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第5話 甘党正義
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任務を終え、司令官に会いに行っていると気付けば春空はオレンジ色になっていた。
時刻は5時頃だが俺達は壁の内側に存在する商業区のスイーツ店、店名は【甘党正義】とこれまた凄い名前をしてる店に即払いされた報奨金を手に小川部隊の四人でテーブルを囲んでいた。
「さあ、食いたまえ君達。
今日は私とヒロの奢りだよ~!」
「いいよ、未来ちゃん。
自分のものは自分で払うからさ。
それに今回は仲を深めるための場なんだし、そういう貸し借りは無し。」
「えー、この部隊初の報奨金だよ?」
「今回は2人のだよ。
部隊初の報奨金は明日からの任務。
それに、貯金はしっかりしなさい。」
「はーい。じゃあ……。
スペシャルストロベリーモリモリアイスパフェをひとーーつ!!」
「うーん、待っていくら?」
いずみが注文用タブレットに手を伸ばすと未来はタブレットを手に背を向ける。
「ヤスカッタヨ。」
「2000円。」
未来が注文する瞬間を視界に捉えていた。
いずみが言っていたようにこの場は仲を深めるためのモノだ。
正直に隠し事なしで行こうとその言葉を発した。
「ヒロの裏切り者!!
いいじゃん。今日くらい!!
初の報奨金だよ!ご褒美大事じゃん!!
疲れた時の糖分摂取は命の源……来たー!」
ピンク色のソフトクリームに半分に切られたイチゴが器の淵に満遍なく敷き詰められ、イチコ味のチョコがたっぷり入ったトッポ。
器の底にはコーンフレークと果汁入りのイチゴのソースみたいなのが敷き詰められていた。
「これまた……豪華な……。
資源が足りない世の中で2000円でこのイチゴの量……。
未来ちゃん。これ大丈夫なイチゴ?」
「大丈夫、大丈夫。おいひぃー。」
そんな事を聞かれても手に持ったスプーンで口の中に次々とイチゴを放り込んでいく。
「ちゃんと甘酸っぱいよ!!」
「うーん、もう可愛いからいーやー。
明日体調崩さないように温まって寝るんだよ。」
「はーい!
モグモグ……うまぁーー……。」
「私達もなんか頼みたいからその膝の上に置いてあるタブレットかーして。」
「ああ、ごめんね。」
渡されたタブレットを机の上に置き、3人でメニューを見る。
メニュー資源が足りないと言われているもののそれなりに種類はあるように感じる。
その中で、イズミはパンケーキの上にアイスが二つとサクランボが一つ乗った物とコーヒーのセット。
綾人は宇治抹茶アイス。
俺はバニラアイスを注文した。
「それじゃあ、食べながらでも本命の話をしてもいいかな?」
綾人は店のタブレットを操作すると軍のエンブレムが写る。
その後、いくつかのデータを見るための選択肢が現れるとその中の戦闘録画映像をタップした。
そこには俺と未来の姿。
「へぇー。これまた高画質。」
「戦闘の細部までしっかりと見られるための配慮だろうね。
敵はエッグ・コアが10数体か。」
「うわ、未来ちゃんスゴッ!!」
最初の一体目を倒した時の映像。
俺もその瞬間の事は脳裏に焼き付いている。
初めての戦闘で臆さずここまでやれるものなのかと。
「あ、、、」
俺の最初の攻撃が写る。
一撃で倒せず、ひび割れで終わった初撃。
イズミは手を伸ばし、少し巻き戻してそこで映像を止めた。
「2人に聞きたいんだけど、生きてるエッグ・コアの外殻ってどれくらい硬いの?」
「想像より少し硬かったな。
思いっきり叩けば簡単に割れたからガラスとかよりはずっと脆い……」
何か例えやすいモノはないかと頭を巡らせるがなかなか思いつかない。
「氷の板って感じかな?
