処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ

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聖盾の抵抗

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夜の空はなおも堕天の六翼に覆われていた。

「さあ、見せなさい――“人類の希望”とやらを」

《ルシフェル》の声が響くたび、空気が震え、聖なる気配すら穢れていく。

対する三人は、深呼吸一つで意志を固めた。

「神よ、我らに力を――《聖なる盾界》展開!」

ベルナールの放つ聖光の結界がレオ・グラディスの背を守り、同時にゼフィルが空へ向かって跳躍した。

「俺が先陣だ。行くぞ、堕天の化け物ォ!」

彼の宝剣《アルス=リュミエール》が蒼く輝き、斬光を描いてルシフェルへと迫る。

だが――

「浅い」

ルシフェルはただ手を掲げるだけで、周囲の空間が“沈んだ”。

《天罰の重圧(ジャッジメント・プレッシャー)》。

空間全体が重力場に呑まれ、ゼフィルの跳躍は止められ、膝から地へと叩きつけられる。

「ぐあっ……が、ぁ……!」

彼の魔剣が地に突き刺さる。全身に圧がかかり、骨がきしむ。

「くそが……っ、動け……!」

「ゼフィルッ!」

レオが盾を構え、重圧の中心に突進する。

「我が剣は、正義の鉄槌……砕けろ、邪の審判!」

《制裁剣・グラディウスブレイク》。

金の閃光が重圧を斬り裂き、ゼフィルの周囲を解放する。

ゼフィルが息を整え、立ち上がる。

「借りたぜ……今度は俺が前だ!」

宝剣が再び蒼く輝く。地を蹴り、ルシフェルへ――

だが。

「――裁きの光、天より来たれ」

ルシフェルの両翼が煌めき、天より無数の光柱が降り注いだ。

《聖域裁光(セラフィック・ラディエンス)》。

レオの盾で二撃を防ぐも、三撃目が側面を貫き、地へと吹き飛ばされる。

「ぐっ……が……!!」

ベルナールの詠唱が炸裂し、回復魔法がレオを包む。

「俺が行く……!」

だが、ゼフィルがルシフェルへ届くよりも先に――

六翼が一閃した。

斬撃にも似た“風圧”が広場を切り裂き、ゼフィルの脚を払った。

「――っ!」

バランスを崩した彼に、ルシフェルが指先を翳す。

「神を信じぬ者よ。地に伏せ、悔い改めよ」

《天罰の槍(セラフ・スピア)》が上空から降り注ぐ。

その一撃を――

「させるかああッ!!」

レオが盾を投げ、ゼフィルの頭上に滑り込ませる。雷光と激突音が響き、地面に巨大なクレーターが刻まれた。

煙の中、二人が肩を寄せて立ち上がる。

「……命拾いしたな、坊主」

「借りができたな、鉄壁さんよ」

「やれやれ……傷の応急処置は終えましたよ」

ベルナールが額の汗を拭う。

だが――

「どうやら、終わりの時間のようね」

ルシフェルの瞳が冷たく細められる。背後で六翼が羽ばたいた。

《天界終末術式――審判の顕現》

広場全体が光に包まれ、空に巨大な“天秤”の幻影が現れる。

「選びなさい。赦されるか、滅びるか」

レオが呟いた。

「……こいつはまずいな」

ゼフィルが苦笑する。

「面白くなってきやがった……!」

ベルナールは瞳を閉じ、一言だけ祈った。

「神よ……我らを、見捨て給うな」

光が、降り注いだ。
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