢力だった。
(……って言ってもただのマフィアだろ。なんでどいつもこいつもシヴァ様シヴァ様って。)
正確にいえばチャトランガはマフィアの位置づけよりは反社会的勢力の方があっているのだろうが、そんなの大した差じゃない。
カタカタといつもより乱暴にキーボードを叩く俺は最近国際刑事警察機構に配属されたばかりだ。
各国の警察機構のバックアップを主な仕事にする国際刑事警察機構には、様々な事件や犯人に関しての捜査協力が届く。
それなのに、大半は『チャトランガに協力を頼めないか』というものばかり。
(あんな犯罪者どもに頼りたいなんて!どこの警察機構も歪んでる!)
ターンッと八つ当たりにキーを弾けば、隣にコトリと缶コーヒーが置かれた。
「ふふ、随分と荒んでいますね。仕事が立て込んでいるんですか?」
「貴方は確か日本警察の……えーっとMr……」
「大森です。Mr.ロッシ。」
日本人にしてはそれなりに長身の大森は「よければどうぞ。」と置かれたコーヒーを指し示す。それに「どうも。」と軽く頭を下げて缶コーヒーを手に取った。
「……Mr.オーモリは『チャトランガ』についてどう思いますか?」
「どう、と言いますと?」
「どこの国の警察機構も口を開けば『シヴァ様に協力を』『シヴァ様に意見を』そんなものばかりです。」
缶コーヒーのプルタブを指で押しあげれば、カシュッと飲み口が空く。
ほろ苦い微糖のそれを口内に流し込んで、「そもそもそのシヴァって人自体怪しいし、」と今まで持っていた不満をこぼした。
「マフィアなんかに秩序を任せるなんて……」
「なるほど君はシヴァ様をご覧になったことがないのですね知らないのならば仕方ありません会わせてあげましょうそんなこと言えなくなりますから。」
「み、Mr.オーモリ……??」
にっこり笑っているはずなのにどことなくひんやりとした空気を感じる。
しかも今一息で言いきらなかっただろうか?
「君が担当していた事件はイタリア出身の国際指名手配の足取りの調査と各国への連絡でしたね。ああ、こちらのテロ組織の調査もありましたか。安心してください。こちらで対処しておきますので。」
「は???」
こちらが困惑している間に、どこかへと電話をし始めた大森は聞きなれない言語、恐らく日本語で話始めると、すぐにこちらへと向き直り
「飛行機が用意できたので行きますよ。」
「はぁぁああ!?」
なんてことないように告げ、俺の腕を引いた。
「いや、ちょ、なんでいきなり!?ていうか『チャトランガ』のボスに警察機構の人間が簡単に会えるはずないだろ!」
「おや、存じ上げないようなので教えて上げますね。」
痛いくらいにくい込んだその手を振り払うことも出来ず、にっこりと更に、深く冷たく笑った大森に、嫌な汗が背中を伝った。
「私、日本警察の前に、チャトランガの幹部、太鼓なのですよ。 」
****
「あぁあ、まーた新人がMr.オーモリに連れてかれたよ。」
「あらシヴァ様に会えるなんて羨ましい。きっと彼も立派な信者になって帰ってくるわよ。」
太鼓の布教法。
シヴァ様を見たことないのに文句言うやつにはとりあえずシヴァ様に会わせてその神々しさと偉大さを直に教え込む。
国際刑事警察機構では最早新人の通過儀礼になっている。
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(モブ視点)
現在、世界の秩序を守っているのは警察や、軍隊でも、ましてや強力な核兵器でもない。
勿論、各国の警察だって治安維持に務めているが、全ての凶悪犯罪やテロを未然に防げる訳では無い。
そんな中、裏社会に現れた秩序が『チャトランガ』と呼ばれる新興勢力だった。
(……って言ってもただのマフィアだろ。なんでどいつもこいつもシヴァ様シヴァ様って。)
正確にいえばチャトランガはマフィアの位置づけよりは反社会的勢力の方があっているのだろうが、そんなの大した差じゃない。
カタカタといつもより乱暴にキーボードを叩く俺は最近国際刑事警察機構に配属されたばかりだ。
各国の警察機構のバックアップを主な仕事にする国際刑事警察機構には、様々な事件や犯人に関しての捜査協力が届く。
それなのに、大半は『チャトランガに協力を頼めないか』というものばかり。
(あんな犯罪者どもに頼りたいなんて!どこの警察機構も歪んでる!)
ターンッと八つ当たりにキーを弾けば、隣にコトリと缶コーヒーが置かれた。
「ふふ、随分と荒んでいますね。仕事が立て込んでいるんですか?」
「貴方は確か日本警察の……えーっとMr……」
「大森です。Mr.ロッシ。」
日本人にしてはそれなりに長身の大森は「よければどうぞ。」と置かれたコーヒーを指し示す。それに「どうも。」と軽く頭を下げて缶コーヒーを手に取った。
「……Mr.オーモリは『チャトランガ』についてどう思いますか?」
「どう、と言いますと?」
「どこの国の警察機構も口を開けば『シヴァ様に協力を』『シヴァ様に意見を』そんなものばかりです。」
缶コーヒーのプルタブを指で押しあげれば、カシュッと飲み口が空く。
ほろ苦い微糖のそれを口内に流し込んで、「そもそもそのシヴァって人自体怪しいし、」と今まで持っていた不満をこぼした。
「マフィアなんかに秩序を任せるなんて……」
「なるほど君はシヴァ様をご覧になったことがないのですね知らないのならば仕方ありません会わせてあげましょうそんなこと言えなくなりますから。」
「み、Mr.オーモリ……??」
にっこり笑っているはずなのにどことなくひんやりとした空気を感じる。
しかも今一息で言いきらなかっただろうか?
「君が担当していた事件はイタリア出身の国際指名手配の足取りの調査と各国への連絡でしたね。ああ、こちらのテロ組織の調査もありましたか。安心してください。こちらで対処しておきますので。」
「は???」
こちらが困惑している間に、どこかへと電話をし始めた大森は聞きなれない言語、恐らく日本語で話始めると、すぐにこちらへと向き直り
「飛行機が用意できたので行きますよ。」
「はぁぁああ!?」
なんてことないように告げ、俺の腕を引いた。
「いや、ちょ、なんでいきなり!?ていうか『チャトランガ』のボスに警察機構の人間が簡単に会えるはずないだろ!」
「おや、存じ上げないようなので教えて上げますね。」
痛いくらいにくい込んだその手を振り払うことも出来ず、にっこりと更に、深く冷たく笑った大森に、嫌な汗が背中を伝った。
「私、日本警察の前に、チャトランガの幹部、太鼓なのですよ。 」
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「あぁあ、まーた新人がMr.オーモリに連れてかれたよ。」
「あらシヴァ様に会えるなんて羨ましい。きっと彼も立派な信者になって帰ってくるわよ。」
太鼓の布教法。
シヴァ様を見たことないのに文句言うやつにはとりあえずシヴァ様に会わせてその神々しさと偉大さを直に教え込む。
国際刑事警察機構では最早新人の通過儀礼になっている。
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