処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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堕天の審判

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夜の帳が王都を包み込み、天より黒き翼が降り立った。

まず最初に現れたのは、王都の大聖堂——かつて勇者レオンの功績を讃える石碑が置かれていた広場だった。

石碑は既に取り壊され、代わりに大司教フレデリックの銅像が建っていた。

空に浮かぶ異形の群れが、静かに翼を広げる。  
それはかつて神の祝福を受けし天使の残骸——《堕天の翼兵(フォールン・ウィング)》。

一体、また一体と、黒き翼が宙を裂き、王国の上空を覆っていく。  
天より舞い降りるのは祝福ではなく、断罪だった。



王都中心区。騎士団本部。

警鐘が鳴り響く。

「空より魔族と思しき飛行部隊接近!各部隊、迎撃体勢を――!」

アレクシス・バルナードが塔盾を構え、部下に叫ぶ。

「落ち着け!弓兵は対空射線を確保!術士隊、後方から神聖結界を!」

だがその瞬間、逆さ十字の光輪が空に浮かび、真下の騎士たちに降り注ぐ。

それは本来、傷を癒すはずの“回復術”の改竄だった。

「ぐ……っ!?身体が……裂ける……ッ!!」

悲鳴と共に、騎士たちの白銀の鎧が赤に染まる。

「回復魔法……じゃない……呪詛だ……ッ!!」

フォールン・ウィングたちは、光と神の術を“逆の意志”で行使する。  
神の名を騙る者たちを、より神の名において裁くために。



王城・謁見の間。

玉座に座るライナス・バルフォード王の耳に、護衛からの報告が届く。

「陛下!上空に正体不明の飛行部隊が!都市部すべてに同時侵攻しています!」

「ば、馬鹿な……急に現れただと!」


王国各地の街に同時多発的に現れる堕天の翼兵たち。

腐敗した貴族が暮らす館。  
勇者の処刑を嗤い物にした劇場。  
偽りの記録が刻まれた記念碑。  
すべてが、ひとつひとつ、空からの断罪により灰へと変わっていく。

 

この襲撃はただの破壊ではなかった。

それは、天より堕ちた者たちによる“最後の審判”。

王国全土を巡る、血と光と罪の翼の影が、静かに、確実に広がっていく。
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