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終章『転生×オメガ=幸せになる』

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「あらら、寝ちゃった?」

頬を赤く染めながら、すぅすぅと寝息を立てて眠る真緒の背中を優しく撫でながら俺はじとりと佑司に視線を送る。正直、可愛い真緒の寝顔を誰にも見せたくなかった。だが、眠ってしまったのはしょうがない。アルコールが弱い事は知っていたが、ここまで弱いとは思ってもみなかった。出来るだけ人前で呑ませないようにしよう。

佑司は嫉妬丸出しの俺に苦笑しながら水滴の付いたジョッキに口を付ける。相変わらずアルコールの強い男だ。

「本当、変わったねぇ。在昌」
「真緒は運命の番だから」

パジャマ姿で泣きそうな表情でアルファ達から逃げる真緒を見た時、身体に電流が走った。本能が叫んでいた。このオメガを自分のモノにしたい、と。今すぐ捻じ伏せて自身をぶち込みたい、と。
正直自分でも驚いた。つい数分前までは番なんて、と馬鹿にしていた自分が、だ。

「でも良かったよ。在昌のオメガ嫌いが治って」
「治ってる訳じゃないさ。真緒だからだよ。真緒だけが俺の全てなんだ」

そう。俺はオメガが嫌いだ。小学生の頃、アルファと分かった俺に回りの奴らの態度が変わった。どのバース性も、だ。
自分で言うのも何だが、俺はアルファの中でも上位の位らしい。自分では分からないが、全てが秀でているらしい。

毎日、毎日襲われた。時には担任の先生すら雌に成り下がって俺に胸を押しつけていた。純粋だった俺にとって人間不信になっても可笑しくない話、だ。

――そしてトドメを刺したのは、中学生の時だ。十分警戒していたにも関わらず、担任の先生に犯された。まぁ、犯されたと言っても勝手に性器を使われただけだが。
その担任もアルファでとても苦労していたらしい。何度も相談しているうちに、まだどこかに純粋さを残していた俺は疲れ切った人間関係の中、その担任の事をとても信用していたし、信頼していた。

その日も上級生に襲われそうになった俺は泣きそうになりながら担任の下へと向かった。何時も準備室で仕事をしている担任だが、その日も準備室で仕事をしていた。

はだけた学生服のまま準備室に駆け込んだ俺に、先生は息を荒げながら襲ってきたのだ。夢だと思った。けれど、なめくじのように這う舌も、柔らかな豊満な胸も、細いウエストも、グズグズになった空洞も、全て現実だったのだ。

俺の上で長い髪を振り乱しながら腰を振る担任に吐き気がした。そしていとも簡単に信用してしまった自分にも。

そこからは覚えていない。同級生だった佑司が丁度準備室に入ってきて…までは覚えているのだが、気付けば担任は自主退社という形で居なくなっていたし、誰もこの事を知らないし。恐らく学校が握り潰したのだろう。俺もその事は誰にも言わなかった。親にすら。

…そこから佑司とは腐れ縁になるのだけれど、本当佑司には色々と助けられている。

「まぁ、多感な時期にあんな事があったんだもんなぁ。本当グレなくて良かったよ、色々と拗れてるけど」
「そうか?」

今となっては笑い話になったが、真緒には内緒にしている。変に同情されるのも嫌だし、変に距離を置かれたくもない。
俺の胸の中でモゾモゾと動く真緒の頬を撫でてやれば、気持ちよさそうに指に擦り寄る真緒に思わず勃ちそうになった。

「…ちょっと?ここでヤらないでよ?」
「ヤるわけないだろ。誰が真緒の可愛い顔見せるか」

俺だけの真緒。
俺だけの奥さん。
俺だけの、最愛。

誰の目にも触れさせたくない。一生あの家で俺だけを見て、愛されれば良い。ああ、これが独占欲なんだな、と真緒に出逢って初めて知った。君が運命の番で良かった。まぁ、運命の番じゃなくても俺のモノにしていたけれど。

「あー、可愛い…」

俺の呟きに呆れたように溜息を吐く佑司を無視してぎゅうぎゅう抱きしめる。柔らかい身体も、今となっては俺しか感じる事が出来ない甘いフェロモンも、全てが愛しい。

「そういや、真緒ちゃんがここに来てから発情期来た?」
「ん…?まだ来てない、な」

発情期。
オメガが定期的に発情する時期の事だ。発情期になれば抑制剤も効かず、アルファに何度もナカに精を出されるまで治まらないらしい。それが一週間程続く。

「多分、そろそろじゃないかな。真緒ちゃん、初めてだから戸惑うと思うからちゃんと気にしてやれよ」
「ん…、サンキュ」
「特に番になった時の発情期は凄いらしいからな。お前の匂いを執拗に嗅いだり、服を集め出したりしたらそれが始まり、だ」

佑司のアドバイスに感謝しながら、心の底で早く来ないかな、と願った。発情期の真緒を一週間も抱き潰せるだなんて、最高だ。番を持ったバース性は特別休暇が使えるから思い切り使ってやろう。どうしても俺がやらなければいけない仕事はリモートで問題無い筈だ。

「在昌…お前、めっちゃ楽しみにしてるだろ」
「んー?そりゃあ、ね」
「あーあ、真緒ちゃん可哀想。また痩せちゃうんじゃないの」
「そうならないようにちゃんと食べさせるさ」

佑司も気付くくらい真緒は痩せた。本人は喜んで居たが、俺としては面白くない。まだ柔らかいが、前みたいにぷにぷにではなくなってしまった。だからせっせと真緒を高カロリーなスイーツを毎日買ってくる。本人は凄く喜んでいるのだからウィンウィンだと思う。


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