処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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命の歯車が止むとき

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広場の一角――

静かに佇む影がひとつ。
ノクス=リヴィア。

「“孤独”があなたを包んでいる。すべてを失った者の匂いがするわ」

その言葉に、アルフレッド・グレンフィールドは剣を構えた。

「……俺は、まだ終わっていない」

その顔には、憔悴と共に、決意が浮かんでいた。

だが――

「終わっていない? それはあなたの“錯覚”。
だって、あなたの“未来”は――もう、ここにないもの」

ノクスが手を掲げた瞬間、時間跳躍の陣が展開され、空間が歪み始める。

――ギンッ!

一閃、アルフレッドの剣がノクスの周囲を斬り払う。

ノクスは微笑む。

「無駄よ。あなたが振るった剣は、もう“終わった”斬撃。今の私には届かない」

アルフレッドの体が後方へ弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

バキィン!――鎧が軋む。

その衝撃で、一瞬意識が遠のきかけたが――

「……!」

彼は、目を閉じて自らの内へと沈んだ。



(レオン……)

静寂の中で、記憶が呼び起こされる。

笑うレオンの顔。共に訓練に汗を流し、誓い合ったあの日。

だが――裏切った。

(……お前の家に火を放てと命じられたとき……俺は、躊躇いながらも……従った)

(“命令だった”なんて……ただの言い訳だ。あの時……止めるべきだったのに)

涙が流れる。
誰にも見えない、魂の奥底の叫び。

(レオン……許されることじゃないと分かってる。それでも……すまなかった)

彼は、自らの過去を抱きしめるように、再び立ち上がった。



「……立ち上がるのね」

ノクスは驚きもせず、ただ観察者のように呟いた。

「人間は、罪を背負ってもなお前に進もうとする……それが“愚かさ”なのか、“強さ”なのか……測ってみる価値はあるわね」

アルフレッドが剣を構える。
今度こそ、過去を断ち切るように――

「いくぞッ!!」

地を蹴り、瞬時に間合いを詰める。剣が唸り、空気が裂ける。

ノクスは微笑を消し、手のひらを前に。

《時間跳躍・零秒式》

その瞬間、アルフレッドの動きが凍りついた。

剣を振るう動作が“途中”で止まり、再生・巻き戻しを繰り返す。

「あなたの“運命”は、ここで終わる。未来の記録に、あなたの名は刻まれない」

ノクスの瞳が冷たく光る。

「さようなら――罪人の騎士」

ズガァッ――!!

時間が再開した刹那、光の刃がアルフレッドの胸を貫いた。

血が飛び散り、彼の体がゆっくりと膝をつく。

「……くっ……は……」

視界が霞む。意識が遠のく。

だが、最期のその瞬間――

(……レオン……すまなかった……それでも……お前が……王国を変えてくれると、信じてる……)

静かに、瞳が閉じられる。

そして、アルフレッド・グレンフィールド――
――ここに、命を終える。

ノクスはその亡骸に背を向けた。

「……過去を悔いる者は、未来を選べない」

その声だけが、風に消えていった――
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