処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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赤と黒の舞踏会

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紅の外套をひるがえし、グラン=バロックは剣を振るうたびに鎖を唄わせ、呻く兵士たちを次々と吊り上げていた。

「おや、女神たちのご登場だ。あなたたちの悲鳴を……私に聴かせてくれるのかな?」

その前に立つは、かつて勇者と並び称されたふたりの裏切り者――
大魔術師《セリーヌ・ミルフォード》。
俊弓の使い手《ソフィア・アルバート》。

「……趣味が悪いわね」

セリーヌが冷たく呟き、長杖を掲げる。
ソフィアは構えた弓の矢を、グランの心臓へと定めていた。

「狙いはひとつ。あの心臓を貫けばいいのよ、セリーヌ」

「そう単純であれば、苦労しないわ。――来る!」

グラン=バロックが一歩を踏み出すと同時に、鎖の雨が四方から放たれる。
だがセリーヌは、瞬時に魔法陣を展開。

「《反魔結界:八重の鏡》」

魔力の盾が層を成し、鎖を軌道ごと弾き返す。

「ほう……やはり、ただの裏切り者ではないようだ」

グランは愉悦の笑みを深めた。
その隙を突いて、ソフィアが矢を放つ。

だが――

「《ヴェイル=ファントム》」

グランの体が霧に変わり、矢は何もない空間を突き抜けた。

「くっ、幻体……!」

「いいわ。なら、幻を焼き尽くすまでよ」

セリーヌが詠唱を終える。

「《星断ちの火環(セレスティアル・インフェルノ)》」

夜空を割るような白熱の魔法が放たれ、周囲を焼き尽くす。

だがそこに――

「ならばこちらも、“美しき分身”を捧げよう」

グランが血を噴き、空中に舞うように無数の幻影を作り出す。
それぞれが剣を持ち、舞うように回転しながら襲い来る。

「ソフィア、数が多すぎる!」

「なら、一撃で抜けるしかない……!」

ソフィアは風の精霊を呼び、矢に重ねて強化する。

「《裂風の神矢(テンペスト・スルー)》ッ!!」

放たれた矢が直線に風を裂き、幻影を薙ぎ払う。
一筋の閃光が、ようやく本体へと迫る――

が、グランは微笑を浮かべたまま、手の甲を噛み切る。

「痛みと血は、芸術の始まりだ」

その血が空中で形を変え、《赤黒の薔薇の結界》となり、矢を吸収する。

「――まだ終わらないわよ。」

セリーヌが再詠唱に入る。
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