ザックって刺さる感じにも似てるかなー。」
「また、とっつきにくいモノだね。
未来ちゃんは氷の板叩いた事あるの?」
「一応ね。」
「氷の板かー。まあ、後は実戦かな。
イメージ持って慌てないようにしないと。」
「続き良い?」
「うん、オッケー。」
再び、動画が動き始める。
注文した、食べ物が届いてもそれを片手にその動画に目を向けた。
「エッグ・コアはバラバラに動くのか。
これなら部隊員を巻き込んだり、流れ弾を気にせず撃てるな。」
「綾人君の具現機はもしかして銃とか?」
「よくわかったね。」
「まあ、巻き込んでとか撃つとか流れ弾とかのワード出てくるのなんてだいぶ限られるから。」
「それもそうか。」
「私は近接系の武器だから前衛3人。後衛1人。混戦時は綾人君に命令権を託した方が良さそうに思うけど、どうですか部隊長?」
「そうだね。戦闘時は視野が狭まりがちだしね。で、私は部隊長じゃ……」
「あー、そうだね。パフェ美味しそうだねー。よしよし。」
部隊長と呼ばれたことに噛みつこうとした未来だがイズミはそれを頭を撫で回して黙らせる。
そして、未来はぶすくれた表情になり、パフェを勢いよく書き込んだ。
「ありがと、未来。」
俺は自分の短所を見ようと意識したが視線は自然と未来の戦闘映像に移っていた。
「ん?」
そして、自然にその言葉を発した。
動画で落ち着いて全体が見えるおかげで未来が俺をかなり手助けしてくれていた所がいくつも網膜に焼き付いていく。
他のエッグ・コアが俺の背後を取らないように積極的に潰している。
さらに最後の俺に飛び掛かってきた個体も万全なんかではなく右後ろ足の関節を未来が切り裂いていた。
このエッグ・コアとしても不本意な形での捕食行動。
避けられて当たり前の一瞬だった。
「次はもっと役に立つよ。」
「ん!期待してる。」
******************
【《立花 綾人》のステータス】
筋力:8 体力:10 気力:20 速度:5
具現機は大型機銃。
発射される銃弾は高圧縮されたエネルギー弾。軍より支給されるエネルギーパックを機銃に込め放たれる。
そして、そのエネルギーパックは魔獣達の核を溶かした高エネルギー溶液だとか……。
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時刻は5時頃だが俺達は壁の内側に存在する商業区のスイーツ店、店名は【甘党正義】とこれまた凄い名前をしてる店に即払いされた報奨金を手に小川部隊の四人でテーブルを囲んでいた。
「さあ、食いたまえ君達。
今日は私とヒロの奢りだよ~!」
「いいよ、未来ちゃん。
自分のものは自分で払うからさ。
それに今回は仲を深めるための場なんだし、そういう貸し借りは無し。」
「えー、この部隊初の報奨金だよ?」
「今回は2人のだよ。
部隊初の報奨金は明日からの任務。
それに、貯金はしっかりしなさい。」
「はーい。じゃあ……。
スペシャルストロベリーモリモリアイスパフェをひとーーつ!!」
「うーん、待っていくら?」
いずみが注文用タブレットに手を伸ばすと未来はタブレットを手に背を向ける。
「ヤスカッタヨ。」
「2000円。」
未来が注文する瞬間を視界に捉えていた。
いずみが言っていたようにこの場は仲を深めるためのモノだ。
正直に隠し事なしで行こうとその言葉を発した。
「ヒロの裏切り者!!
いいじゃん。今日くらい!!
初の報奨金だよ!ご褒美大事じゃん!!
疲れた時の糖分摂取は命の源……来たー!」
ピンク色のソフトクリームに半分に切られたイチゴが器の淵に満遍なく敷き詰められ、イチコ味のチョコがたっぷり入ったトッポ。
器の底にはコーンフレークと果汁入りのイチゴのソースみたいなのが敷き詰められていた。
「これまた……豪華な……。
資源が足りない世の中で2000円でこのイチゴの量……。
未来ちゃん。これ大丈夫なイチゴ?」
「大丈夫、大丈夫。おいひぃー。」
そんな事を聞かれても手に持ったスプーンで口の中に次々とイチゴを放り込んでいく。
「ちゃんと甘酸っぱいよ!!」
「うーん、もう可愛いからいーやー。
明日体調崩さないように温まって寝るんだよ。」
「はーい!
