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第二章ドラゴニア帝国編

港町ハーウェン

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「彼方が魚屋で彼方が服屋でございます」

 ミゲランヘルさんに連れられて町の中を散策中。ミゲランヘルさんにはちゃんと服を着てもらった。

「じぃじ、ありぇは?」

「あれは……」

 私はミゲランヘルさんの肩に乗せて貰って町の何処に何があるかを教えてもらっている。ミゲランヘルさんの背がとにかく高いから見晴らしが良くて楽しい。いつも下からしか見えないものが上から見るとまた違って見えるのだから不思議だ。

「ところで父上、何故此方へ呼んだのですか?」

 ファンティーヌさんに届いた手紙には私に会いたいと言う事と此方の町へと遊びにおいでと会ったのだ。

「フィーの主がどんな方なのかと思ってな。なかなか此処から動く事が出来んからな。それにフィーの力量も上がっているだろうと思ってな。なんならクラーケン退治を手伝ってくれても良い」

 ミゲランヘルさんはニパッと笑うと答えるようにファンティーヌさんがキラキラと瞳を輝かせ出した。

 アイゼンハワーの当主であるミゲランヘルさんが滞在する港町ハーウェンは港町なだけあって漁業が盛んで、新鮮な魚介類と海草が出回る。

 町の人達も半分が漁師なだけあって日に焼け、豪胆と言うか粗暴と言うか荒くれ者が多い。

 ハーウェンは観光地としても有名で真っ白な砂と真っ青な海、それから良い波が打ち寄せる事で波乗りや凄まじい透明度を誇る海に魅せられて海に潜る人々をも魅了し、温暖な気候も手伝い人柄が朗らかな人も多い。

 祖父と孫みたいな私達を町の人達は暖かく見守ってくれている。

「じぃじ」

「なんですか?」

 そろそろお気付きでしょうか。ミゲランヘルさんの事を私がじぃじと呼んでいる事に。最初は頑張って呼ぼうとしたんだけど長いから噛みまくりまして、見かねたハジさんがじぃじと呼べば良いじゃないかとナイスな提案をしてくれて今に至るわけです。

 ミゲランヘルさんもとっても乗り気で許してくれた。心が広いって素敵。

「奥ちゃ、いりゅ?」

「はい、おりますよ。とても可愛らしい妻ですよ」

 今でもベタ惚れなんだね。奥さんの話になると急にデレッとしたよ。良いな。いつまでも仲の良い夫婦って憧れるな。

「おにゃまえは?」

「カトレアと言います。彼女の事も良かったらばぁばと呼んでやって下さい。きっと喜びます」

 うん、本人に確認取ってからにするね。たまにお婆ちゃんとかお祖母ちゃんと呼ばれたくなくて名前で読んで欲しいって人がいるからね。

「ほら見えてきましたよ」

 前方の小高い丘に暖かみのあるオレンジの煉瓦で作られたお屋敷が見えてきた。前庭には花が咲き乱れ、バラのアーチや名前も知らない花が風に揺れる。

 他の面々が空気なんだけと皆着いてきてる?主に私とミゲランヘルさんしか喋ってないよ。
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