処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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審罪の黙示録

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禍々しき光に包まれた《堕天の翼兵》の大軍が、王都上空を覆い尽くし、聖鐘の音を掻き消した。

王国民は空を仰ぎ、恐怖に凍りついた。だが、彼らの恐怖はまだ序章に過ぎない。

その中心――

「審判の時だ。神に見捨てられし天の意志が、汝らの罪を暴く」

堕天使《ルシフェル》が静かに舞い降り、王城の上空で六翼を広げた。

その声は甘く、そして絶望に満ちていた。

---

騎士団本部では、アレクシス・バルナードが静かに立ち上がった。背後にはすでに騎士たちが武具を手にし、出撃の合図を待っている。

「防衛陣形・第七展開、都市中枢を死守せよ。ゼフィル、お前は――」

「……舞台は整ったようだな」

ゼフィル・ヴァイスラントは微笑を浮かべ、蒼き剣を抜いた。

「この“宝剣”の真価、存分に見せてやろう。堕天使とやらに、美しき敗北を届けに行くぞ」

---

一方、堕天の翼兵たちは、血の涙を流しながら空中より突撃。

聖なるはずの魔法を捻じ曲げ、神聖な治癒光は兵士たちの傷を逆に裂いていく。王国の弓隊は応戦するも、翼兵たちは風のように舞い、光の槍で一騎、また一騎と騎士たちを貫いた。

---

「……詩人は歌う。王の偽善と、民の盲信に」

影の中から音もなく現れたのは《アラゼル》。

その詩が空気を震わせた刹那、黒紫の剣閃が放たれ、王国兵の前衛陣を切り裂く。

《深淵剣舞》が一歩ごとに奏でられ、詩が進むたびに死が広がる。

「一節、二節――次は君たちの番だ」

アラゼルの視線の先には、シリルとルーカスがいた。

---

そして、大地が呻いた。

「……あれ、なんか地面……腐ってない?」

リディアの呟きに、地面が沈む。

《大地の死骸》ティアマト・ヴォルグが姿を現した。背中に枯れた大樹を背負い、踏みしめた大地を死に変えながら進軍する。

腐蝕なる根源が土壌を蝕み、王国の聖地や農地すら、息を引き取っていく。

「下がっていろ!」

アレクシスが巨大な塔盾《グラヴィス・フォート》を地面に突き立て、暴走する腐蝕の波を押し留める。

「……これはただの魔物じゃない。国そのものを殺す“災厄”だ」

---

そのとき、空間に静かな時の“歪み”が生じた。

「……演算開始。戦場の流れ、補正」

《ノクス=リヴィア》の姿が浮かび上がると同時に、《時間跳躍》が発動される。

王国兵の一人が剣を振るった瞬間、その動作が“巻き戻され”、もう一度同じ軌道を繰り返した――そこに、堕天の槍が突き刺さる。

「な……なんだ今の……!? 動きが……!?」

ユージンが叫び、焦りに汗を滲ませた。

その背後に、柔らかな足音。

「あなたの“後悔”……ひとつ、ふたつ、いくつあるの?」

アンティークドールのような少女が、血に濡れたドレスで現れる。

《エルヴィラ》。

怨嗟紡ぎの糸が、ユージンの過去へと伸びていく――

過去、笑顔で励ましてくれた父。 
だがその父は、今のユージンを冷たく見下ろす。

『憎しみに飲まれ、復讐のために剣を振るうとはな。失望した。』

「やめろ……やめてくれ……!」

血の涙を流すエルヴィラの顔と、泣き崩れるユージンの姿が重なる。

---

そして中央広場では、赤と黒の旋律が踊っていた。

《グラン=バロック》――その優雅な吸血鬼は、血の霧の中で踊るように剣を振るい、王国兵を“鎖”で繋ぎ止めていく。

「その絶叫、もっと聴かせてくれ……ああ、素晴らしい……!」

血を啜り、分身を増やし、幻惑し、彼はまさに“殺戮の舞踏会”を演出していた。

---

――王国が崩れる。

空から、地から、心から。

だが、この地獄の只中――  
なおも剣を構える者がいた。

ゼフィルが、空へ向けて魔剣を構える。

「おい、堕天の女王。俺の剣の光……地獄の舞台にも映えるだろう?」

ルシフェルがその声に、微笑んだ。

「ならば踊りなさい。偽りの神に捧げる舞を――」
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