モグモグ……うまぁーー……。」
「私達もなんか頼みたいからその膝の上に置いてあるタブレットかーして。」
「ああ、ごめんね。」
渡されたタブレットを机の上に置き、3人でメニューを見る。
メニュー資源が足りないと言われているもののそれなりに種類はあるように感じる。
その中で、イズミはパンケーキの上にアイスが二つとサクランボが一つ乗った物とコーヒーのセット。
綾人は宇治抹茶アイス。
俺はバニラアイスを注文した。
「それじゃあ、食べながらでも本命の話をしてもいいかな?」
綾人は店のタブレットを操作すると軍のエンブレムが写る。
その後、いくつかのデータを見るための選択肢が現れるとその中の戦闘録画映像をタップした。
そこには俺と未来の姿。
「へぇー。これまた高画質。」
「戦闘の細部までしっかりと見られるための配慮だろうね。
敵はエッグ・コアが10数体か。」
「うわ、未来ちゃんスゴッ!!」
最初の一体目を倒した時の映像。
俺もその瞬間の事は脳裏に焼き付いている。
初めての戦闘で臆さずここまでやれるものなのかと。
「あ、、、」
俺の最初の攻撃が写る。
一撃で倒せず、ひび割れで終わった初撃。
イズミは手を伸ばし、少し巻き戻してそこで映像を止めた。
「2人に聞きたいんだけど、生きてるエッグ・コアの外殻ってどれくらい硬いの?」
「想像より少し硬かったな。
思いっきり叩けば簡単に割れたからガラスとかよりはずっと脆い……」
何か例えやすいモノはないかと頭を巡らせるがなかなか思いつかない。
「氷の板って感じかな?
ザックって刺さる感じにも似てるかなー。」
「また、とっつきにくいモノだね。
未来ちゃんは氷の板叩いた事あるの?」
「一応ね。」
「氷の板かー。まあ、後は実戦かな。
イメージ持って慌てないようにしないと。」
「続き良い?」
「うん、オッケー。」
再び、動画が動き始める。
注文した、食べ物が届いてもそれを片手にその動画に目を向けた。
「エッグ・コアはバラバラに動くのか。
これなら部隊員を巻き込んだり、流れ弾を気にせず撃てるな。」
「綾人君の具現機はもしかして銃とか?」
「よくわかったね。」
「まあ、巻き込んでとか撃つとか流れ弾とかのワード出てくるのなんてだいぶ限られるから。」
「それもそうか。」
「私は近接系の武器だから前衛3人。後衛1人。混戦時は綾人君に命令権を託した方が良さそうに思うけど、どうですか部隊長?」
「そうだね。戦闘時は視野が狭まりがちだしね。で、私は部隊長じゃ……」
「あー、そうだね。パフェ美味しそうだねー。よしよし。」
部隊長と呼ばれたことに噛みつこうとした未来だがイズミはそれを頭を撫で回して黙らせる。
そして、未来はぶすくれた表情になり、パフェを勢いよく書き込んだ。
「ありがと、未来。」
俺は自分の短所を見ようと意識したが視線は自然と未来の戦闘映像に移っていた。
「ん?」
そして、自然にその言葉を発した。
動画で落ち着いて全体が見えるおかげで未来が俺をかなり手助けしてくれていた所がいくつも網膜に焼き付いていく。
他のエッグ・コアが俺の背後を取らないように積極的に潰している。
さらに最後の俺に飛び掛かってきた個体も万全なんかではなく右後ろ足の関節を未来が切り裂いていた。
このエッグ・コアとしても不本意な形での捕食行動。
避けられて当たり前の一瞬だった。
「次はもっと役に立つよ。」
「ん!期待してる。」
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【《立花 綾人》のステータス】
筋力:8 体力:10 気力:20 速度:5
具現機は大型機銃。
発射される銃弾は高圧縮されたエネルギー弾。軍より支給されるエネルギーパックを機銃に込め放たれる。
そして、そのエネルギーパックは魔獣達の核を溶かした高エネルギー溶液だとか……。
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