処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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砕ける誇り

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蒼き魔剣が閃き、天を裂いた。
ゼフィル・ヴァイスラントは高く跳躍し、六翼を広げる堕天使に剣を叩きつける。

「この空は、貴様のものじゃない……この国の空を、踏みにじるなッ!」

一閃――しかし。

「ふふ……その剣、あまりに“凡庸”ね」

ルシフェルは微笑みながら指先を振る。瞬間、ゼフィルの剣筋が空間に呑まれ、軌道がずらされる。

《聖域歪曲(セラフィック・ディストーション)》――
神の理すら曲げる、堕天の権能。

「っ……何!?」

反応が遅れたゼフィルに、光の矢が雨のように降り注いだ。
瞬時に防御魔法を展開するが、完全には間に合わない。

「ぐ、う……あああああッ!!」

肩を裂かれ、地へと叩き落とされるゼフィル。瓦礫が舞い、彼の血が広場を染めた。

立ち上がろうとするも、足が震える。魔剣は手から滑り落ち、鋼の誇りが、砕ける音を立てた。

ルシフェルは静かに舞い降りる。

「さあ、貴方の信じた“栄光”を見せて。死の間際にこそ、人は本性をさらけ出すものよ」

その瞬間――

「まだ死ぬには早すぎるぞ、ゼフィル!!」

金の閃光が地を走る。

現れたのは、聖騎士レオ・グラディス。その盾がゼフィルを守るように掲げられ、次の光矢を防いだ。

「……っ、貴様……!」

そしてその背後から、もう一人の男――僧侶ベルナール・ストークが歩み出る。彼は優雅に指を鳴らすと、ゼフィルの傷に聖なる光が注ぎ込まれた。

「回復完了。あとは、あなたが立ち上がるだけですよ……“英雄様”」

ゼフィルは自分の体が癒えていくのを感じながら、ただ歯を食いしばる。
傷よりも、魂を裂くのは――“他者に救われた”という屈辱。

「くそ……この俺が……貴様らに助けられるなど……ッ!」

彼は膝をつき、地面を叩く。

「俺は……! 誰よりも強く、美しく、誇り高くあろうとした……その俺が……! こんな、無様に……!」

嗚咽にも似た叫び。
瓦礫の上で、彼の誇りが軋む。

ルシフェルは、そんなゼフィルの姿を見下ろして――

「……人間って、壊れる音が美しいわね」

静かに、再び六翼を広げた。
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